開かない扉を開ける方法 第二章 第五十話
難波大学周辺にドーム状に黒い霧が覆っている、その光景を遠いビルから眺める、ダークエルフとピンク髪の男がいた。
「おい…どうなってるババア」
消えた中指を軽めに押さえるピンク髪の男は、車椅子に乗る老女を軽めに揺らしながら文句を垂れる。
「おいクソガキ揺らすんじゃないよ、私が寝たらどうするんだい」
「安心しろ寝たらその頭ぶっ叩いてやるよ」
「酷いことするね」
「そんなこと聞きたいんじゃねえよ、あの女はどうした、お前の能力で呼び出されせるんじゃねえのかよ」
「私の能力は霧に触れられてなきゃ意味はないんだよ、おそらく部屋の中にいるね」
「使えねぇ奴だな」
「だったらあんたがやりな、霧で電子機械は使い物にならなくしてる、凄いねこの大学は全部の扉が電子式だよ」
「なるほど、つまりここにいる奴らは部屋に閉じ込められていると、で後は俺が一つずつ部屋にいる奴を殺して
あの女を探せばいいわけだ」
「殺すのはあの女だけでいいだろ…」
「ミサリア?だったか、良いこと教えてやるよ、この世には75億人の人間がいる、そして俺以外の人間はどうでもいいんだよ」
「独裁的だね、まぁ私には関係な…ん?」
「なんだ死んだか」
「いま、変な奴が霧の中に入った、鳥?腕が羽の種族が霧の中に入って……あ、今大学に入ったね」
「大学関係者か?」
「おそらく違うだろうね、裏口から入ってる」
「コレが本当の裏口入学か…」
「つまんない事言ってないで、とっとと行ってきな」
「そうだな、50分…いや30分で終わらせる」
ピンク髪の男はそう言いながら背中から光を作り出し、その光は鳥の翼のような型に変わり、男はその翼を動かしながら、ゆっくりビルから落ちる。
------------
「ダメですわ、全然開きませんわ」
和美さんはそう言いながらドアの横にある機械を焦りながらボタンを押す、それでも開かないドアにイラつき機械を殴る。
「おいバカやめろ」
「こう言うものは叩けば治りますわ」
「お前の叩き方は瓦割の叩き方なんだよ、それにまず機械のコントロール権を奪われてるんだ、叩いても意味ない」
「カオルお前…もしかしてあのおばあさんの能力を知っているのか」
「おばあさん?あ…ミサリアの事か、あの人はかなりの有名人だぞ、長生きダークエルフのミサリア
風魔撃城バルファラク、に…何年だまぁ…中世の時代から住む、生きる伝説の人だぞ」
「中世の時代って…そんなに」
長く生きていそうだと思ってたけど、そんなに長かったのか、そんな人を働かせるって…ブラックすぎだろ。
「で、そのミサリア?でしたか、その方の能力はどのような能力ですの」
「黒い霧を発生させる能力だ、その霧の中にいる生物を好きな位置に移動させる能力、さらに電子機械の主導権を得る能力」
「じゃあこの現象はそのお方が…」
「電子式のドアが仇となったな」
「この扉を開ける本法は」
「ドアが開かなかった時は…確か、内側と外側にあるボタンのスイッチを同時に押せば開くはずですわ」
なんて周りくどいやり方。
「なんでそんな方法にしたよ」
「私に言わないで欲しいですわ」
「方法があるなら、大声出して外の人に…」
「バカか敵が来てるんだぞ、その声で敵がドア壊して入ってきたらどうする」
「それは…」
どうする、窓はないし…排気口から出入りするわけにもいかない、声を出さずに外のスイッチを押す方法があれば…
「あ、そう言えばカオル、あの人形を使えばスイッチを押せるんじゃないか」
「忘れたか、あの人形にはカメラが入っている、そしてそのカメラを元に俺は人形を動かしている
電子機械を無効化する相手だ、もちろんカメラが機能しているわけがない」
「でも、カメラがなくても動かせるだろ」
「お前は見えない所にあるロボットを操作できるか、しかも入り組んだ道の中を」
「だったらこの学校の地図、そしてその人形の居場所がわかれば操作できるか」
「ん?それは…なんだゲームの下画面のマップみたいな物か、まぁ時間はかかるだろうが、できるかもな」
「だったらいける、紙を少し借ります」
「え?髪ですの、私最近髪の調子が…」
「そっちじゃないだろ」
俺は近くにあった白紙の紙に記憶念写を使い、この学校の地図を白紙に写し出す、そしてその地図にルートを使い、人形の居場所を記す。
記憶の中にあるものを紙に念写する、記憶念写、そして地図に行き場所の印をつける、ルート。
組み合わせれば、なかなか使い勝手がいいな、特に迷子になった時とか。
「なるほど、それがお前の絆か、確かにそれを使えば操作できるな、だが時間はかかるぞ」
「わかってる、だからお願いします」
「…やってやるよ、失敗しても文句言うなよ、俺も初めてだからな」
カオルはそう言いながら、その地図を手に取り、その地図を元に人形を動かす。
〜5分後〜
人形がドアの前まで来た、そしてその人形と同時にボタンを押し、電子式の扉を開けた。
「よしあいたぞ」
「ご苦労様ですわ」
「ありがとう」
「させ、流石にヒカリが相手はまずいな、お前らは先に避難経路を使って体育館に避難しろ」
「カオルさんはどうしますの」
「残った生徒を避難させる、入りたての殺人者だが…ここの先生なんでな」
「私もやる、この出来事を入り込んだ原因を作ったのは私だしな」
「わたくしもやりますわ、皆をまとめるリーダーですので」
「勝手にしてろ、だが無理をするな、危なく感じたらすぐ逃げろ」
カオルはそう言いながら、人形と一緒に廊下を走る、そして和美さんと俺は別れて、生徒を避難させる。
団体行動した方がいいのでわ、と思ったがそれだと時間がかかるから、と言う事で二手に分かれた、どっちかが少年と遭遇する可能性もあるが…
それは一緒にいても結果は変わらない、生徒を守りながら撃退は無理だ、結果が変わらないなら、二手に分かれて避難誘導した方がいい、との事。
できれば遭遇しないで欲しいけど…
ビュー!!
「ん?なんだこの音」
「見つけたゼェ!!」
突然女性の叫び声が聞こえ、当たりを見渡していると、凄いスピードで両手が翼でできている、人間が凄いスピードで突っ込んできた。
「危な!!」
俺は間一髪の所で回避した、突っ込んできた女性は急ブレーキをかけ止まる、そして鋭い睨みを効かせ、振り返った。
「チッ、外したか」
白衣をきた女性だ、この学校の制服じゃない、と言うことは…この学校の保険の先生?それかぁ迷子か。
「ど、どちら様でございます?迷子なら後にしてください、今忙しいんです」
「俺は… 世界への反逆者、反逆者だ覚悟しやがれ、城戸 美穂!!」
「ラ、ライアだと」
こいつ、あのテロリストの仲間か、リーダーが入院中だから何もしないと思っていたから…来ないと思っていたが……
ここで来たか、しかもどうやって、だけどこんな奴に構ってる暇はない、早めに終わらせるしかない。
左手の銃は壊れたから少し心もとないが…仕方ない、右手の銃だけでやるしかない。
「こい、カストルβ」
床を突き破って、右手用の銃が俺の手元に現れる、今度は床から出てきたよ、この床の修理費誰が出すんだ、俺シーラね。
今はとにかくやるしかない。




