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16歳-1 達也、香を怒らせる

「私いまD1なんですよ、D1!あと3年のうちに奨励会に入って初段にならないと退会なんで正真正銘に崖っぷちなんですよ!」


つい口を滑らせて香ちゃんを怒らせてしまった


どうやら結構切羽詰まっているらしい





いやねつい


「頑張ればどうにかなる」


と言っちゃったんだよ




そしたら香ちゃんがブチギレた


「正論を吐くな!」





いや蜂屋ぼくは正論だなんて思っていない


原理原則だ




大抵のことは頑張ればどうにかなる


ならないのなら努力が足りない


そういうこと




実際に勉強を頑張ったら高校受験で首席になった


寝る以外すべて勉強した


歩いている時だって本を読み続けた




走るのだって早くなった


毎朝2時間1年間毎日走り続けた



できないと文句を言っていいのは極限まで努力した人間だけ


それが持論だ





だがいつからか毒吐いていると言われるようになった


あるいは正論野郎


絶対に冤罪だよな






話を元に戻ろう



高校に入ってからできた数少ない友人に三矢香♀という人間がいる


趣味が将棋の将棋ガールだ


奨励会の下部組織の研修会に入っているらしい


その研修会はどこかの異世界のギルドのようにランク制になっているらしい


なかなかランクが上がらないと愚痴を言われたのでつい原理原則を言ってしまった


「がんばれ?」






いやね中学時代、忠告のつもりで原理原則を言ってやったんだがなぜか皆怒り出すんだよ


ろくに努力をしないくせい成果を手にしたい?


絶対におかしいよな?





でも誰も苦言を言わないんだ


どうやら嫌われ者らしい


可哀想になって忠告してやったんだがなぜかみんな聞いた途端怒り出すんだ





何度か繰り返すうちに忠告するのを止めた


もう勝手にしてくれ





そうしたら面白いように堕ちていったな


ざまあみろ!





でもしばらくしたら「なんで言ってくれないんだ」と文句を言ってくる始末


一体どうしろというんだ?




まあそんな訳で馬鹿の相手はこりごりだから高校に入ったらそこそこ仲良くくして、そこそこ他人を見捨てることにしたんだ




最初は上手くいっていた





だが同じクラスの三矢香に惚れてしまった


まさかボクが誰かを好きになるなんて思ってもみなかった


初恋は幼稚園の先生だったけどな




恋はなるものではない


嵌るもの


実感した






脳内将棋盤の処理に集中するあまりフリーズする姿が可愛かった


廊下の真ん中で急に立ち止まり固まるのを見て恋に落ちた


時々「あ”~」と奇声を出しながらしゃがみ込んで頭を抱えるのを見るのは面白い


「駄目だがね!」といきなり自分自身にツッコミを入れるのは「ナイスボケツッコミ!」


「あ~、えらいわ~(疲れた)」と教室の机に突っ伏すのをみて癒された





・・・なんでこんなに心が動かされるのかは自分でも説明できない


まさに嵌るといってよいだろう





だから心の障壁がかなり低くなっていたらしい


つい信念を忘れて原理原則を言ってしまった


その結果、怒られた





人の心というのは難しいな

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