王都での日々
俺は国王陛下に言われるままアースドラゴンをアイテムボックスから出した。
地竜と言われる竜種で超大型魔獣である。
「これは間違いなく我領地の森で発見された巨大アースドラゴンです」
「これは大きいな。普通のアースドラゴンの一回り・・・嫌、二回り大きい。これはSクラスに分類される様な特殊個体ですぞ」
父とギルドマスターが騒いでいるがSクラス?いやいや瞬殺でしたよ?
「Sクラス・・・これ程とは・・・やはり今すぐに婚約してくれないか?」
「お断りよ!」
食い気味でミリアーヌが断るが俺にしか聞こえない。
「申し訳ございません。今すぐには考えられません」
「そうか残念だ。それでギルドマスター、どうだね?」
「はい、この傷一撃で倒した様ですが・・・剣ではなく魔法の様ですが、初めて見る傷です」
「アークこれは?」
「はい、魔法の威力が強すぎて、中級の魔物が跡形もなく吹き飛んでしまって・・・鍛治スキルと先日手に入れた錬金術スキルでこの様な魔法発射装置を作りました」
そう言って銃を取り出した。
「これは?はい、属性の魔力をこれに貯めてこの筒から発射する仕組みです」
「ほぅ、少し見せてくれぬか?」
「はい」
ハンドガンにマガジンを込めてスライドを引いた。
安全装置を解除して的目掛けて発射する。
パシュと音がした瞬間、的は破壊された。
「素晴らしい装置だな。これを兵士に持たせる事は可能か?」
「そうですね・・・魔力が足らないかと思います。先ずはご覧ください。ファイヤー」
掌から巨大な炎が上がる。
「1発に使う魔力はこれくらいです。そしてアースドラゴンを倒した物がこれになります」
そう言ってスナイパーライフルを取り出すと火の勢いが数倍になった。
「これにはこれくらいの魔力が必要です」
「うむ、無理だな。そしてこの魔力を操れるアーグクリストフはまたとんでもない少年と言うことか」
「これなら魔力を込めてお渡し致します。護身用にお使いください」
そう言うとハンドガンを国王に手渡した。
「いいのか?ありがたく使わせて貰おう」
それから国王にハンドガンの使い方をレクチャーして、アースドラゴンの査定を待った。
国王は暫く試し打ちをすると命中する様になっていた。
「陛下、その調子です」
「ワハハ、こうか?まずまず命中するな。弓より簡単だな」
「慣れれば簡単ですね。連射性能もこちらが上ですし、初弾の発射迄の時間も短縮出来ると思います」
「よし、礼をしなくてはな」
「いえいえ、礼など不要ですから」
「子供のうちから遠慮などするな、暫く王都にいるのだろう。届けさせる故待っていろ」
「は、はい。ありがとうございます」
「また、面白い物を作ったら持ってきなさい。武器だけではなくな」
「わかりました」
暫くするとギルドマスターが戻ってきた。
「査定額をお伝え致します。8億ドルドルとなります」
「は、は、8億!」
この大陸は共通通貨であり通貨単位をドルドルと言う。
約1ドルトル=1円となると・・・8億ドルドルは8億円・・・。
「はい、ここまでの完璧なアースドラゴンは今まで見た事がありません。そしてこの大きさです。通常のアースドラゴンと同じ報奨金とはいかないでしょう」
「そうか。ではギルドマスター、10億にしたまえ。一部だが私が買おう」
「ですが・・・」
「あのーその8億で十分です。使いきれません。それにまだ他にも売りたい魔物がいるのでそれもお願いします」
そう言うとアイテムボックスから大量の魔物を出した。
「これ全てお一人で倒したのですか?」
「はい」
「鑑定してみましょう。陛下、解体師を呼んでも構いませんか?」
「構わぬがそれならギルドで鑑定してもらった方がよかったかの?」
「ではアーグクリストフ様、アークドラゴン含めてギルドへとお待ち下さい。明日迄にお金はご用意致しますし、ギルド登録もお済ませ致しましょう」
「わかりました。お願い致します」
「アークよ、屋敷へと戻りなさい、我々も戻りましょう」
「うむ、アークよ明日は娘達も連れて行ってギルド登録をしてきてくれ。お主ならどんな護衛より安心じゃからな」
「はい。わかりました」
次の日
朝から王城へ徒歩で入ると第二王女マリーアルベルタと宰相の四女マインが待っていた。
「おはよう御座います」
「「おはよう御座います」」
「それではギルドへとこちらの馬車で向かいましょう」
それは王家の家紋が入った馬車であった。
「アーク様、アークドラゴンを屠ったとお聞きしました。凄いのですわね」
「本当ですわ。お強いのですね」
「この子達はなんなのー私のアークに近づかないでーーー」
「ありがとうございます」
ミリアーヌちょっと静かに!
