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16歳-3 香の苦悩

穴があったら入りたい


正直な気持ちです




・・・まさか私があんなことをしでかすとは思ってもみませんでした






高校に入ってからは平穏な日々が続いていました


なにせ将棋をしていることがバレても「ふ~んそれで?」だったのです





中学の時はバレて大変でした


なにせ小学校の時から研修会に通っているのです


おな小の子からバレました


そして『根暗』扱いされました


・・・中学生こどもは容赦ないですからね





おかげで中学時代は黒歴史(涙)





高校も同じだと思ったので将棋をしていることを隠していました


そうしたら結構バレないものですね


詰め将棋の本とかアプリを使わないから当然かもしれませんけどね





まあ結局はバレました


だって隔週で栄にある研修会に通っていますからね





栄と言えば高校生の遊び場


無駄に活気があります





歩いているだけでも楽しいし、広場ではなにがしかのイベントが毎週末にあります


オアシス21では地元アイドルの企業PRを兼ねた屋外コンサートがてんこ盛りです


お腹がすいたら大須の商店街でB級グルメが楽しめます


お金がないけど遊びたい高校生にはうってつけの遊び場です






当然のことながら


あれ?


三矢じゃん?


何処のビルに入った?


なんか将棋の教室の看板なくね?


でした




・・・世の中には名探偵コ○ンくんが多すぎます






ところが意外なことに将棋オタクだとバレても問題ありませんでした


「ふ~んそれで?」


でした





さすがに頭が良い生徒が集まる高校です


中学校のような悪夢は始まりませんでした


ちょっと安心しました





まあそうですよね


中学校は近隣の3つの小学校から問答無用に生徒を引っ張ってくるんです


馬○もいればお利口さんもいる


そういうことでした


・・・また一つ利口になったような気がします





ホッとしたのが良かったのか悪かったのかつい達也くんに怒ってしまいました


思わず被っていた猫が剥がれました




だって朝から晩まで頑張っているのに


それでも研修会はD1からなかなか上がらないのに


友達と研究会やっても全然効果が無いのに


もうどうすればいいんだよ~って泣きそうになっているのに


「頑張れば」とか言ってくるんですよ


怒ってもいいですよね





そうしたら達也君はその日のうちに将棋部を作っていました





「書け!」と言われて書類に名前を書かされ、教室を出て行ったと思ったらすぐに帰ってきました


そして「将棋部ができた」と宣言しました




・・・部活ってそんなに簡単にできるものでしたっけ?



その後は尋問が始まりました


将棋の勉強の方法


今までの勉強の成果


他の人間のやり方


ありとあらゆることを聞かれました





・・・尋問の様子を見ていた達也君の友達の亀山君が


「知らなくて困ったことはあっても知っていて困ったことはない」


と言うと久野君が両手を叩いて喜んでいました


何かの儀式でしょうか?


あいかわらずカースト上位の人達のやることの意味がわかりません





達也くんが聴きとり結果を書きとめたノートを眺めること数分


いきなり立ち上がると再度教室を出て行きました




「まっていろ」


との捨て台詞を残してです




「・・・」


残されたわたしと無理やり将棋部の部員にされた亀山君達はポカンとしていました


展開が速すぎてついていけません





「おおリアル24だ!」


亀山君達がなにやら騒いでいますがこちらも意味不明です




高校生になると世界が広がる分、理解できないことも広がりました


今まで将棋だけの狭い世界に生きていたと実感します




しばらくすると達也君が帰ってきました


そしてわたしについてくるように言われました




向かった先はパソコン室です


最近は小学校でも情報系の授業がありますからね




パソコンを立ち上げるとなにやら操作していました


後で判ったことですが将棋のソフトをインストールしていました


そして公開されている棋士の棋譜を読み込ませていました




初手から順に棋譜が進み、それに伴い評価が表示されます


それをわたしに見せて聞いてきます


これでは駄目なんだな、と




「う、うん」


あまりの展開の速さについていけてませんでしたがそこは同意しました




昔過去の棋譜の評価を見ても全然成長しなかったですからね


それなら棋譜を自分で盤上に再現した方がまだましでした





あなたの棋譜は?」


いや研修会のわたしの棋譜なんて公開されていませんよ


そういうと達也君は驚いていました


達也君の頭の中では将棋の人気というのは全国レベルになっているみたいです


・・・将棋の普及にはまだまだ時間がかかりそうですね





あまりにも達也君が茫然としていたのでつい


「自分の指した棋譜ならば頭に入っている」


と言ってしまいました




そしたらわたしが口頭で読み上げ、達也君がパソコンに打ち込むということになりました


・・・口は災いの元ですね





一局分を打ち込んでソフトを実行させると私の棋譜が再現されていきました


その結果、私の駄目さ加減が突き付けられることになりました





今まで私が良いと思って差していた手の評価点が低すぎです


まさかのマイナス値


そりゃ勝てないはずですよね





今までの5年間の苦労が無駄になった瞬間でした


落ち込みましたね


思わず頭を抱えてしゃがみこみました

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