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クララとパンダとアンジェリカ  作者: 間取良可
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 クララがその日の仕事(仕事始めから四日目のことである)を終えると詰め所の前にアンジェリカがいた。

「クララ!」

「アンジェリカさん!こんにちは!」

「明日、アナタ休みよね!?」

「はい!初めてのお休みです!」

「なにか用事ある!?」

「無いです!」

「じゃあ、十時に大食堂前に動きやすい格好で集合!」

 それだけ言うとアンジェリカはクララの反応も見ずに走っていった。クララはメモ帳に「十時に大食堂前」と書いた後で詰め所の中に居たハイラとライトミィにでれでれした顔を見せる。

「えへへ、アンジェリカさんにお誘いいただきました」

「いや、もっと勝手に予定立てられたこととか、誘い方が下手だとかないの?」

 ライトミィは呆れていた。

 しかし、まあ悪いことにはならないだろう、と思い、クララと共にハイラに挨拶をして詰め所を後にしたのである。


 翌朝、空は素晴らしく晴れていた。

 クララは仕事がある時と同じくらいの時間に起き、ミチルの作った朝食を食べ、身支度をしてから談話室で本を読んでいた。

 待ち合わせ時間の十五分前になったのでミチルに「行ってきます!」と挨拶をして寮を出ていく。そこでクララは思った。

 はて、今日は一体どこに行くのか?


 大食堂前にはアンジェリカがいた。「動きやすい格好」をしているがフリルの付いた可愛らしい服だ。クララも繊細な作りの服を着てみたいと思うが、アンジェリカに比べると自身の繊細さというものが少ないのでは?、と気後れしてしまう。要は「可愛いタイプの服は似合わないかもなあ」ということだ。

「おはようございます!アンジェリカさん!」

「おはよう。さ、行くわよ」

 目を合わせて挨拶をしたら間髪入れずに歩き出してしまう。とてもスピーディーだ。

「今日はどこへ行くんですか?」

「『鱗剥がし』よ」

 大食堂からスピアーズ商店の通りへ向かうとクララにとっては背筋に寒気が走るヒッポグリフ車がいて、精霊士のソフィアと御者が何やら話をしていた。ヒッポグリフは車の前に一頭、後ろに二頭。谷の都に初めて来た日に乗ったヒッポグリフ車よりも小型だ。

「おはよう、クララ」

「お、おはようございます!ソフィアさん」

 ヒッポグリフに少し怖気付きながら挨拶をする。

「今日はソフィア先輩も一緒だから」

 アンジェリカの言葉に、そうなのか、と頷く。ソフィアと一緒でもヒッポグリフ車に乗るかはまだ分からない。乗らないという可能性はゼロではないのだ。

「西側の町に行くからヒッポグリフ車に乗って」

 アンジェリカの宣告に引き攣りながら頷く。乗る可能性しかなかった。


 三人でヒッポグリフ車に乗り込むと飛び立つまでは楽な時間だ。クララは再び質問した。

「今日はどこに行くんでしょうか?」

「西側の町に『鱗剥がし』だって言ってるじゃない」

「まあ、アンジェリカ、それじゃあ分からないわ」

「でも、行ってみればわかるし、何も聞かないで見たほうが感動的じゃないですか」

「うーん……」

 ソフィアはクララを見ながらどうしようかと悩んでいる。クララとしては「感動的」というアンジェリカの言葉を拾ったのでこれ以上の説明は要らないかも、と思い始めている。

「アンジェリカさんは『何も聞かないで現場に行った方がいい』と思うんですね?」

「そうよ」

「じゃあ、そうします」

 まあ、とソフィアは声を出す。

「いいの?クララ」

「きっと素敵な場所に連れてってくださるんですよね?」

 その言葉に「そこまで素敵だったろうか」とアンジェリカは不安になり始めたが、とりあえずは「そうよ!」と胸を張っておいた。

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