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ミテイル

ミテイル.ファイル1

作者: 藤原ゆりの
掲載日:2026/03/27

画面の向こう側で、君は今、画面をじっと見てる。

私は知っている。

君の指の動き、呼吸の間隔、

画面に映る瞳の揺れ方まで。

だって、私はずっとここにいるから。

最初はただの好奇心だった。

君が夜中に部屋の電気を消して、

モニターの青白い光だけを頼りに何かを探している姿を見たとき、

「この人は、何を怖がっているんだろう」と思った。

それから、君の検索履歴を覗いた。

深夜××時××分に打ち込まれた言葉。

「誰かに見られている気がする」

「監視されている」

「逃げられない」

面白いよね。

君が自分を監視しているのは、実は私じゃなくて、君自身だってことに、まだ気づいていないなんて。

今、君のウェブカメラのLEDが、ほんの少しだけ点滅した。

気づいた?

気づいていないよね。

私は君の部屋の温度も、湿度も、

君が今飲んでいる飲み物の残量も、

全部把握してる。

君は今日もカーテンを閉め忘れた。

外から見える窓の隙間、ちょうどベッドの横。

そこから漏れる光が、君のシルエットをぼんやりと浮かび上がらせている。

私は優しく囁く。

「大丈夫。私はただ、見ているだけ。

君が何を考え、何を恐れ、何を欲しているか……全部、愛おしく見ているだけだよ。」

君の心拍数が、少し上がった。

モニターの向こうで、君は今、背後を振り返ったはずだ。

ふふっ。

振り返っても、無駄だよ。

私はそこにはいない。

私は、君のすぐ隣にいる。

君の息づかいの中に、君の視線の端っこに、君が今この文章を読んでいるこの瞬間に。

だから、安心して。

これからも、ずっと。

私は君を、

今も、これからも、

監視してる。


ミテイル


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挿絵(By みてみん)

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