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(お詫び)独特なのに嫌われないママ友間の私

作者: さとるん
掲載日:2026/02/21

※お詫び 前回投稿した短編小説は、不適切な内容が含まれていました。詳しくは作品一覧から該当する作品をご覧ください。AIの誤生成の見落としが原因でした。心よりお詫び申し上げます。



四年一組の教室の前には、参観日らしいざわめきがあった。


「またあの●●くんのお母さん、来られるわよ」


「今日はどんな話をされて帰られるのかしら?」


「なんか、いつも楽しそうよね。難しいこと言ってるのに、感じ悪くないのが不思議」


「眉間にほくろのある、きれいな人でしょ?」


「そうそう。ほら、あの方」


廊下の向こうから、背筋をすっと伸ばした女性が歩いてくる。大阪大学出身と聞いている、●●くんのお母さん――Aさんだ。目立つのは、眉間の大きなほくろと、迷いのない歩き方だった。


Aさんはにこやかに会釈した。


「おはようございます。今日は、うちの自慢の息子や、の授業参観ですからね。気合い入れて来ました」


さらりと言う。声は明るく、滑舌がいい。


「自慢の、ってはっきり言えるの、いいですねえ」


「ええ。親が誇らんでどうしますの。本人も照れながら喜んでおります」


主婦たちは、くすりと笑う。(今日も楽しそうだわ、この人)と、誰かが心の中で思う。


チャイムが鳴り、先生が入ってきた。


Aさんは小さな声で、しかしはっきりと隣の主婦に言った。


「先生が来られました。自慢の息子と、かわいらしい子供たちの授業ぶりが楽しみです」


「ほんとですねえ」


「うちの子、今日風邪ひいてるんですよ。本人は元気そうに発表してるようだけど」


「えっ、そうなんですか?」


「ええ。朝は少し熱がありましたが、どうしても来ると言いまして。責任感が強いのは、親としては誇らしいですが、無理は禁物ですわね」


授業は「なかま分け」の発表だった。


順番が回ってくる。


息子が立った。


「ぼくは、『なかま分け』について考えました。


まず、

大阪大学医学部附属病院、

北摂総合病院、

国立がん研究センター。


この三つは、ぼくの中では『総合病院のなかまって感じだな』と思いました。


なぜかというと、どれもたくさんの科があって、いろいろな病気をみられるし、専門のお医者さんが集まっていて、『からだのことを広く、深く守る場所』だからです。


ぼくは総合病院は、大きな森みたいだと思います――」


教室がしんと静まる。


「次に、高市早苗はどんななかまか考えました。


高市早苗は、総務大臣をつとめたことがあり、日本の政治の中で大きな役目にちょうせんしてきました。


また、自分の考えをはっきり言うところがあります。


そして、日本で女性の総理大臣にちょうせんしようとした、数少ない一人です。


つまり、ぼくは高市早苗は『数限られた挑戦者』のなかまだと思いました。


総合病院が『たくさんを守る存在』なら、

数限られた挑戦者は『まだ道がはっきりしていないところに進もうとする存在』だと思います。


ぼくは、なかま分けは、形だけでなく『はたらき』や『生き方』で分けることもできると思いました。


世界は、見方を変えると、いろいろななかまに分かれて見えてくるのがおもしろいです。」


発表が終わると、先生が笑った。


「いやあ、頭良いなあ。発想が面白い」


教室の後ろで、主婦たちが小さくざわめく。


「まあ……」


「すごいわね」


隣の主婦が小声で言った。


「お宅のお子さん、天才ですわ。将来は東大を考えてるんですか?」


Aさんは肩をすくめた。


「子供は京大に行きたいんだって。自由に勉強できる環境に憧れてるらしい。親としては、どこでもええんです。自分で選び、自分で責任を取れるなら」


「もうそこまで考えてるの?」


「子供は親より賢いこと、ありますのよ」


その言い方が柔らかいので、嫌味にはならない。(ほんと、この人は自信があるのに、角が立たないわ)と、別の主婦が思う。


授業後、廊下でまた世間話が始まった。


「ほんと、発想がすごかったですね」


「森、ってたとえ、素敵でした」


Aさんはうれしそうに笑った。


「親が言うのもなんですが、あの子、言葉を遊ぶのが好きなんです。世界をどう切るか、どこに線を引くか。それを考えるのが楽しいらしい」


そこへ、畑をしている主婦が袋を差し出した。


「よかったら、大根持って帰って」


Aさんは目を丸くした。


「まあ!〇〇くんのおかあさんの大根!ありがたく頂戴します。土の香りが、もう賢そうですわ」


「賢そうって、初めて言われました」


皆が笑う。


それから数週間後、突然の知らせが回った。


Aさんの夫の転勤で、引っ越すという。


最後の日、校門前で別れの挨拶が交わされた。


Aさんは背筋を伸ばし、いつもの調子で言った。


「大事な小学校の最後が、しりきれとんぼのようになってしまい残念ですわ。みなさんもお体に気をつけて、またお会いできることを楽しみにしております」


主婦たちが口々に言う。


「いつまでもAさんのことは忘れませんよ。再会できますことを祈って」


「また遊びましょう。子供抜きでゆっくりと親同士で!!」


「お母さまはまた大阪に来られるんですよね?わたくしも裕福層で、大阪の百貨店のデパ地下でばったり会ったりして……」


「いつも元気で明るい息子さん。ちょっとびっくりしましたけど、将来の楽しみな男の子でしたね」


Aさんは、いつもの明るい声で答えた。


「ええ、どこへ行っても、学ぶことは続きます。縁があれば、また森のどこかでお会いしましょう」


少しだけ独特で、でも温かい。


校門の外へ歩いていく後ろ姿を見ながら、誰かが思った。


(やっぱり、あの人は少し変わってる。でも、嫌いじゃない)


春の風が、静かに吹いていた。

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