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言い訳は「幼馴染」  作者: 双鶴


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18/22

18話

二月の冷たい風が校舎を吹き抜ける。教室の空気はどこか落ち着かない。女子たちがそわそわと袋を抱え、男子たちは期待と不安を胸にしている。バレンタイン――高校生にとっては特別な一日だ。


武田聡太は机に座り、参考書を広げていたが、文字は頭に入らない。心臓の鼓動が速い。沙織がどうするのか、気になって仕方がなかった。幼馴染だから、義理チョコくらいはもらえるかもしれない。でも、本命だったら――。


---


昼休み。教室のざわめきの中、沙織が近づいてきた。小さな包みを手にしている。


「はい、これ。」


さらりと差し出された包み。聡太は慌てて受け取った。周囲の友達が「おー、幼馴染だから当然だな」と冷やかす。聡太は必死に笑いながら答えた。


「そ、そうそう。幼馴染だからな!」


だが、包みのリボンは丁寧に結ばれ、手書きのカードが添えられていた。そこには小さな文字で「いつもありがとう」と書かれている。


---


放課後。体育館の片付けを終え、聡太は校舎裏に沙織を呼び出した。夕焼けが差し込み、二人の影が重なる。


「……これ、本命?」

「どう思う?」


沙織は少し頬を染めて笑った。聡太は心臓が跳ねるのを感じながら、包みを握りしめた。


「俺、めちゃくちゃ嬉しかった。」

「なら、本命ってことでいいかな。」


その言葉に、聡太は顔を真っ赤にした。


---


沈黙が流れる。沙織が小さな声で続けた。

「でも、みんなの前では“幼馴染だから”って誤魔化すんでしょ?」

「……そうだな。でも、心の中ではちゃんと“彼女”って呼んでる。」


沙織は驚いた顔をしたが、すぐに笑みを浮かべた。

「なら、許してあげる。」


二人は目を合わせ、夕焼けの光に包まれた。秘密の関係は、バレンタインのチョコによってさらに強く結びついていった。


---


その夜、聡太は布団に潜り込み、チョコの包みを見つめた。リボンをほどくのが惜しくて、まだ開けられない。だが、胸の奥は温かく満たされていた。


「……やっぱり、沙織が一番だ。」


小さな声でつぶやき、目を閉じた。胸の鼓動は穏やかに、しかし確かに二人の未来を刻んでいた。


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