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帰りのヒッポグリフ車では再び上下運動に苦戦をし、寮の近くのスピアーズ商店前に降ろしてもらった。帰りのヒッポグリフ車代もソフィア持ちである。ソフィアとアンジェリカに別れを告げ、二人が乗っているヒッポグリフ車が見えなくなるまで手を振ってから寮に帰ると、ミチルと仕事終わりの女たちが出迎えてくれた。
「今日どこ行ってたの?」
「シャワーの後でいいから教えて」
「混む前にシャワー行きなよ」
「おかえりなさい」
それらの声に返事をしながら部屋へ向かい、言われた通り、混む前にシャワーを浴びてしまう。部屋で髪を乾かしてから談話室でまったりしていると女たちが色々と聞いてくる。
「今日はどこへ行ったの」
「西側の街にある竜騎手の方のお宅に行ってきました」
「何をしてたの」
「竜の鱗剥がしです!大変ですけど楽しかったです」
へぇー、と声が上がる。誰の家に行ったか、鱗は宝石だったとか、そういう事はあまり言わないように帰りのヒッポグリフ車の中でアンジェリカから言い含められていた。
大食堂へ行き、夕飯を食べて寮に戻ると談話室には行かずに部屋へ戻った。
この都に来てから今日までチェストの上になんとなく置いていた黒い石、ヴァルキリヤから貰った竜の鱗、それを備え付けの机の引き出しにしまった。あまり、宝石とされるものを剥き出しに置いておきたくなかったのだ。
家に帰ったアンジェリカは妖精パンダを相手に今日の反省をしていた。
「今日は頑張ったのよ!アンジェリカ!」
「でもマイナス点も多かったわ……」
「マイナスは加点で消せばいいのよ」
「そうなのかしら……色んな人に迷惑をかけて……」
「あの人たちにとっては迷惑なんてレベルじゃないわ!つかれた女の子をたすけるのは当たり前よ」
「クララはどう思ったかしら……」
「クララはアンジェリカをしんぱいしてたわ。そして元気になったアンジェリカによろこんでたわ!いいやつね!」
「……うん」
「今日はかるいジャブよ。次にまたつよめのジャブをしてフェイントかけてボディなのよ」
パンダが何を言っているのかはアンジェリカにはわからなかったが、いつものことだと放っておいた。
今日は疲れた、もうやる事はないし、寝てしまおう。
「おやすみアンジェリカ、またあしたなのよ」
うん、また明日。




