お茶会をプロデュース
美しいだけ。
それがやつの言葉だった
そんな事を悪気もなく言うような男のことは、信用もできないし、幼心にも好きになんてなれない
やつが好きになる相手は所謂可愛い系、例えるなら子犬のような忠誠心溢れ、守ってあげたくなるタイプだそうだ
私とは違う
やつの目からは、私の紫の目はとても冷たく見えるそうだ。
因みに私は十七歳、フェリクスは十六歳
私の方がお姉さんだ
やつが恋をするたびに、好きな子が出来たと必ず私に報告をしてくるこの異常性を理解してもらいたく、両親に言うとリージアに構って欲しいんだよ。
必ずリージアの元に戻ってくると笑って相手にしてくれない!
もう味方は兄しか居ないのだ
「リージア…相手の令嬢は誰だ?もうやつを押しつけて婚約を解消しよう。俺が陛下に話をしようか?」
冷静さを保ちながら新しいカップに入れられたお茶を口にした
「今度のお相手はルシアですわ」
カインは口に含んだお茶をブハッと吐いた
「お兄様、大丈夫ですか?」
ハンカチで兄の口を拭こうとする
真顔の兄が
「ルシア…だと?お前の義妹の?」
「えぇ、お兄様の義妹のあのルシアです」
沈黙が続く室内に殺気立つカイン、居心地が悪い
「それでリージアはどうするつもりだ?殺すか?」
「え?どっちを?」
驚くリージアを他所に
「そうきたか!」
と笑い出す兄の性格の悪さよ
「はぁ。とりあえず私はあの人が嫌なのでルシアさえ良ければくっついて貰いたいんですよ。好きでもないのに王宮で教育を受けさせられて、苦でしかありません。最早苦行です!」
「苦行か…そうだな精神的に悪い。よし協力してやろうではないか、ルシアとやつをくっつけてやろう」
ニヤリと悪い顔をするカイン
「お兄様も手伝ってくださるのね!ありがとうございます」
そうして【フェリクスの真実の愛大作戦】が実行されることとなった
「まずはお茶会をプロデュースです」
「ルシアの好みはなんだ?」
「甘いお菓子です」
「ルシアの好きな色は?」
「パステルカラーです」
「ルシアの好きな花は?」
「薔薇です」
「バラ園のアーチにでも席を設けるか?チョコとケーキあたりを中心に用意だ!そうだ…」
と言い、メイドにルシアの好きなスイーツを聞くことにした、すると
「私には分かりかねます、ルシア様とは管轄が違いますから…少し調べて参ります」
頭を下げて出て行った
基本私と兄のメイド、侍従、侍女は連絡を取り合っているが、ルシアの周りはルシアを可愛がってくれる甘い人間だけ、注意をされるのを殊更嫌うルシアらしい。
両親も、実の親が亡くなって可哀想だからと甘やかしているのだけど。