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第七十三話 ストーカー退治? 後編その3

「美和ッ!」


「え?」


突如、後ろから響いてきた声に倉持は振り返った。

そこには大学生くらいの大柄な男性が、鼻息荒く立っていた。

丁度街頭の光が逆光になり、顔は見えない。しかしその姿を見た瞬間、この男性がここ最近自分の事を付けていたストーカーだと察した倉持は、一歩後ずさりをした。

しかし、目の前のストーカーは目に狂気的な光を宿したまま、倉持に向かって歩み寄ってきた。

倉持は思わずヒッと息をのんだ。


「なかなか迎えに来れなくてごめんね。いつもは周りの連中が僕らの邪魔をしてて...。」


男性はブツブツと意味不明なことを呟きながら、こちらに向かってくる。

倉持は恐怖を感じながらも、頭の中では?が飛び交っていた。


(どこかで会ったこと...ないよね。顔はよく見えないけど、知っている人にこんな背格好の人いないし。でも迎えに来る来ないってどういうこと?もしかして、本当に危ないタイプの人なんじゃ...。)


そんなことを思いながら、とりあえずはこちらに歩いてくるのを止めたいと考えた倉持は、喋りかけてみる。


「すみません。どこかで...お会いしましたか?」


「うん?まあ、直接会ったのは今日が初めてかもね。でも、運命というものに時間はないから、言ってしまえばこの地球ができた瞬間から、会っていたと言っても過言じゃないよね。」


うんうんと頷くストーカーの言葉を聞き、顔の引き攣った倉持は心の中で叫んだ。


(この人、ほんとに危ない系の人だ!彰人様!早く助けて!)


そう言って辺りを見回した瞬間、奥の路地からストーカーの後を追い、颯爽と現れた彰人を見つけた。

その姿を見た瞬間、安堵のあまり倉持は思わず叫んだ。


「彰人様!」


その言葉を聞いたストーカーは雷に打たれたように体を硬直させると、「み、美和が...俺以外の男の名前を...」と言いながらワナワナと震え始めた。

その後ろから彰人と葵が小走りでこちらに向かってくる。


「すまん。少し遅れた。」


そう言いながら彰人は片手を上げた。

倉持はもう一度「彰人様!」と叫びそちらに向かおうとしたが、それを彰人は手で制止した。

そして彰人に背を向けたまま体を震わせるストーカーに声をかける。


「お主、ここ最近倉持を付けていたであろう。何が目的なのだ。」


「...」


彰人の問いにストーカーは何も答えない。しかし、体の震えは増す一方だ。

倉持はその様子をハラハラとした気持ちで見ていた。


(どうしよう...この人多分たちの悪いタイプのストーカーっぽいし、急に逆上されて彰人さまに襲い掛かったりしたら...。)


また葵もその様子を少し離れた位置からハラハラした気持ちで眺めていた。

それに加えてスマホを触りながら困惑もしていた。


(豊島君、あんなにストーカーに直接指摘して大丈夫かな...。それになんでさっきから香織にメッセージを送っても既読にならないんだろう。周りにいる気配もないし...。)


そう思いながら葵は辺りに目を走らせる。

しかしこの場所には倉持とストーカー、それに彰人と葵の4人しかいないようだった。

葵はもう一度メッセージを送ってみようかと思い、スマホに目線を落とした。


「なんで!!!」


その瞬間、夜の静かな雰囲気を断ち切るように大声が轟いた。

葵は驚き前を見れば、さっきまで俯いたまま体を震わせていたストーカーが血走った目で彰人を睨みつけていた。

初めて正面からちゃんと顔をしたが、無精ひげが生え、髪もぼさぼさで、お世辞にも綺麗な顔とは言い難い男性だった。


「なぜ、とは何がだ。我が先に尋ねたのだが。」


「なんで!なんで!なんで!」


冷静なまま話しを続ける彰人だったが、興奮状態のストーカーの耳には入っていないようだった。

彰人はピクリと眉を動かし、(なんだ?話が通じないではないか。)と思いながら、その場で地団駄を踏むストーカーを見ていた。

そしてストーカーはひとしきり騒いだ後、指をビシッと彰人に突き付けると言った


「なんだお前!俺の美和と親し気に!このストーカー野郎!」


「は?」


全く話の脈絡が繋がっていない。彰人は目を少し見開き、ポカンとした。そしてそれは葵も同じだった。


(このストーカー...ダメな方のストーカーだ!)


