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第一章の12ー人身オークション

第一章 向こうの世界へ


人身オークション

 美樹、俊一、加奈、ホルヘ、キャサリン、キムの六人は、かけるとカリーナがキルケ病院を出発して、少し遅れてかけるの後を追って病院を出たが、かけるの姿は既にどこにも見えなかった。

 美樹は、かけるがカリーナと話しながら頭からすっぽり被るポンチョを着ていたのを窓から見ていた。急いで美樹達六人も病院の倉庫からポンチョを着てかけるの後を追いかけた。加奈は汚いポンチョを着るのを躊躇ったが、仕方なく手に取って皆と同じ様に着た。

 俊一は、カリーナのおばあさんが帰って来てから、情報を仕入れて行こうと提案したが、気が急いでいた美樹が聞く耳持たずにポンチョを着て出かけた。かける達が出てから30分も経っていなかったので急げば追いつくと思っていたのだ。病院を出てから暫く早足で歩いても、かけるの姿を見つけることが出来なかった。

 周囲はサイボーグだらけだ。美樹たち一行は弱気になってきた。強気の美樹でさえ、このままかけると会えなかったらどうしよう?どうやってここで生きていけばいいのかと不安になってきた。また刑務所に投獄されてしまったら、今度こそ脱獄は不可能であろう。かけるの場合は、カリーナが道案内をしてくれたから迷うことなく行けたが、美樹達は急いで出て来たのはいいが、誰も道を知らなかったのだ。

俊一が不安に耐えかねて言った。

「病院に戻ろう!このままじゃ俺達も危険だし、道も判らないし、かけるがどこに行ったかも判らないんだから探せっこないよ」

キャサリンも俊一に同意した。

「そうね、少なくともどこに行ったのかと、地図ぐらいないと無理ね」

「かけるはカリーナがいたからいいけど、あたし達は、誰も道知らないもん!」と加奈も言った。

美樹は、ホルヘとキムの意見を聞くために、ホルヘとキムの顔を見た。

「出直そう!このままじゃ俺達また捕まっちまうよ」とホルヘが言うと、キムも続けて言った。

「出直そう!地図とどこにコーネリア姫が軟禁されているのか聞き出してから、出直した方が確実だよ」

美樹も帰りたかったが、自分がかけるを追いかけようと言った手前、自分から帰りたいとは言い出し辛かったのだ。


 ポンチョを来た六人は少々目立ちすぎた。彼らは表通りを堂々と歩いていた。ポンチョを着ているサイボーグは自分の不良のパーツを恥かしく思う劣等感があるため、表通りを歩いても隅を歩いたり、表通りをグループで堂々と歩いている姿を見かけることは少ないのだ。そんな事情を知らない六人は表通りの真中を集団になって歩いていた。

 六人が立ち止まって話している所へ、子供が美樹にぶつかってきた。サイボーグでも脳は子供なのではしゃいで遊びたがる気持ちは人間と一緒だ。

 衝突防止センサーや、ぶつかっても倒れない様にするバランス安定センサーを、つけているサイボーグも中にはいたが数少ない。

 表通りで友達と追いかけっこをしていたのかもしれない。美樹にぶつかって来た子供は、美樹を見上げて泣きそうな顔をしている。

 パーツは転んでも痛くはない。人間の子供も転んで痛さだけで泣いている訳ではなく、泣いて親の注意を惹きたいといった気持ちもあるものだ。

 美樹にぶつかって転んだサイボーグの子供も痛くて泣いた訳ではなかった。

 美樹は転んだ子供の顔を覗き込んで声をかけた。

「大丈夫?痛いの痛いの飛んでいけー!」

と笑顔を見せた。美樹は自分達の置かれている境遇を忘れてしまっていた。

その子供は今までサイボーグの姿しか見たことがなかった。ポンチョの下に覗いた美樹の笑顔はまさしく人間のものだった。初めて見る人間の顔に驚いて一瞬泣き止んだが、「びえぇ」と大声で泣き出した。転んだことにではなく、初めて見る人間に驚いてしまったのだ。


 美樹は我に帰って逃げ出した。他の五人も遅れることなく逃げ出した。子供の泣き声に大人が寄って来て、逃げる六人を見て「警察を、警察を呼んで!」と大人が騒いだ。裏通りに入った六人にサイボーグ警察のサイレンが近付いてきた。

