38歳 副業の余波
「ありません」
「ありがとうございました」
A級棋士に勝ってしまった
C級棋士なのに
本当だろうか?と思わず頬をつねってしまったボクは悪くない(はず)
始めまして
名も無き一棋士です
名前?
まあどうでもいいじゃないですか
所詮プロになりたて(から少したっただけ)の小物です
憶えておいてもらう価値なんて無いです
・・・棋士は負けると本当に意味がありませんからね
よくテレビであるじゃないですか
格付けで『映る価値なし』ってやつ
あんな感じです
万年C級
そのうちフリークラスに落ちて消えていく存在
それがちょっと前の僕でした
それが変わったのが今年になってからです
結構勝てるようになりました
それもすべて元女流棋士の蜂屋八段のおかげです
蜂屋八段は女流棋士界に君臨していました
それどころか王位戦で勝ち進んで最後には王位のタイトルホルダーにもなりました
その強さの秘密は夫の作ったソフトだそうです
ディープラーニングを用いたバージョン
RNNを用いたバージョン
の二つを使っているそうです
そして学習内容を特化して
『名人』などといった個人の手順を再現するバージョンもあるかと
・・・そりゃ仮想敵を相手に事前にコンピューターに何万局も対局させて事前に研究していたら勝てますよね
まあ勝ち過ぎて反感を喰らってましたけどね
「将棋は人間がするものだ」
とか言って
そんあ蜂屋八段は今は引退しています
そして残ったソフトを使ってIT会社を立ち上げました
『Shaft』だそうです
SHougi Assist For Tactices
だとか
使わなくなった全盛期のソフトの結果を全公開
将棋の神様が背後霊にいるようなものですから絶対に勝てます
プロアマ問わずに皆が飛び付きました
ところがここで問題が出てきました
使うために登録が必要です
そりゃそうです
お金のやり取りが発生しますからね
でも問題はそこではありません
登録する審査が元蜂屋八段なのです
つまり奨励会や女流棋士になってから嫌がらせをした人間は絶対に登録できないのです
具体的にはA級棋士全員とB級棋士とC級棋士と女流棋士の大半ですね
つまり僕のように蜂屋八段と奨励会ですれ違って面識のない人間だけが登録できました
あ、あと女流棋士でも仲の良い棋士も登録できたようです
そして将棋界が二分されました
ソフトを使って勝てる棋士
ソフトを使えなくて負ける棋士
使えない棋士は元蜂屋八段に泣きついたようです
でも
「審査内容は業務の関係で秘匿ですから」
の一言でケンモホロロに跳ね返されたとか
・・・御愁傷様だけど、当分そのままだといいなと思う
だって勝率が上がるんだもの




