将来性がないと言われ婚約破棄されました。~私は私なりの幸せを見つけて生きてゆこうと思います~
「貴様のような痩せ細った女、将来性がない! これからますます偉大になる俺の相手に相応しくない! よって、婚約は破棄とする!」
婚約者エディゾレットはある昼下がりいきなり私の家へやって来て偉そうな態度でそんなことを宣言した。
彼が言うには私は痩せ細っているらしい。そして、それゆえ、将来出産も不安だし子を育てる能力もないだろう、という解釈なのだそうだ。べつに私はそこまで痩せていないし、正直言われている意味が分からないけれど。ただ彼はそう強く思い込んでいる様子だったので、仕方なく、私は婚約破棄を受け入れた。
……まぁ、彼に執着する意味もないし、ね。
そんな感じで婚約破棄されてしまった私だったのだけれど、婚約破棄から数ヶ月が経った頃にとあるお茶会で知り合った男性ルバートと結婚した。
結婚から一年で第一子を出産。さらにそこから一年半ほどで第二子を出産。またそれから二年と二ヶ月が経った頃に第三子を産んだ。そしてそこからは少し間があって三年ほど空いたけれど問題なく第四子を出産。そして一年ほどでまた続けて第五子を産んだ。
あっという間に大家族になったのだった。
ただ、ルバートはいくつもの収入源を持っている人だったので、子だくさんになっても経済的に困ることはなかった。
また、育児に関しても、彼はわりと協力的で。
余計な手出しをすることはないが放置もしない、という、ちょうど良い距離感を保ちつつサポートしてくれていた。
彼はとても良い夫だと思う。
ちなみにエディゾレットはというと。
結婚相手への理想が高すぎたためなかなか良き相手に恵まれず、そのうちにかなり荒んだそう。周囲からは「あいつは結婚は絶対無理だな、性格が悪すぎる」なんて言われているほどらしい。
あの時エディゾレットが言っていた言葉は現実にはならなかったようだ。
◆終わり◆