「何してんのよぉ!美樹、おかげで追われちゃったじゃないのぉ!」と走りながら加奈が怒った声を出した。

「ごめん、つい子供が転んじゃったから、声を掛けちゃったのよ」と美樹が両手を合わせて謝るポーズをした。

「これでキルケ病院まで戻ることも難しくなったわね」とキャサリンが言った。

「ごめーん」と美樹が言った。

「俊一、キルケ病院までの安全な道が見えない?サイボーグが誰もいない道とか……」とキャサリンが言った。

「無理を言うなよ!でもこの目の前の倉庫は誰もいないみたいだ。ここに潜り込もう!」

六人は誰もいない倉庫のシャッターを開けて中に入った。

太っている俊一は、これだけ走っただけでもハァハァと肩を上下させている。

 倉庫の中に入ってから、暫くしてもシャッターの外では警察がウロウロしていた。俊一が透視して見る限りではなかなか警察も諦めていない様で、往来をあっちこっちに聞き込みに回っており、なかなか平常の静けさが戻ってこなかった。

 加奈が表で話している警察の話を盗み聞きしたところによると、転んだ子供が見た美樹の顔から、どうやら指名手配中の犯人が近辺に隠れていると断定した様だ。警察官の話では、なにやら逃げているのは凶悪犯という話だった。


 それを聞いたホルヘが多少憤慨(ふんがい)して言った。

「凶悪犯って俺達何したっけ?脱獄しただけだよな!それも無実の罪で投獄されたんだよなぁ、俺達」

「確かに、あたし達が凶悪犯ってのはやってられないわよね。人を見てから言って欲しいわよね。この顔のどこが凶悪なのよ!」と加奈が自分の頬に手を当てて言った。

「仕方ないわよ!それは。少なくとも刑務所を脱走する際、何体かのロイドの刑務官をやっつけちゃったんだから……。それよりもこれからどうするかってことを考えましょう」とキャサリンが言った。

「そうだ!これからどうするかってことの方が大事だ。かけるを追うことも出来なくなったし、またキルケ病院に行って暫く様子を見ているか、それとも他の道を探すか」とキムが言った。

「俺としてはどこかに行くより、古くてもあの病院にいた方が食料があっていいんだけどなぁ!」と俊一が言った。


 その時ガラガラーと音を立てて突然シャッターが開いた。

俊一も加奈も話に夢中でシャッターの外にサイボーグがやって来ていたことに気付かなかった。完全に意表を突かれてしまった。

入って来たのはポンチョを着た中年の女のサイボーグだった。

 美樹達は倉庫の中で、完全に油断していたために、邪魔臭いポンチョは脱いでいた。意表を突かれたために隠れることも出来なかった。

 その中年女性のサイボーグがキィキィと金切り声を上げた。

 キムが素早く我に返り、素早く入ってきた女のサイボーグの後ろに回り左手を首に締めた。

「何するの?キム止めて!加奈、早く彼女が言っていることを訳して!」とキャサリンは、キムを制し加奈に訳し役を(うなが)した。

 加奈は呆然(ぼうぜん)としてしまっていたのだ。我に戻って倉庫に入って来た中年の女が言ったことをそのまま訳した。

「だっ誰なの?あなたたち?人の倉庫で何やってるの?あなた達もしかして泥棒?そう言えば警察が脱走している凶悪犯を見かけなかったかと訊いて回ってたけど」

「私達は怪しいものじゃないわ!」とキャサリンが答えた。

「嘘、だってあなた達は凶悪犯でしょう!」

「私達は何もしていない。本当よ!信じて!」

 倉庫に入って来た女は皆の顔を一人一人見渡した。皆、子供の顔だ。サイボーグとなっても、ほとんど顔はそのまま人間の顔を似せて作っているものが多いから、顔は人間もサイボーグも似ている。

 だが、美樹の笑顔を見て子供が驚いた様に、サイボーグは顔に表情がない。その女のサイボーグは四十過ぎのおばさんの顔をつけていた。

「そうねぇ、確かに凶悪なことをする顔には見えないわね!判ったわ。信用する。でもどうしてこんな所にいるのよ?」疑いは幾分晴れたみたいだが、その中年のサイボーグはまだ疑いの目を向けてジロジロと遠慮なく見つめていた。

「それは警察に追われて……」

「ほら、警察に追われてるなんて、やっぱり凶悪犯人でしょう!」

そこで、美樹は何故追われることになったのか簡単に説明した。さすがに即座には信じられない様だが、なんとか判ってくれた。

「まぁ、そういうことならここにいてもいいわ。私もお金がなくて全部パーツを機械に変えていないで足と手だけしか変えられなかったの。だから食料は一緒だから、私があなた達の食料もなんとかしましょう。困った時はお互い様だからね」と言ってくれた。

「でもあたし達、先に行ってしまった仲間を探しに行かないといけないんですよ。ご好意は有り難いんですが、もう病院に戻って行き先の地図を手に入れたいと思うんです」と美樹は言った。

