4話 実技試験2
「アレン・アルトリウス、前に出ろ。」
とうとう俺の番がやってきてしまった。どう考えても合格出来る気がまるでしない。それでも俺は、自分に出来ることを考えていた。
「アレン・アルトリウス早く前に出てこい!」
「⁉︎、すいません、今行きます。」
どこからかクスクスと笑い声が聴こえてくる。でも俺には、そんなことに気を向けている暇はなかった。おそらく、今のところ人生で1番の相手が自分に攻撃を仕掛けようとしているのだから。
俺が剣を構えた途端にガントさんからとてつもない殺気が狭ってきた。
(っ!こんなの、子供に向けるもんじゃないだろう…。でもやらないと。)
俺はガントさんに向かって走り出した。そして真一文字に斬りつけた。その攻撃もあっさり防がれてしまった。
「その歳でこれだけの剣速とは…。やるな、お前。」
「剣術だけが取り柄ですか…っら!」
俺はもう一度ガントさんを斬りつけた。だが、今度は正面で防がれて鍔迫り合いになった。そうなったら俺のほうが圧倒的に不利だった。
「いい一撃だ。だがその程度じゃ俺にはとどかねぇぞ。」
俺は押し負けて1、2メートルくらい吹っ飛ばされた。その後、10分くらい攻撃を仕掛けたが、全部キレイに防がれて俺の体力も底をつきそうだった。
「10分もよく耐えられたな。普通なら5分くらいで倒れるのになぁ。しかも、お前はまだスキルを一回も使って
ない。そろそろつかってもいいんじゃねぇか?」
「……残念ですけど、俺は無能なのでスキルが使えないんですよ。」
「そうか…。じゃあこれでお終いだ。」
ガントさんはそういって右手を俺のほうに向けてきた。そして、
「火炎<フレイ>」
炎の弾が俺のほうに飛んできた。
(まあ、10分も斬りあったんだから合格出来るだろう。ガントさんも褒めてくれたし。疲れたしもういいかな?)
「あっ、それ防げなかったら不合格な。」
………え、えええええええええ!こんなのどうやって防げばいいんだよ。あぁ、もうダメだあたる。と、思っていたら、身体が勝手にうごいて火炎<フレイ>を斬りつけた。すると、火炎<フレイ>が真っ二つになってしまった。