表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/89

35歳 棋聖戦予選突破

「蜂屋香女流名人が棋聖戦の一次予選を突破しました


女流推薦枠としては史上二番目の快挙です!」


TVをつけたらニュースでかつてのライバルの慶事が報道されていました


だからチャンネルを変えました



・・・妬ましくて仕方がなくって心が潰れそうで痛かったです





昔、東海研修会で一緒だった香


仲が良くって一緒に帰ったこともあります


お互いの家で研究会をしたこともありました




当時は私の方がクラスが上でした


もちろん勝敗も勝ち越しです


だから当然私の方が先に奨励会に入れると思っていました


でも実際は入れませんでした


それほど奨励会に入るのは大変なんです




なにせ入会希望者は大抵大会の優勝者か準優勝者です


そんな人達と6局して4局勝たなければなりません


そして勝つと今度は奨励会員です


3局して1勝が合格ラインです


奨励会員にはなんどやっても勝てませんでした


マンガやアニメなんかだと簡単に入っていますが実際は全然入れません


合格率が20~40%の狭き門です


ここを突破できなくて泣く人間が大勢います


私もそうでした




奨励会に入るには年齢制限があります


19歳までしか入れないのです


それも年々レベルが上がり19歳だと1級受験です


年々難しくなる試験はどうにもなりませんでした




そんなわけで19歳になって時点で心が折れました


浪人して大学に入り、普通の生活に戻りました


いえ完全に退化ですね


華々しい将棋界の夢が破れ、厳しい現実がつきつけられたというわけです



もちろんその後は将棋とは無関係な大学と会社です


さすがに続けることは心が無理でした




一方、香はというと高校になってから彼氏ができたそうです


彼氏と一緒に将棋部を作って一緒に研究会をしていました


そのせいかどんどん棋力が上がっていってました





一度、香に


「なんで棋力が上がったの?」


と聞いたら


「彼氏と毎日検討しているから?」


と答えていました



私は彼氏も作らずに一人黙々と将棋の勉強をしているというのに不公平だと思いました




一度、香の彼氏と会ったことがありますがは普通の人でしたね


将棋は完全に趣味だそうです


彼女がやるからやっている、だとか




彼氏の棋力は大幅に甘くして研修会のFと言った所でした


趣味というのは本当らしかったです


そんな彼氏と一緒に研究会をして棋力が上がるのか?と思いましたね


まあ実際に上がっているのでたぶん香の実力だったのでしょう




そんな恵まれた香でもさすがに奨励会の壁は厚かったようで毎回年齢制限ギリギリの所で生き残っているようでした


・・・負けてしまえ!と思って棋院のHPを見たんですよ




まあ実際に26歳の年齢制限で退会した時にはざまあみろ!と思っちゃいました


自分でも歪んでいると判っているのですが止められませんでした




でも香は私と違って女流棋士の道に進みました


そして女流棋士枠でタイトル戦に出ています



恨めしくって仕方がありません

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