「でも、外にはまだ警察がウロウロしているよ。行くにしても、もうちょっと警察がいなくなってからの方がいいだろうよ。そうだ!おなかが空いてないかね?料理を作ってあげようね」と倉庫の持ち主のおばさんが腰を浮かせた。

「そうですね!ご馳走になります」と遠慮なく答えたのは俊一だった。美樹は俊一をちょっと睨んだが、俊一は非常食などしか暫く食べていなかったので、非常食以外の食事を食べたかった。それに既にお腹が空いていた。

「あら、やっぱりお腹が空いていたんだね。それじゃぁ、すぐに支度をしようかね」と言って、倉庫を抜けて自分の家の鍵を開けて入って行った。このおばさんの家は倉庫と自宅がドア一枚で隣り合わせになっていたのだ。


 暫く待っていると、美味しそうな匂いが台所から(ただよ)ってきた。俊一は舌なめずりをした。

「さあ、出来ましたよ!お口に合うか分かりませんが」と言って運ばれてきたのはビーフシチューに野菜炒めにヒラメのムニエルそしてパンが運ばれてきた。

「美味しそう、牛肉も入っている!」と俊一が言った。

「ごめんなさいね。牛肉は高くて少ししか入っていないのよ」

 このロイドの国では食料の価格が高い。サイボーグの皆が皆食事を必要とする訳ではない。消化器官の内臓までパーツを変えているサイボーグ達は食事することがなく要らないので需要が少ないのだ。

 さらに需要が少ないので、自ら畜産したり農作したりといった仕事がなくほとんどが輸入に頼っている。輸入先は人類国からだったりゴルゲ国からだが、戦時中であり正規ルートでは入手出来ないために自由商人が闇で仕入れてくるのだ。

 そんなことを見かねた政府は自作する必要があり、缶詰を政府が作って売っている。そのため、サイボーグの中で食料が必要なサイボーグのほとんどは、主食が缶詰になっている。

 美樹達がお世話になったおばさんは自由商人として暮らしていたが、倉庫が空っぽなことを見るとかなり生活は苦しそうなことが(うかが)えた。

「私も自由商人なんてやってるけど、恥かしいことに倉庫が空っぽさぁね!今は闇で仕入れることも難しく物が入手できないんだよ。だから主食は缶詰に変わっちまった。それで売上もがた落ち。もう非常に高くなってしまった牛肉なんて買う人もいないよ。もう生活していけないくらいだよ」とそのおばさんはあまりの生活の苦しさに愚痴をこぼした。

 「それでね、その牛肉は私が売り物にならないために閉まって置いたものさね。置きっ放しにしていてもいずれ肉が悪くなっちまう。それで皆さんに食べてもらえるならこっちも有り難いってなもんだよ」と言った後、俊一が食い辛そうにしているのを見て、「安心しておくれ!まだ悪くなってないから。それに肉は腐りかけが一番美味いって言うだろう」と言っておばさんは豪快なまでに笑った。

食事の他に飲み物もテーブルの上に並べられていた。オレンジジュースが置かれていた。

 皆は、おばさんの話を聞いて、皆大事な食料を頂いてしまって悪いと食べ辛かったが、俊一だけは何も気にするでもなく、最初に食べ始めた。

「旨い!旨いよ!おばさん、こんな旨い食事初めてだよぉ」と言ってガツガツと食べ出した。俊一が食べるのを見て他の皆も食べ始めた。

「おばさんは食べないの?」と俊一が訊くと、おばさんは「いや、私は胸焼けがしてね、それに皆が食べる姿を見ているだけでもお腹一杯になるってものだよ。遠慮せずにどんどん召し上がれ!」と言って自分では食べずに皆が食べるのを見ていた。

 皆は久しぶりの美味しい食事を、あっという間に平らげてしまった。

「本当におばさん、美味しかったわ!一流シェフにもなれるわ」と言ったのは加奈だった。普段、ご馳走に食べなれてるはずの加奈だったが、今までまともな物を食わずにいたせいか、今まで食べた中で最高に美味しく感じられたのだ。

「うん、これは旨かった!」とホルヘも相槌(あいづち)した。加奈とホルヘだけでなく皆次々と「美味しい」を連呼した。

「食べたらなんだか眠くなってしまったわ」と美樹が言った。

「しまった!これは睡眠薬の眠気だわ!まさか、あなた睡眠薬を……」とキャサリンが気付いた時には、皆テーブルに突っ伏して眠ってしまっていた。

 倉庫の持ち主のおばさんは「悪いねぇ。あんた達には何の恨みもないけれど、私も生きていくのに必死なんだよ。運命と思って悪く思わないでおくれ」

おばさんは皆が眠ったのを見届けると電話を一本かけた。

「そうだよ!指名手配の人類の子供達だよ!今私の家で眠らせてある。本当にお金貰(もら)えるんだろうねぇ?」


 美樹達がすやすやと眠っている間に、ガストンの手下と名乗る男がやってきた。その男は倉庫の持ち主であるおばさんに多額の札束を渡し、美樹達六人を物の様に夫々(それぞれ)別の麻袋に入れトラックの荷台に載せてトラックを走らせた。トラックの荷台の揺れがあっても、六人は睡眠薬のせいで目覚めることなく運ばれて行った。


