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明後日結婚式の予定だったのですが……その予定は崩れ去ってしまいました。

 数年付き合っていて婚約した彼ザバントと明後日結婚式を挙げる――予定だったのだけれど。


「んもぉ、ザバったらぁ、甘えて可愛すぎぃ」

「たはは。まぁな。けどさ、今はただひたすらに甘えたい気分なんだ」

「馬鹿ねぇ」

「お前が魅力的だからだよ。魅力的な女の子には甘えたくなるってものなんだ。好きだ、好きだよ」


 その日の夜、私は、ザバントが浮気していることを知ってしまった。


「婚約者いるのでしょぉ?」

「ああ」

「その人に甘えたらどうなのよぉ」

「それはムリ」

「どうしてぇ?」

「だって魅力的じゃないし」


 しかもそんなことまで言われていて。


「あーんな魅力ない女に甘えられるわけねーだろ? だはは!」


 ……許せるわけがなかった。


 だってそうだろう?


 浮気されているうえ馬鹿にされているなんて。

 そんなことをされて黙っていられるはずもない。


 なので私は証拠を集めることにした。

 時間はないのでかなり急ぎでだが。

 すると二人が浮気している証拠どんどん出てきて。


 ――そして、結婚式の日の早朝。


「ザバント、貴方との婚約は破棄するわ」

「は?」

「貴方浮気しているでしょう」

「はああ!?」

「知っているのよ、すべて」

「な、な、な……何言ってんだよ! お前、馬鹿にもほどがあるぞ!」


 何を言われても揺れはしない。

 心はとうに決まっているのだ。


「証拠を出せよ!」

「はい、じゃあこれ」

「え!?」


 終わりはもう決まったことなのだ。


「……いいわね? じゃあこれで、さようなら」


 こうして私たちの関係は終わった。



 ◆



 あの後私はザバントと浮気相手の女性それぞれから慰謝料をもぎ取った。


 おかげで良いお茶を味わうことができるようになった。そういう意味では、ある種の楽しさを得られたとも言える……かもしれない。浮気されたもやもやは消えないけれど。ただ、だとしても、償いのお金によって少しは癒しを得られたのだからまだ良い方なのだと思う。


 ちなみにあの二人はというと、あの後間もなく別れたそうだ。


 何でも、家と家が揉めたらしい。それによってザバントと女性の関係にもひびが入って。結果、二人は離れることとなったようである。



 ◆



 あれから三年。

 時の流れというのは本当に早いものだと感じる。


 私は先月とても良い人と結婚した。


 今はとても幸せ。

 言葉では表せないくらいの幸福感の中で息をしている。


 一方ザバントはというと、つい先日謎の病にかかり、落命したそうだ。



◆終わり◆

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