18歳 文化祭ふたたび(その2)
お客目線です
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研修会員を強くしたソフトがある
将棋界でひっそりと流れる噂である
そのソフトが某高校の文化祭でたった1日だけ公開される
判った途端、参加が可能な研修会員だけでなく、研修会員までが殺到した
・・・棋士までいるような気がしたのは気のせいかもしれない
『3四銀』
「おおっ」
観客から声が上がった
そりゃそうだ
飛車が桂馬をとり、その飛車を銀が取ったのだ
駒得は裏切らない
それが将棋界の常識
もう300年以上も言われ続けてきた口伝といってよい
それなのに桂馬を得るために飛車を捨てるという人間ではありえない手
驚くのも無理はなかった
おまけにたぶんこの後、飛車を捨てたソフトの方が勝つのだ
もはや人外魔境といって良い
いや新しい時代が開くのに立ち合っていると言ってもよかった
地方の公立高校の文化祭というイベント
普通(にしか見えない)のパソコン
将棋が弱い(と本人が言っていた)高校生が作ったソフト
それなのに新手がてんこ盛り
そして非常識な手の数々なのに勝つ
それも研修会や奨励会の人間相手に
どれをとってもありえないものだった
過去、棋士に勝ったソフトはスーパーコンピュータを使っていた
決してこんな貧乏くさい家庭用のコンピューターで実現できるものではない
将棋指しならば誰もが知っている常識
それが覆っているのだ
立ち会った将棋界の人間は悪夢を見ているとしか思えなかった
そして、いや、それゆれの長蛇の列
今日中に一度対局の順番が回ってくるのか?
並んでいる人間の関心は一つだった