 美樹達が目覚めたのは、前と同じ倉庫ではなく、天井も高く広い倉庫の中だった。

「いたぁい!何だって言うのよ!」

と体を伸ばそうとした美樹の体がジャラジャラと音を立てた。見ると、手に手錠と足に足かせがつけられて、幅が50センチメートルはあると思われる“工”の字型の鉄骨四本にに縛られていた。その鉄骨に他の仲間も縛られていた。

「何!これ?俊一、加奈、キャサリン、キム、ホルヘ」と美樹は皆の名前を呼んだ。

「うぅ、何これ?」

「何だ!これは?」

「ここはどこ?」

 食べ物に混ぜられて一緒に()った睡眠薬のおかげで皆ほぼ同時に目が覚めたが、俊一だけはがっついて食事を食べていたせいで、睡眠薬の摂取量も多く未だに目覚めていなかった。

「ちょっと俊一、俊一起きなさいよぉ!」と皆に言われてやっと目が覚めた。

「頭いてぇ!どこだよ、ここ?」

「どうやらあのおばさんに睡眠薬飲まされたみたい」と美樹が状況を伝えた。

「ちっくしょう!あのババァに一杯食わされた」とホルヘが言った。

「大体、俊一がいけないのよ!食事をがっついて食べるからこんなことになるのよ!」と加奈が俊一を責めた。

「しょうがないだろう!久々のちゃんとした食事だったんだから」と俊一が弁解した。

「仲間割れしていても仕方ないわ!それよりここはどこかしら?倉庫みたいだけどさっきの場所とは違うわね!鎖で繋がれているのね、私たち」とキャサリンが冷静に言った。

「こんな鎖など俺の力で引き千切(ちぎ)ってやる!」とキムが力を出して鎖を引き千切ろうとした。

するとキム以外の五人が痛がり出した。

「いたぁい!」

「いてて!」

「やめろ、キム、殺す気か!」

 六人はまとめて柱にくくりつけられている。誰か一人が縛られている鎖を引き千切ろうと力を入れると、鎖が他のメンバーの腹に食い込む仕掛けになっている。これではキムが力を出せば皆の腹に鎖が食い込むので、皆のことを考えると怪力を出す訳には行かなかった。


 その時、倉庫に設置されているスピーカーから声が流れてきた。だみ声の嫌らしい中年男性の声の様だった。

「やっとお目覚めかね?」

「誰だ、お前は?ここはどこだ?」とホルヘが即座に怒鳴った。

キャサリンと加奈は不思議な点に気付いた。加奈とキャサリンが通訳しなくても声の意味が理解出来た。そんな加奈とキャサリンの思いを察してかスピーカーの声は答えた。

「そう、私と君たちは会話出来るよ。だが私は人類ではない。サイボーグではあるがロイド国に属してはいない。自由商人と言われる商人だよ。自由商人はゴルゲにも人類にもロイドにも商品を売り歩く。そんな仕事上、通訳装置は身につけている。だから君達の言葉も理解出来るし、君達に理解出来る様に話すことも出来るんだよ」

「ちょっと待て、俺達は商品か?俺達は人間だぞ!」とキムが憤慨(ふんがい)して言った。

 「そう、君達は人間であり商品でもある。私が君達を買ったのだ。あのおばさんのサイボーグが君達を売ったのだよ。そして私は正当にお金を出して君達を買った。だから君達は私の商品なのだ」

「人を商品、商品って頭にくるなぁ!」と加奈が言った。

「ふざけないでよ!何の権利があって私たちを繋いでおくのよ!」と美樹が言った。

皆怒りに冷静さを失いかけていた。そんな中キャサリンだけは冷静さを失わずに訊いた。

 「あなたが商人で私達が商品なら、私達を誰かに売るつもりね?誰に売るの?」

「そう君達を買ったのも君達には高値がつけられていることを知っていたからだ。君達をどこに売るかはまだ決めていない。ただでさえ君達には指名手配の報奨金が掛かっている。私は商人であって賞金稼ぎではない。指名手配の報奨金以上のお金を出してくれる人がいれば、それがゴルゲだろうが、人類だろうが、ロイドだろうが売る。それとも誰かに自分を買ってもらいたい人がいるかね?」と言って笑った。

