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【揺花草子。】(日刊版:2021年)  作者: 篠木雪平
2021年01月
28/364

【揺花草子。】[#3289] 映える景色を探す。

Bさん「土佐日記あるじゃないですか。」

Aさん「土佐日記って・・・あの?」

Cさん「あの。」

Aさん「あの・・・。」

Bさん「概要をどうぞ。」

Aさん「えっと・・・紀貫之・・・」

Cさん「昨日のレースで負けた傷心を鹿おどしがある宿で癒しつつ

    次は直線では負けないと誓う人ね。」

Aさん「それは勅撰和歌集の撰者としての側面ですね。」

Bさん「あまりにも浅すぎる答えなのでもう少し補完しておくけれども、

    土佐日記はご存じ紀貫之が著した紀行文と言うか旅日記で、

    文字通り土佐つまり今の高知県から京への帰還の道中を記したものだよ。」

Aさん「あぁ・・・そう言う内容だったのは知らなかったなあ・・・。」

Cさん「ま、タイトルだけ有名で中身は良く知らないなんて良くある話よね。

    受験勉強あるあるよね。

    源氏物語だってタイトルは有名だけど中身は阿部さんみたいな

    ロリ好きおっさんの話だしね。」

Aさん「言い方よ!!!」

Bさん「ま、ともかく土佐日記。

    さっき内容については軽く触れたけれども、実はこの土佐日記の

    最も大きな特徴については敢えて言及していなかった。

    果たしてそれはなんでしょうか。」

Aさん「えっと・・・アレかな、ひらがなで書かれてるって言う。」

Cさん「あら一発正解。やるじゃない。」

Aさん「いやこの程度の事はさすがに・・・」

Bさん「そもそもこの時代、後の世に残る日記と言うのはつまり

    宮仕えのお仕事の記録みたいな、要するに業務日報の事だった。

    オフィシャルな文書だから当然この時代の標準だった漢文で書かれるわけだ。」

Aさん「ふむ。」

Cさん「人々がその日あった出来事をブログ感覚で書き残すなんて事は

    なかったわけよ。

    あったかも知れないけれども、後の世に残るような位の高い人が

    そう言うのを書くような事はなかったわ。」

Aさん「かと言って土佐日記がブログ感覚かと言うと。

    まあとは言え土佐への出張から帰京する様を綴ったものだってんなら

    出張報告書と言えなくもないのかもですね・・・。」

Cさん「いやだったらお前漢文で書けよ。って言われるわよ。

    報告書は漢文に限る。って言う社内ルールよ。」

Aさん「社内ってなんですか。」

Bさん「まあともかくこの時代の標準だった漢文ではなく

    よりプライベートな場で用いられるかな文字で書かれた土佐日記。

    有名な書き出しの文章はそらで言えるかな?」

Aさん「えっと・・・確か・・・

    『男もすなる日記にきと言ふものを女もしてみむとてするなり』

    ・・・じゃなかったっけ?」

Cさん「あらやるじゃない。」

Aさん「いやですからこの程度の常識は。」

Bさん「現代語に訳すと、

    『男の人が書く日記と言うものを女の自分もしてみようと思って

     始めるコトにしました!フォローよろしくね☆』

    って意味だよね。」

Aさん「フォローよろしくのニュアンスはどこにもないのでは。」

Cさん「もちろん紀貫之は男性であったけれども、

    この作品を描くにあたり女性を装っていると言う事よ。」

Aさん「まあ、そうですねえ。」

Bさん「作者の事を知らずにこの土佐日記を読んだ人の中には、

    この子こんな波瀾万丈のひとり女子旅とか大変だな守ってあげたいなと

    勘違いするオッサン層もいたんじゃないかな。」

Aさん「えっ・・・いやー・・・どうかなあ・・・。」

Cさん「でも実際には旅程の遅れをゴネるだけの

    ただのむさいオッサンだった。」

Aさん「だから言い方よ。」


Bさん「フォロワーさんにバレたらもう

    大炎上不可避だよね。」

Aさん「フォロワーとかいたの?」


 女子旅ブロガー・キノちゃんのドキドキ旅紀行。

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