ギルドは平民街と商人街の間にあって商人ギルドと隣り合わせになっていた。
冒険者ギルド前に王家の馬車が停まると中から冒険者が出てきてザワザワしていた。
「王女様ー可愛い」
「お前不敬だぞー」
「もう一人の子も可愛いー」
「真ん中にいるガキはなんだ!ムカつく」
「ちょっとあの男の子可愛いじゃない。お姉さんとこれからどう?」
など言いたい放題である。
ギルドマスターが飛んでくると冒険者を黙らせる。
「お前達黙れ。第二王女殿下と元帥閣下の三男アーグクリストフ様、宰相閣下の四女マイン様であるぞ、不敬だ黙れ!」
「王女殿下の取り巻きは英雄一族に天才一族かよ」
ギルドマスターの案内で闘技場へと案内された。
「アーグクリストフ様、こちらに魔物を出してください」
「わかりました」
「なんだか鑑定か?」
野次馬が煩い・・・
「「え、え、えぇぇぇぇぇ!アークドラゴン・・・Aクラス〜Dクラスの魔物がこんなに・・・」」
ハモってる
「アーク様、これは?」
「私が倒した魔物達です」
「凄いですわね」
解体師が集まって解体、鑑定が始まった。
ギルドマスター室に連れて行かれてギルド登録をする事になった。
「お三方、こちらの用紙に書いてください」
えーと。
氏名 アーグクリストフ・フォン・パワード
職種 魔法剣士
現在レベル 52
現在HP 15698
現在MP 20288
戦闘スキル、適正 身体強化神、身体能力神、魔法適正神、剣適正神、その他適正聖、各種耐性神、大賢者、探知
「アーグクリストフ様?このステータスは・・・」
「正確に書いたつもりですが何か問題ありますか?修正しましょうか?」
「いえいえ問題なんてありません」
「では、第二王女殿下、マイン様は最低ランクのF級冒険者からです。アーグクリストフ様はC級冒険者からお願い致します」
「アーク様C級からなんて素晴らしいですわ」
「本当にお強いんですのね」
「C級からでいいのでしょうか?」
「勿論です、本当ならA級でもと思っていたのですがそれは流石に他の冒険者からも反発も強くなってしまいますのでC級から初めてもらう事となりました」
「わかりました。よろしくお願いします」
「それでこちらがアークドラゴンの報奨金+買取金の10 億ドルトル、こちらがそれ以外の魔物の買取金の1千5百ドルトルです」
「アークドラゴンは8億ではなかったですか?」
「陛下が半分買い取る事になりましたのでお約束通り10億となりました」
「そんなに頂けません」
「気にしないで下さい」
確認して下さい。
先ずは10億ですがアダマンタイト金貨が10枚、こちらはミスリル金貨が1枚と大金貨5枚となります」
「はい、重い。すいません、このままでは使いにくいのである程度銀貨、大銀貨、金貨、大金貨に両替して下さい」
「わかりました。少々お待ちください」
貨幣
鉄貨1ドルトル、銅貨10ドルトル、大銅貨100ドルトル、銀貨1000ドルトル、大銀貨1万ドルトル、金貨10万ドルトル、大金貨100万ドルトル、ミスリル
金貨1千万ドルトル、アダマンタイト金貨1億ドルトル、オリハルコン金貨1千億ドルトルとなる。
1ドルトル=1円
ミスリル以上は大金貨の周りにその金属を使う形となりかなりとても大きくて重い。普段使いには向かない様な作りとなっている。
オリハルコンは別格、S、SS級冒険者や国家、豪商が持つとされている。
両替も終わり冒険者ギルドを出て王城へと戻った。
明日は学園の受験である。
特別に王女の部屋へと案内され、3人で少し勉強をして帰宅した。
受験当日
朝から学園へと馬車で移動して貴族用の門から入る。
貴族と平民では受験部屋や内容が別となる。
貴族の子供は幼い頃から教育されて育つ為に平民の子供には太刀打ち出来ない程の隔たりがある。
そんな彼等が萎縮してしまわない為の処置だ。
筆記試験は正直楽勝、小学生レベルの問題しか出ない。
スラスラと書いて寝た。
途中、担当の試験官に起こされ見直しをする様に言われたがその必要はありませんと回答用紙を見せたら驚かれた。
実技試験は攻撃魔法と防御魔法それと冒険者との魔法不使用の模擬試合。
模擬試合の相手はなんと最近S級となった2人だと言う。
もしかして・・・。
「久しぶりだな」