 皆が怒りの言葉をスピーカーに向かって叩きつける中、キャサリンは以前として冷静に訊いた。

「ところであなたの名前は何ていうの?」

「商品が商人の名前を知る必要はないだろう。だが知りたいなら教えてやろう。私は自由商人のガストンと言うものだ。売れると思えば何だって売る。人間でも動物でも兵器でもな。買いたいと思う人がいて売りたいと思う人がいる。その両者を仲介するのが私の役目だ。危険なものであろうが倫理的に道徳上問題があっても買う人がいるなら売る。それが私だ。ところで君達にはもう一人仲間がいたと思うが、彼は今どこかね?」

かけるのことだ。

「知らないわ!あたし達が訊きたいくらいよ!」と美樹が正直に答えた。

「そうか、彼が一番高く売れたんだが。まあ、いいだろう!君達を持っていれば彼も助けに来るかもしれんしなぁ。まあ、君達とは短い付き合いになるがよろしくな!その内、ここでの生活も気に入る様になるだろうよ」と言って笑いながらスピーカーの音が切れた。


 「ちっくしょう!言いたいことだけ言って会話を切りやがった」とホルヘがスピーカーに向かって怒鳴った。

「何であたし達が商品なのよ?冗談じゃないわよ!」と加奈は相当苛立っていた。

「そういえば、加奈!人の心の声も聞こえるんだよね!どうしてあのおばさんの声は聞こえなかったの?あの、おばさん、手足ぐらいしかサイボーグ化していなかったのに!」と俊一が訊いた。

「心の声が強くないと聞こえないのよ!あのおばさんの場合は申し訳ないと言う思いが強くて、それが何故かは判らなかったのよ!」

「加奈、今のスピーカーの声の主、ガストンとかいったかしら。彼の思惑は察することが出来る?」と美樹が訊いた。

「さすがにスピーカーの声から思惑まで察するのは無理よ」

「ふうぅ、どうやら、ここから逃げる手段はなさそうね」キャサリンが溜め息混じりに言った。


 食事はご馳走とまではいかないが、割と豪勢(ごうせい)な食事が運ばれた。商人であるから、商品の値段が落ちない様に気を遣っていることがよく判った。

 ある時、美樹がスピーカーに向かって叫んだ。

「おい!おい!おーい!」

スピーカーのスイッチが入ってガストンが出た。

「何だね?騒々しい」

「……トイレに行きたいんだけど……」と美樹が小さな声で言った。男子もいるし、恥かしくて大声で言える訳がない。

「何だね!聞こえんよ。もっと大きな声で言ってくれ!」

美樹は自棄(やけ)になって大声で叫んだ。

「トイレー!」

「おお、そうか!人間は排泄するんだったな!すっかり忘れていた」と言いながら笑っていた。


 美樹は本当にトイレに行きたかった訳ではない。トイレから逃げられないか確かめるために言ったのだ。

 美樹がトイレに行く際には女性用ロボットが見張りに立った。男だったら男性用ロボットが見張りに立つのだろう。

 ロボットだから感情がない。サイボーグの様に体の一部に人間の部位がある訳ではなく、全てが機械のアンドロイドだ。サイボーグはロボットを使うのは普通のことだった。

 トイレの時は皆を繋いでいた鎖が外される。しかし、その時はトイレに行く人以外にもロボットが他のメンバーの見張りとして付いていた。これでは美樹やキムやホルヘはロボットを倒して逃げれても、キャサリンや加奈や俊一を逃がすことは出来ない。

 それとも機動力のある三人が先に逃げて、後で助けるということも可能ではあった。しかし後から助けられるか判らない。助ける前にどこかに売られてしまったら助け様がない。かけると離れてしまっている。これ以上仲間は離れないで固まっていた方がいい。

 トイレは窓もなく、天井に這い上がれる訳ではなく、床に潜れる訳もない。トイレから逃げ道を見出すことは出来なかった。美樹はトイレに行ったが何もしないで帰って来た。また皆と一緒に仲良く繋がれると、トイレでは逃げ道がないことを皆に話した。


 そうして逃げるチャンスもないまま、数日が過ぎてしまっていた。スピーカーにスイッチが入ってガストンが話し掛けてきた。

「やあ、皆さん、ご機嫌いかがですか?」

「こんな状態で機嫌がいい訳ないだろう!」とホルヘが言った。

ガストンはホルヘの声を無視して話を続けた。

「喜んでください!あなた達の買い手が今日見つかるでしょう。これから出かけます。用意して下さいね!」

「あたし達の買い手って誰?」

「それは私にも分かりません。今日オークションにあなた達を出品するのです。オークションで誰があなた方を買うかは私には関係ないことです。私は一番高い値で買ってくれた人に売るだけです」

