2人の意思 第4章 第9話
第9話です、なんでしょうかね…なんで夏休みなのに、僕は学校に行ってるんでしょうか、まぁ三年生だし仕方ないのか…
〜暁大学・図書室〜
「…酷いなこれ」
武器を整えホーネットと共に暁大学に侵入した俺は、防犯カメラに映らないように工夫しながら、小さくなった図書室にやってきた。
確か…かつての襲撃で大半の本が使い物にならなくなり、図書室の規模が小さくなったんだったか。
だが…今度こそは無くなりそうだな。
と言うのも、図書室には警備員の死体が転がっていた、図書室はその死体の血でとても汚れている、本は…もう使い物にならなそうだな、ホラゲみたいになってる。
「あいつは人を殺さないと気が済まないのか」
「探偵も檀野彩芽も居ないみたいですね、しかし…現状を見るに朝倉は裏図書に行ってるみたいですね」
「多分そこに檀野を連れ込んだるんだろう、探偵が生きているのが…少し妙だが、気まぐれかなんかだろ」
「追いますか」
「お前…これを見て言うか」
裏図書の唯一の出入り口である、隠し本棚は入れないように鉄格子や鉄線ワイヤーなどが引かれ、しかもご丁寧に電気まで流してる。
「流石に鉄を切れる道具は持ってきてないぞ、それに…電気が流れてたら触らない、しかも簡単に外せないようにしてる
こう言う時だけ頭使うな、別の入り口を探して突撃しても、あいつは人質がいる」
「檀野 彩芽は私達も狙ってますからね、殺されてしまったら、どうにもなりませんからね」
「…それより、あいつは禁書を使って何をする気なんだ」
かつて暁大学に来たときは、禁書を世界中に公開して戦争を起こそうとしていたが、今回もそれが目的なのか、だが…そうだったらおかしい。
ホーネットの調べで、あいつはブラックチルドレンと敵対関係にあったと言う、実際あいつが拠点にしていた場所を念のために調べたが、チルドレンの死体がかなり見つかった。
ブラックチルドレンは朝倉と同じ目的を持っている、なら敵対する理由はないはずだ。
「戦争を起こす気はない、あいつの目的は禁書そのものにあるのか」
「目的がなんにしろ、朝倉をどうにかしないということには変わりないですよ、そのためにはこの鉄格子をどうにかしなきゃですが…」
「レシートが居れば、なんとかなったんだが」
「ん?呼んだっすか」
…気のせいか、今レシートの声がした気がする、まぁ流石に気のせいか、今日あいつは休みだし、重要な休みをゲームかナンパに使う男だ、そんな奴がこんな事にいるわけがない。
逆に居たら何しに来たんだ。
「あれ?レシート、結構久しぶりですね」
「1週間ぶりっすかね、と言うかあんたら何してんっすか」
「…気のせい…じゃなさそうだな」
俺はレシートの声が聞こえた方を振り返ると、そこにはレシート…と、何故か城戸 美穂が居た、それと美穂と仲良さそうに手を繋ぐ…中学生ぐらいの……誰だこの女
普通に見たことない、と言うか…
「なんでお前らがいる、と言うかどうやって入って来た、まず何しに来た」
「いや、兄貴の能力でちょっと…」
「誰だお前」
「まぁまぁ久詩落ち着いて」
そう言いながら美穂は謎の女とか間に割って入った。
「…何しに来た、ここはお前の出る幕じゃない、俺の仕事だ帰れ」
「帰るわけにはいかないだろ、朝倉がここにい……」
美穂は喋っている途中で、血まみれの図書室に転がる死体を発見したのか、一気に顔が真っ青になり、その開いた口が閉まる気配が無かった。
「閉じろよその口、と言うか…これを見て青ざめるなら帰った方がいい、どうせお前のことだまだ朝倉を信じてるんだろ」
「いや…それは……」
「いいか、確かに体育祭で助けられたかもしれない、だが…それだけで信じるな、あいつは…ただの殺人鬼で国家勢力の1つを潰した極悪人だ」
「わかってる、わかってるけど…」
やっぱり…こいつは甘い、と言うか夢を見過ぎで現実が見えてない、いや…見えているけど、目を背けていたいって所か、こいつがあの時殺していれば、こんな事態にはならなかった。
まぁ…それを否定する気はない、なぜならこいつは一般人、今まで人なんて殺したことなかった奴だ、いきなり人を殺せと言われて、殺せるわけがない。
逆に殺せたら…それは精神病か何かだ。
「帰れ、はっきり言って邪魔だ」
「邪魔だ…ってなんだよ、私は朝倉を止めに来た、あいつが何を目的なのか、それを知りたい」
正直に言って、また邪魔されそうな気がする、セカイを逃したのも、全てこいつのせいだと言い訳する気はない、だが逃げた原因を使ったのは確かだ
それに…今回は檀野の誘拐も依頼の1つ、誘拐するとなったら、確実に邪魔をする。
「言っておくが俺は殺す気でいく、別に比喩とかじゃない、確実に殺す」
「それは理解してる、あいつのやったことも…だけど死ぬだけだ罪の償いか、死んだ人の分まで生きるのが…本当の償いじゃないのか」
「その意見には賛成する、だが奴に殺された人の親族のことも考えろ、大切な人を奪った奴が呑気に生きている、それだけで許せない奴もいる
あいつを信じたい気持ちはわからなくもないが、諦めろあいつは人じゃないただの怪物だ」
「あいつは怪物じゃない、迷って間違える人間だよ」
「今回も迷ってるで済ませるのか、言うがな…」
「…あのさ、なんか兄貴の事言ってるけどさ、君何もできてないじゃん」
俺と美穂の会話に、謎の女が突然割って入った、良いところだと言うのに…
「確かに兄貴の発言は漫画の主人公みたいにキモくて臭いけど」
「おい…カンナ今なんて言った、そこまで言われたら私でも泣くぞ」
「だけど殺せば全て解決、って言うのはおかしいとは思う、それに…さっきから帰れとか言ってるけどさ、君…その電気が流れる鉄格子をどうにもできてない」
「確かに…そうっすよね」
「レシート、お前はこっちの味方だろ」
「帰る帰らない以前に、朝倉の所に行けてすらないじゃん、その時点で朝倉をどうこう言う資格はないんじゃないの」
「そうっすよ、そうっすよ!!どうするんっすか久詩」
こいつ…こことぞばかりに馬鹿にしやがって、後で覚えてろよ、あいつの冷蔵庫にあるバケツプリン全部食ってやる。
「…そう言うお前も、この鉄格子をどうにもできないだろ」
「できるよ」
謎の女はそう言うと、背を向け少し屈むと、背中からとても長い日本刀が現れ、謎の女はその日本刀を手に取る。
この剣…確か十刀が使って物か、刀の長さ的に簡単に作れるものじゃない、まさか十刀から奪い取った、いや…この女の能力は十刀と同じ
まさかこの女の…十刀か……
「月下夜中、私がこの剣で鉄格子ごと切る」
「ナイスっすカンナちゃん、とっとと鉄格子切っちゃいましょうよ」
「さっきの話し合いさ…簡単な話、どちらかが朝倉を拘束する、これで解決するよね」
勝手にルールを作られた、だが…悪い話でもない、用は俺が先に朝倉を拘束すれば良い話だ、檀野に関しては別の日に対処すれば良い。
まずは朝倉だ…
「なんでそうなる、カンナ言っとくが私は生かさないと行けないんだぞ」
「なんだ?自信がないのか、やっぱりお前の信念はその程度だと言う話だ」
「わかったよ」
美穂は少し迷いながら、首を縦に振った。