「先生、お久しぶりです。もしかしてS級冒険者って先生達のことですか?」
「ええ、私達の事ですよ」
「やっぱり」
そう、元A級冒険者の紅き咆哮の2人ダニエ先生とマーリラ先生だった。
「3人パーティーでアースドラゴンを倒したと聞きましたがもう1人は?」
「そいつはB級で今回A級に上がったんだ」
「そうなんですね」
「そんなことより聞いたぞ、単独で巨大なアースドラゴンを倒したって?早く上がってこないと俺たちが先にSS級冒険者になってしまうぞ」
「頑張ります」
「うん、あんまり頑張りすぎるな。直ぐに追い越されそうだから・・・。それに今日は手加減してくれよ、S級冒険者が瞬殺じゃ格好付かないからな」
「その時点で格好悪いわよ。アーク、お手柔らかにね」
「お前も変わらないだろー」
先ずは魔法の試験だ。
順番に呼ばれていく。
基本的には先に受験生が魔法を放ちそれをマーリラ先生が防御魔法で弾く。
全て魔法を打ち終わったら今度は受験生が防御魔法を放ちマーリラ先生の魔法を防御する。
魔法威力、制度、放つまでの時間、防御魔法の耐性等を試験する様だ。
ようやく俺の番だ。
先ずはファイヤーボールから。
ボオォォォっと掌に巨大な火球が燃え盛る。
「それは上級魔法?」
他の試験官は驚いている。
「あれはあの子の初級魔法だと思います」
マーリラ先生は流石にわかっている。
「はい。初級魔法です」
そう言って魔法を放った。
マーリラ先生は最高防御魔法を発動させると俺の魔法を弾いて見せた。
「次はウォーターボール」
また巨大な水球がマーリラ先生を襲うがこれも凌いだ。
「ウインドーカッター」
巨大な風の刃だがこれも難なく凌ぐ。
「ロックバレット」
大きな岩が防御魔法に食い込み破壊するもマーリラ先生の手前で落ちた。
「ライトボール」
光輝く巨大な光の球がマーリラを襲うがギリギリで耐えた。
「ダークボール」
これにはマーリラ先生の顔も引きつり降参した。
「全属性使えるなんて・・・あの子ヤバくない?」
等と聞こえるがこれは女神が勝手にした事ともうとっくに諦めているのだ。
次は俺が防御する番だ。
マーリラ先生は火、水、石、光の四属性持ちで冒険者にしては俺が入るまで最多の属性街だった。
そして四属性全て魔法を人差し指に展開した防御魔法で防御すると歓声が起きた。
次は武器を使った模擬試合だ。
俺の番になると歓声が一際大きくなる。
そんな黄色い声の中には当然批判的な声も混じるがそれを黙らせるには1分もかからなかった。
「始め!」
合図と共に懐へと斬り込むとダニエは上段から剣を振り下ろす。
そのまま鍔迫り合いとなるがそのまま押し込みダニエを仰け反らせることに成功する。
そのまま空いた首に木剣を添わせるとダニエは負けたと剣を下ろした。
「そこまで!」
「その身体のどこにこんな力が仕舞ってあるんだ?剣で押し込まれたのはアークが初めてだぜ。負けた負けた。またやろうぜ」
試合が終わると女の子等に詰め寄られるが直ぐにマリーアルベルタ王女殿下と宰相の娘マイン嬢がそれを静止させる。
「助かりました。ありがとうございます」
「いえいえ、それにしても凄かったですわね」
「そうですわね」
「ありがとうございます」
「筆記試験はどうでしたの?」
「多分、全問正解だと思います」
「流石ですわね」
「今年の首席はアーク様に決まりですわね」
「まだ発表されないとわかりませんよ。それより2人はどうでしたか?」
「私達も全問正解ですわよね」
「はい。アーク様のお陰ですわ」
「そんな事はありませんよ。お二人の頑張りがあったからです」
2日後
試験結果の発表
さあ、俺はどこかな?
「な、ない・・・どこにない落ちたのか?」
「ねーねー、上にトップ3って書いてあるところに書いてあるわよ」
ミリアーヌの指摘通り上に書いてあった。
首席は俺、次席がマリーアルベルタ殿下、そして三番目はマインだった。
「首席おめでとう」
「おめでとう」
マリーアルベルタとマインが祝福してくれた。
「マリーアルベルタ王女殿下にマイン嬢ありがとうございます」
「やめて、学友なのだからマリーと呼んで下さい」
「私もマインと」
「わかったよ。マリー、マイン、これからもよろしくね」
「「はい」」