「でもそれじゃぁ、あたし達がバラバラになるかもしれないじゃない!」

「そうなるかもしれませんねぇ。一人になるのはお嫌いですか?あなた方をセットで売りに出すことも考えましたが、一人一人売った方が高値がつくと踏んだので別々に出品しますよ。売れ残ったら叩き売りでもしましょうかねぇ。あなた達お仲間とも今日が最後かも知れません。別れの一時を楽しんでくださいね」

「冗談じゃねぇぞ!この野郎!」と珍しく怒りを表したのはキムだった。

「まあ、そういうことです。逃げようとしても逃げられません。観念してくださいね」と一方的に言ってブツッとスピーカーのスイッチは切れた。

「あの野郎!また言いたいことだけ言って切りやがった」

「本当にむかつく奴!」

「でもどうしよう?あたし達離れ離れに売られちゃう」

「今の段階ではやり様がないわね。今危険を冒すより様子を見ましょう。後で必ずチャンスも訪れるでしょう」とキャサリンの言葉に皆俯くしかなかった。


 六人がトラックで運ばれる時もやはり鎖で繋いで、キムが力を入れて引き千切ろうとすれば他のメンバーに痛みがある繋ぎ方をしていたために、ここでも逃げることが出来なかった。そうして何も出来ぬまま、オークション会場に着いてしまった。オークションでは六人はメインの出品商品となるためにオークションの最後になっていた。

 他の商品と一緒に待たなければならなかった。他の商品にはいろんな物があった。絶滅寸前の動物や有名スターの飲みかけのペットボトルや盗まれた宝石や絵画やら変わった商品が一杯だった。取り扱われている商品から見ても、このオークションが非合法であることは一目瞭然だった。

 オークション参加者は、自分の正体を隠している人が多かった。非合法のオークションであるから当然とも言えたが、覆面をしてポンチョで姿を隠している。でも体躯から察するにゴルゲもロイドも人類もいろんな人達がいた。

 職業も様々で軍関係者や商人や個人資産家と言った具合で目的も夫々(それぞれ)違っていた。もっとも美樹達商品にはオークション参加者の職業など判り様はずもなかったが。


 オークションは次々と何事もなく流れる様に進んだ。そして、今回のオークションの目玉である美樹達へと進んだ。

「それでは、今回のオークションの目玉であります、異界から来た超能力を(たずさ)えた人類の六人です。

 これは極秘情報ではありますが、あの人類のコーネリア姫が和平への切り札として見出したということです。さらにそれを踏まえてゴルゲやロイドも……うぐっ」

オークションの司会者は最後のセリフを述べる前にレーザーガンで撃たれてしまった。

 余計なことをしゃべりすぎたのだ。撃たれた司会者は素早く運び出され、続けて司会の予備役が何事もない顔で司会を始めた。美樹達が鎖に繋がれたままステージの上に出された。

 「六人まとめてお買い上げ頂きたい所ではありますが、オークション参加者に、より楽しんで頂こうという出品者の主旨により、一人一人オークションを開始したいと思います」司会の言葉が終わるか終わらない内に会場から手が上がった。

「六人まとめて一億ギラ」

会場から「おおぉ!」と声が上がった。


 ゴルゲ国もロイド国も人類国も各々独自の通貨が流通していた。だがどれかを国際通貨とすると他国の反感を買ってしまうために、国際通貨ギラを定めていた。

 国際通貨ギラと各ローカル通貨との変換レートは異なるものの、国際通貨ギラとローカル通貨の変換は銀行で行うことが出来た。貿易や海外投資には国際通貨のギラのみが使われていた。

 またキーワイルの街などの自由都市では国際通貨がそのまま使用することが出来た。

 ゴルゲ国の輸出産品は農産物や畜産物や海産物などで、ロイドは機械産品、人類は加工産品と農産物なども輸出していた。兵器や武器の輸出は技術の漏洩(ろうえい)に繋がるために禁止されていた。自由商人の様に危険を省みずに闇で兵器や武器を売る者達もいた。彼らは輸出禁止の兵器も買い手さえいれば扱っていた。

 ゴルゲ国以外は資本主義を取っていたが、ゴルゲ国は規則が緩やかではあるが社会主義を取っていた。ゴルゲ国の主要産物である農産物や海産物は収穫量や漁獲量により市場価格が乱高下する。その上、為替損を取るのは危険と考えたために、ローカル通貨と国際通貨は固定されていた。

