エピローグ
春の校庭は満開の桜に包まれていた。花びらが風に舞い、校舎の窓から差し込む光は柔らかく、どこか別れの気配を漂わせている。卒業式を終えたばかりの武田聡太は、制服の胸元に卒業証書を抱え、校庭に立っていた。隣には竹田沙織。二人は自然に並び、笑い合っていた。
「……終わっちゃったね。」
「うん。でも、これから始まるんだよ。」
沙織の声は少し震えていた。聡太は頷き、桜の花びらを見上げた。幼馴染という言い訳に隠された日々。秘密を守りながら過ごした時間。だが、今はもう隠す必要はない。
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式の後、クラスメイトたちが写真を撮り合っている。誰もが笑顔で、未来への期待に満ちていた。聡太と沙織も誘われ、並んで写真に収まる。友達が冗談めかして言う。
「お前ら、ほんとに幼馴染じゃなくて恋人だったんだな!」
聡太は笑いながら答えた。
「そうだよ。やっと言えるようになった。」
周囲は「やっぱりな!」と笑い、祝福の声が広がる。秘密はもう秘密ではなくなった。
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放課後。校舎の屋上に二人は立っていた。夕焼けが街を染め、風が桜の花びらを運んでくる。
「これから、どうする?」
沙織が小さな声で尋ねる。聡太は少し考えてから答えた。
「大学でも、ずっと一緒にいたい。幼馴染じゃなくて、恋人として。」
沙織は頬を染め、微笑んだ。
「うん。私もそう思ってた。」
二人の視線が重なる。沈黙はもう重くない。未来への期待に満ちていた。
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「ねえ、覚えてる?最初は“幼馴染だから”って言い訳ばかりしてたこと。」
「忘れるわけないだろ。あれがあったから、今があるんだ。」
「そうだね。秘密のスリルも楽しかったけど……これからは堂々と一緒にいよう。」
聡太は頷き、沙織の手を握った。温もりが伝わり、心臓が跳ねる。だが、その鼓動はもう不安ではなく、確かな決意だった。
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屋上から見下ろす街は、夕焼けに包まれて輝いていた。二人は並んで歩き出す。桜の花びらが舞い、未来への道を照らすように降り注ぐ。
「……これからもずっと一緒に。」
「うん。幼馴染じゃなくて、恋人として。」
二人は笑い合いながら歩き続けた。高校生活の秘密は、青春の思い出として心に刻まれ、未来への一歩を優しく支えていた。




