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【揺花草子。】(日刊版:2021年)  作者: 篠木雪平
2021年10月
299/364

【揺花草子。】[#3561] エモい名前。

Bさん「すっかり秋ですよ。」

Aさん「すっかり秋ですねえ。」

Cさん「最近は陽が落ちるのもだいぶ早くなって来たわよね。

    阿部さんが跋扈する時間が長くなっちゃうわね。」

Aさん「なんですかぼく魑魅魍魎かなんかなんですか。」

Bさん「秋と言えばなんですか。」

Aさん「またそう言う面倒な事を・・・。」

Cさん「そう言う言い方は感じ悪いわね。

    やる気がないなら帰ってくれるかしら?」

Aさん「いやそう言うつもりではなく!

    なに言っても外される展開だなと!

    先手必敗にも程があるなって思って!」

Bさん「それはそうだよね。

    例えば阿部さんが『芸術の秋だよね』とか言ったら

    『何言ってんの秋と言えばスポーツの秋でしょ』とか言うし

    『読書の秋だろ』って言ったら『勉強の秋でしょ』って切り返すもん。」

Aさん「だろうさ。」

Cさん「『ダメージカット』と『必ずカウンター』アビリティ付きだからね。」

Aさん「継戦能力高すぎでしょ。」

Bさん「ま、ともかくです。

    秋と言えば実りの秋。果物が美味しいですね。」

Aさん「んん。そうだね。」

Bさん「秋の果物と言えばぼくは梨がいちばん好きなんだけど、

    葡萄や無花果もけっこうにお好み。

    そして忘れちゃいけない、柿なんかも好きなんです。」

Aさん「ほほう。」

Cさん「ちょっと固めでほのかに渋みが残ってるぐらいのほうが

    むしろ美味しいと思うのよね。

    やわらかくなっちゃうとデレが前に出すぎと言うか。」

Aさん「そんな感性で果物を味わう風習が存在するとは驚きです。」

Bさん「近所のスーパーに行くとさ、

    袋に10個かそんぐらいがっさー入って売られてるのね。

    これを買って来て、程よい大きさに切ってお皿に盛るわけ。」

Aさん「うん。」

Cさん「『お前はもう少し盛ったらどうなんだ』なんて思ってる?」

Aさん「思ってませんよなに言ってるんです!!?」

Bさん「当然ですが、柿を切れば種が出て来ます。

    平べったくて黒くて楕円形の。」

Aさん「うんうん。」

Cさん「その一方で、『柿の種』と言う米菓があるわよね。」

Aさん「あぁ、ありますね。

    いろんなフレーバーがあったりしますからちょいちょい買いますよ。」

Bさん「たしかに。季節限定の梅風味とか美味しいもんね。」

Aさん「あぁ・・・あれ美味しいねえ・・・。」

Cさん「あの『柿の種』って、三日月みたいな形してるわよね。」

Aさん「んん。まあ、確かに。」

Bさん「どう贔屓目に見てもあれを柿の種と言い張るのは

    けっこうな無理筋だと思うんだ。」

Aさん「いやそう言う事言うと嫌われるよ?

    確かに柿の種の形には見えないけどそこらへんは汲んであげるのが

    消費者のあるべき姿じゃないの?」

Bさん「それはそうだとも思うけどさ。

    もうちょっと良いネーミングがあるんじゃないかと思ってさ。」

Aさん「えー・・・例えばなにさ。」


Bさん「『月の種』とかどうかな?」


Aさん「月の種って何だよ。」


 じゃあ月の欠片とか?

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