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積み木を積むという趣味は婚約者に理解されませんでした……。〜そして成功者となります〜

 私は積み木を積むことが好きだ。

 といっても単なる積み木遊びではない。

 様々な形、様々な大きさ、様々な個性を持つ多数の積み木を積んでゆくという、アート的側面を持つ積み木積みである。


 ただ、婚約者である彼ザルクストはその意味を理解できない様子で、彼は私の積み木積みをいつも馬鹿にしている。


「お前! またやってんのか、それ!」

「はい」

「いい加減やめろよ!」

「倒れると危険なので大声を出すのはやめてください」

「知るか! あのなぁ、積み木積みなんて三歳までだろ、大人がやることじゃないだろ。それを必死になってやるなんてお前あまりにも幼稚すぎだろ。なぁ! そんなことも分かんないのか? そこまで馬鹿か?」


 そうじゃない、と言いたいけれど、言ってもきっと伝わらないのだろうな……。


「もういい! お前との婚約なんざ、破棄だ!」


 突如叫ばれる。


「お前には付き合いきれない!」


 その時の彼は鬼のような顔をしていた。


「永遠にさよなら、だ!」


 ザルクストは走り去る。


 こうして私たちの関係は終わりの時を迎えたのだった……。



 ◆



 婚約破棄から二年半。

 自由時間を得た私は積み木アートにより一層熱心に取り組んでいたのだが、ある時とある芸術家にその芸術性を見出され、スカウトされた。


 そして私は積み木アーティストとなった。


 その独特の世界は意外にも人気になって。

 あれよあれよという間に有名人になっていった。


 ……自分でも信じられないような話だが。


 今は成功者として皆が知る存在となっている。

 積み木関連の仕事も多い。

 もうとにかくただひたすらに駆け抜けてゆくような毎日だ。


 それでも、やりたいことをやって生きられる日々というのは充実感があることは確かで、だから今は幸せだと心の底から思うことができている。


 そうそう、そういえば。


 私が有名になり始めた頃、ザルクストが私のところへやって来たことがあって、その時彼は「今ならやり直してやってもいい」と言ってきたのだけれど……なぜかやたらと上から目線で感じが悪かったのでお断りした。


 その後ザルクストは酒場で知り合った女性と結婚しようとしていたそうだが、その女性は実は詐欺師であり、結局彼は結婚はできなかったようだ。


 また、その一件で心を病み、今の彼は抜け殻のようになってしまっているらしい。



◆終わり◆

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