葵は頭を抱えたい気持ちになり、彰人は初めて出会う人種に、向こうが何を言っているのか全く理解できなかった。

しかしその間にもストーカーのボルテージは高まっていく。


「美和には俺以外いらないだろ!お前みたいな意味わからないやつは邪魔だ!どっか行け!もしこれ以上、美和に付きまとうようなら...。」


ストーカーはそう言いながら肩に下げていたバッグの中に手を突っ込んだ。

そして取り出したものを見て、葵は小さく悲鳴を上げ、倉持は体を硬直させた。


「ふむ。我はそれを知らんが、おそらく友好的な手段に用いられる道具ではないようだ。」


彰人はそう言いながらストーカーの手元を見た。

その手にはおそらく改造品だと思われるスタンガンが握られていた。

彰人はそのスタンガンを見たまま、静かに尋ねる。


「お主...それをまさか倉持に使う気だったのではないだろうな?」


「お前馬鹿か!そんなわけないだろ!」


ストーカーは彰人の問いを速攻で否定した。


「これはお前みたいな美和に付きまとう男を退治するための武器だ!美和を守るために使うんだよ!」


それを聞いた彰人は「ふむ。」と呟きながら顎に手で触れる。そして「まあ、ならばそこまで思い罰は必要ないか...。」と誰にも聞こえない声量で呟いた。

その間にもストーカーは荒い息を吐きながら、スタンガンを構え威嚇をする。


「ほら、スタンガンを食らいたくないなら行けよ!そして金輪際、美和に近づくな!わかったな!」


しかしその姿とは対象的に、あくまで冷静なままストーカーの目の前に佇む彰人は、自分に向けられているスタンガンを目の端でとらえたまま、口を開いた。


「それは出来ん。」


「な...!」


彰人の言い放った言葉にストーカーは絶句した様子を見せる。

彰人は顔を上げストーカーの顔を見ると、はっきりと言ってみせた。


「どこかには行かん、と言ったのだ。なぜなら今日はストーカーから倉持を助ける必要があるからな。つまりはお主から...だが。」


その言葉を聞いた倉持は天にも昇る気持ちになった。


(彰人様が私を守ってくれてる!彰人様が私の事を気にかけてくれてる!)


倉持は嬉しさのあまり思わず彰人に駆け寄りそうになった。

しかしそれよりも早く反応をしたのが、目の前にいたストーカーだった。


「お、俺がストーカーだとっ!ふざけるなぁぁぁあああ!」


怒髪冠を衝く、とはこのことだ。

ストーカーは怒りを爆発させると、身体をぐっと前傾にした。

葵は口を手で覆い、倉持は思わず叫んだ。


「彰人様!危ない!」


しかし彰人はその瞬間、ストーカーの方を見ていなかった。

なぜならそんな倉持と目が合ったからだ。

そして(問題ない。)という風に、小さく頷いた。


「俺は美和の運命の相手だぞ!そんな失礼なこと言う奴は、これでも食らえぇぇえええ!」


そう咆哮したストーカーは、スタンガンを構えたまま彰人に向かって走り出した。

目で大丈夫と伝えられた倉持ではあったが、ストーカーが走り出した瞬間、やはり体を恐怖が襲った。さらに彰人の後ろにいた葵も同様だった。もしあのスタンガンを彰人が食らったら...そう考えた2人は目が釘付けになった。


しかし次の瞬間、一陣の風が吹いた。その風は不自然なほど強く、目を見開いていた倉持と葵は、その風に思わず目を手で覆った。

それと同時にドサッという何かが地面に倒れた音が聞こえた。


「彰人様!」

「豊島君!」


倉持と葵は目を覆ていた手を退けながら叫んだ。

しかしそのすぐ後に、目の前の光景にポカンと口を開けた。


「ふむ。電流を流す道具だったのか。」


そう言いながらスタンガンを手でもてあそぶ彰人の足元には、白目を向いて倒れるストーカーの姿があった。


「え?何が...なんでストーカーの人が倒れて...」

「あ、彰人様...えっと、お怪我は...」


2人とも一瞬のうちに激変した場面に、目を白黒させた。

スタンガンをいじっていた彰人はその言葉に顔を上げると、にこりと笑いながら言った。


「さて、解決だ。」

ふはは、まだだ、まだこの話は終わらんぞ!

...次でほんとにラストです。

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