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戻ってきたヴァルキリヤは現状回復優先、という事で集積所から飛んでいってしまった宝石集めを優先させた。
「ごめんねー、青竜が帰ってくるの明日の予定だったんだけど、なんか早く用事が終わって帰ってきちゃった!あと、青竜に乗ってるのが俺の父です!」
紹介されたヴァルキリヤの父は首を高く上げたままの青竜の頭に乗っている。クララの目には「なんか人影がある」くらいにしか見えなかった。
集積所の青いシートの上には大きな宝石は残っていたが、クララが担当していた大きさの石はみんな飛んでいってしまった。ユグ家の庭はよく草が刈られていて見つけるのは容易だったが、何度も何度も屈んだら立ったりを繰り返していると疲れてくる。昼も過ぎて気温も高くなってきた。
結構な時間経った頃にクララが「疲れたかも」と感じている側でアンジェリカは疲労感を全身から出しており、しゃがんだまま動かなくなってしまっている。
パンダに囲まれて「がんばるのよ!」と励まされているアンジェリカにヴァルキリヤが近づく。
「どうしたの?アンジェリカ、疲れちゃった?」
「……はい」
「そっかー、仕方ないよね!じゃあもうちょっと頑張って屋敷まで歩ける?ちょっと休もうか!」
からり、とそう言われると特に逆らおうという気持ちは湧かず、アンジェリカはふらふらと歩き出した。
「ミーシャ!こっちー!女の子一人、屋敷まで送って!問診もしといて!」
ヴァルキリヤの大声に黒いグラスの男がアンジェリカの横についた。小柄なアンジェリカの横でもかなり背の高い男だ。
クララは自分もついていこうかオロオロしていたが、ヴァルキリヤに「大丈夫」と言われてしまう。
「あの背の高い奴はね、医者の資格も持ってるから、ただの疲労じゃなかったら手当してくれるよ」
「そうなんですか……でも心配です」
「うん、そうだよね、あとで休んでもらう客間に案内するから、今はちょっと我慢してもらっていい?」
そう言われると、クララは「はい」と言うほかなかったが、その声は萎んでいた。
少しして医師の資格を持つ男が戻ってくると、彼はヴァルキリヤと話をする。ヴァルキリヤはクララとソフィアを呼んで男を紹介した。
「ソフィアは知ってると思うけど、クララは初めましてだよね?彼はミシア、軍属の医者。アンジェリカを診てもらったんだ」
「初めまして……アンジェリカさんは軽い脱水症状でした。屋敷の方に頼んで飲み物を用意してもらって休んでいます」
まあ、とソフィアは眉根を寄せる。
「できれば、今すぐアンジェリカに会いたいのですが……」
「んー、そうだね、ソフィアは行っていいよ」
「あの、私も」
クララは自分もアンジェリカの様子を見たかった。「大丈夫?」と聞いて、なにか力になれることはしてあげたかった。
「ごめんなさい、クララ、アンジェリカには私だけで会いに行きます。あなたは後から来てくれると嬉しいです」
ソフィアにはそう言われてしまい、「なんで?」と固まってしまう。
そうしてる内にソフィアは屋敷に歩いていき、クララはその場に取り残された。