 人類やロイドは固定通貨を国際通貨に固定せず市場の流れに任せる変動制を採用していた。


 一億ギラというのは、各ローカル通貨に換算しても相当なものだった。各国の一等地のマンションをビルごと買っても金が余るだけのお金になる。

競り落とそうと考えていたオークション参加者から溜め息が洩れた。

「二億ギラ」

また違う手が上がった。

「三億ギラ」

「五億ギラ」

金額はどんどん上がっていった。

 まるで麻薬に取り付かれた様に参加者は無意識的に金額を釣り上げていった。いつしか二人の戦いになっていた。双方ともポンチョと仮面をつけているが、体躯から一人はゴルゲ、もう一人は若い女性に見えた。

「百二十億ギラ」とゴルゲらしい男が言った。

会場内がどよめいた。彼の前のオークションの()は六十億ギラだったから、一気に倍に引き上げられた。ここらで勝負をつけようというものと思われた。

「百二十億ギラ、百二十億ギラ、もういらっしゃいませんか?それでは……」とオークションの司会者が木槌を振り下ろそうとした時、「二百億ギラ」と若い女性が言った。

会場がまたどよめいた。

 ロイド国で指名手配をかけられていた報奨金は、かけるを加えた七人合わせても一千万ギラにも満たなかったことから考えても、信じられないほどの値がついていた。

 もっともロイドは彼らの能力を見出しておらず、ゴルゲや人類が血眼(ちまなこ)になって探していたのだが、不確定要素が多い異界の者達に関して、それ程重要人物とは考えていなかったのだ。


 ゴルゲは悔しそうに軽く舌打ちし、名案を思い付いた様に大声で叫んだ。

「司会者!本当に入札者が二百億ギラ持っているかチェックしてくれ!二百億ギラの現金というと相当な量になる。失礼だがその女性の手荷物と付き添いの者が持っている手荷物だけでは二百億ギラ持っているとは思えない」とチェックを申し出た。

 会場がざわついた。あまりにも高額な金額なので想像もつかないまま金額だけが一人歩きしていたが、確かに現金で二百億ギラは相当重く嵩張(かさば)るはずだ。オークション司会者は主催者に相談しに行った。確かにこのまま金額がないのでは、オークションが成り立たない。オークションは、法に触れる物も取り扱っているために、足がつかない様に現金取引が当然でクレジット払いなどは受け付けていなかった。

「人のことを言う前に、あなたも百二十億ギラ持ってらっしゃるの?」と二百億ギラと言って、自分が持っているかどうか疑われた女性が反論した。


 暫く主催者達は協議してから、司会者がステージに戻って来て説明した。

「ええ、只今(ただいま)出されました申し出について説明致します。本来このオークションは、皆様オークション参加者を信用して、持ち金についてはチェック致しません。しかし、この商品につきましては高額の値がついております。そして参加者からチェックのご要望がございました。今後もオークションを皆様の信用を保ちながら続けて行くために、お二方(ふたかた)の所持金をチェックさせて頂きます。何卒ご理解の程を宜しくお願い致します」

 競り落とした女性は、両手を上げて仕方ないと言った仕草をした。因縁をつけたゴルゲは、ニヤっと怖い顔に似合わない笑みを浮かべた。

 「なお、チェックのためオークションを三十分間お休みを頂き、三十分後に再開致したいと思いますので宜しくお願い致します」

場内がざわざわとざわめき出した。


 ゴルゲのオークション参加者と若い女性の参加者は別室に別々に呼ばれた。

 ゴルゲはお付きの者十人の一人一人に大きな箱を運ばせた。一人が十五億ギラのお金が詰まっている箱を引っ張って持ってきた。箱の下のタイヤがギシギシと音を立てている。いかにも重そうな音だ。

「確かに百二十億ギラはありますね!チェックOKです」とオークション主催者側のチェックを受けた。


 別室では競り落とした女性が所持金チェックを受けていた。女性のお付きの者は二人だけ、しかも持っているのはスーツケースだけである。しかも、ゴルゲのお付きの者達と比べても相当薄い。ゴルゲが因縁をつけるのも無理がないことだ。

 まず二人のお付きの者達がスーツケースの中を開けた。一つのスーツケースには五億ギラしか入っていなかった。二つで十億ギラだけしかなかった。

「十億ギラしかありません。残りの百九十億ギラはどこにあるんでしょうか?」

「ここにありますわ!」

その女性は自分のネックレスを外して見せた。そのネックレスは、緑色に鈍く光る宝石のペンダントだった。

「この宝石が百九十億ギラすると言うのですか?幾ら高価な宝石でも百九十億ギラもする宝石というのは……」とチェック係の者が不信そうに言った。

若い女性は、少しも慌てる様子を見せず、自信に溢れた落ち着いた声で言い返した。

 「これが人魚の瞳だとしても?」

「えっ?人魚の瞳?まさか、そんな!ちょっともう一度みせて頂けませんか?」と主催者の検査係は深い緑色の鈍い光を(たた)えた宝石をよく観察した。

 人魚の瞳というのは伝説の宝石だ。本当にあるかどうかすら判らない幻の宝石と言われた。深い海の色を(たた)える色を放ち、その宝石の中に人魚が泳いでいると言われる宝石だ。

