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クララとパンダとアンジェリカ  作者: 間取良可
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「では、今日集まってもらった皆さんで!『鱗剥がし』をしていきます!今日は竜のダイアも背中に乗って良いと言っているのでガンガン剥がしてってください!でも顔周りは俺とパンダ以外はダメです!」

 ヴァルキリヤがそう言うと宝石竜の周りに集まっていた人々は竜に登ったり、身体に張り付くように触れたりし始めた。

「結局、何をしたら?」

「この宝石竜の鱗は宝石でできてるの、何年も成長していって大きくなるわ。それが竜にとっては煩わしくて取れやすくなるのよ。空を飛ぶ竜から石が落ちるなんて事故の元だから、みんなで剥がしていくの。ちなみに剥がした宝石はユグ家のものね。盗んだらパンダが大声で騒ぎだすことになってるわ」

「それは……」

 ここだ……、ここでどちらに転ぶかがアンジェリカにとって重要なのだ。

「なんだか楽しそうですね!」

 よし!とアンジェリカは心の中でガッツポーズを取った。

「へー、竜には一回乗ったけど、こんなに近くで見たり触ったりできるんですねー」

「普段は竜騎手以外には触らせないみたいよ。荷物や人を乗せるのは仕事って割り切ってるみたいだけど」

「なるほどー」

 凸凹した竜の身体を触るとぐらつく石(鱗)が見つかったので引っ張ると軽く引っかかる感覚がしたが簡単に取れた。こんなに取れやすいものが空を飛ぶ竜の身体に付いてるのは大変問題である。

「はい、籠。これに石を入れてって、重くなったらあっちの集積場になってる場所に持って行くの」

「この石、見た目より重いですね」

「なんの宝石なのかしらね」

 宝石となる鱗は真っ黒な石で見た目からは何の宝石かはわからない。

「けずると色々な石でおもしろいのよ」

 そこに妖精パンダがやってくる。

「宝石竜ダイアは名前のとおりダイアモンドも取れるけど、オパールも色々なしゅるいが取れてキレイなのよ。ピカピカなの」

 そうなのか、と思いながら取った鱗の場所はどうなってるのか、凸凹の竜の身体を見るともう新しい鱗がつるりとした表面で出てきている。

「これ、新しい鱗ですか?」

「竜はウロコを剥がしてもすぐ新しいウロコが出てくるの。新しいと強いウロコだし、剥がれにくいのよ」

「ねえ、パンダ、この新しい鱗は宝石なの?」

「まだ宝石じゃないのよ。硬度はたかいけど、竜のウロコなの。これはこれで貴重だけど剥がれないから剥がしちゃダメよ」

 アンジェリカにも知らないことがあるのか、とクララは驚く。

 手を動かしながら聞いてみる。

「アンジェリカさんは『鱗剥がし』何回目なんですか?」

「二回目よ。前はこの家の別の竜の鱗を剥がしたの。凄く綺麗だけど、凄く気位が高い竜で、剥がしてる間も色々と注文をふっかけられたり、『お前は見た目が気に入らないから触るな』とか言われる男の人がいたり…大変だったわ」

 アンジェリカが遠くを見るような目をしながら小さな鱗を剥がして籠にいれていく。

「でも今回の宝石竜は穏やかな気性だ、ってソフィア先輩から聞いたから、アナタを誘ってみようと思ったの」

「労働力は多い方がいいですからね!」

 え!違う!、とアンジェリカは信じられないものを見る目でクララを見た。クララは鼻歌を歌いながら鱗を剥がしている。


 クララとアンジェリカが細かい鱗を剥がして集積所に行くと、青いシートが敷かれていて、そこに籠の中身を置いていけばいいらしい。ここにもパンダがいてビシビシと指示を出している。

「小さいウロコはあっちなのよ」

 言われた通りに籠からコロコロした宝石を出して籠を空にする。

 集積所から宝石竜を見ると、竜の背中でソフィアが大きく出っ張った石の塊に杖を振っていた。

 大きな石の塊となった鱗は浮き上がり、ゆっくりと地面に下されていく。

「ソフィアさんは魔法で物を動かせるんですね」

「ソフィア先輩は凄いのよ。魔法も魔術も精霊との交信も何でもできるし、美味しいクッキーも焼けるの」

 ふふん、とアンジェリカは胸を張った。

「今回ソフィアが来てくれて助かってるよ。魔法使える人員がいるのといないのじゃ大違いだから」

「あ、ヴァルキリヤさ……ん……」

 クララとアンジェリカが声のした方を見ると、巨大な角のようなものを抱えたヴァルキリヤがニコニコと立っていた。

「大きい!?」

「それ何?角?竜の角って取っていいの?」

「角も大きくなり過ぎるとぐらつくからねー。ここも宝石だから取っちゃう」

「いや、大きさ!!」

 ヴァルキリヤが持っていた角はヴァルキリヤ本人と同じくらい大きく、ヴァルキリヤの腰よりも太さがあった。

「力だったらあるから平気ー」

 そのまま集積所にぽいっと角を放ると、「さー、もう一本」と言いながら宝石竜の顔付近へ戻っていった。

「ヴァルキリヤはね、竜人だから身体能力はずばぬけてるのよ」

 集積所のパンダは事もなくそう教えてくれた。

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