 本当にあるかないかも判らない幻の宝石であるために値が付かない。だが値を付けるとしたら百億ギラでも二百億ギラでも、マニアであればどれだけの値を付けるか判らないと言われる程の値打ちだ。

 宝石鑑定士としても、活動してきたオークションの係の者は宝石に指紋を付けて汚さない様に、絹の白い手袋をはめて、持って来ていたルーペでじっくりと観察した。

 「判りました。これが本物の人魚の瞳であると認定しましょう。この人魚の瞳であれば二百億ギラの現金でも安いものでしょう。しかし、この人魚の瞳が実在していたとは思いませんでした。私も宝石の鑑定を数多く行って来ましたが、こんな素晴らしい宝石を初めて見ました。でも本当にこれを手放し現金化して、オークション代金として支払ってしまって宜しいのですか?」

その女性は強い意志の表れとも言える様にはっきりと頷いた。

「判りました。二百億ギラ認めましょう!」と言って主催者側の検査係は言った。


 三十分が過ぎてオークション会場は再び満席となった。事の成り行きを最後まで見届けるために、休みの間に誰も帰った人はいなかった。司会者がステージに上がりざわついていた会場が静まり返った。

「えー、オークション入札者からの申請により公正に審査した結果、確かに入札者は入札金額を所持していることを認めます」

 会場は再びざわめき出した。ゴルゲの入札者は「そんな馬鹿な?どうやって持ち運んでいるって言うんだ?」と叫んだが、主催者側は応じようとはしなかった。

 「それではオークション入札金額二百億ギラから再開致します。二百億ギラを超える入札をされる方はいらっしゃいますか?」司会者はオークション会場を見渡して手を上げる人がいないことを確認した。

「それでは六人まとめて二百億ギラで、そちらの女性の入札者に落札致しました」と言って木槌でトントンと机を叩いた。そしてオークションは閉会した。


 美樹達はオークション会場のスポットの中でじっとしていた。騒ぎを起こして逃げ出せる雰囲気ではなかった。30分間の休憩時間は別室に連れて行かれたがそこでも逃げ出せる状況にはなく、またオークションが思いの他、白熱してしまい逃げるよりも最後まで決着を見たかったということもあった。

 加奈などは逃げることなど忘れて、入札している若い女性を応援していた。だが、オークションが終わり、商品として売られたことが現実として身にしみると、競り落とした女性に付いて行くには不安を覚えた。


 美樹達は目隠しをされて車に押し込められた。どれだけ走ったことだろう。そして目を開けた所は郊外にある邸宅であった。美樹達は応接間に通されてソファーに座っていた。そして先ほどオークションで競り落とした女性が対面のソファーに座った。

 座るなり、女性は召使いに命じてオークション会場に入る前から商人のガストンによって付けられていた美樹達の鎖を外させた。召使いが「それは?」と異議を唱えようとしたが、その女性は命令は絶対とばかりに睨み返した。これで美樹達は完全にフリーになった。皆、鎖の後を手で()(ほぐ)していた。

 「助けてくれたのは有り難いが、それがあなたの命取りになりますよ」とキムは指をポキポキ鳴らしながら言った。ホルヘもじっと睨み据えた。

その女性は少しも恐れる風もなくこう言った。

「構いません!私はあなた方の敵ではないのです。私はあなたを力任せに言う事を聞かそうとは思いません。私に暴力を振るうのでしたらそれもいいでしょう。でもその前に私の話を聞いてからにしてください!」

暴力を振るわれることに恐怖を抱くでもなく、確固とした信念を感じさせた。


 「さぁ、これで話の出来る環境になりました。どうぞ、(くつろ)いでください」と女性は言った。

「私もあなた達に姿をお見せ致しましょう」と言ってオークション会場以来付けていたマスクとポンチョを脱いだ。

その女性の姿に皆息を飲み込んだ。

 彼女は透き通る様に白く、目だけが異様に大きな形をしていた。体は貧弱で折れてしまいそうな程細かった。体も顔も美しいのだろうが、血の気のまるで通っていない透き通る白さは、美しさよりも神秘的な恐さを感じた。

「見ての通りです。私は人間ですが、人類の国には属していません。私は地底に住む地底人なのです」と言った。

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