表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/424

なんてことのない平凡な秋のある日、婚約破棄を告げられました。〜私は未来を恐れない〜

「アイリーナ、お前はもう要らない」


 婚約者からそんな言葉を投げつけられたのは、なんてことのない平凡な秋のある日だった。


「これまで努力してきたがお前を好きにはなれなかった。だからもうやめにする。これ以上努力するのは嫌だ、面倒臭い、だから……お前との婚約は本日をもって破棄とすることにしたんだ」


 彼は冷たい目をして平然と言い放った。


「え……待ってください、そんなの、あまりにもいきなり過ぎませんか」

「いきなりか否かなんて関係ないことだろう」

「で、ですが……!」

「うるさい女だな。これまで相手してやったんだ、感謝してくれよ。というか、そもそもはお前のせいだろう。お前が面白みのない人間だからこんなことになったんだ、大人しく現実を受け入れろよ」


 終わってゆく。

 崩れてゆく。

 一度は確かに築いたはずの関係が。


「じゃあな、ばいばい」


 彼は唇に薄っすらと笑みを滲ませて。


「永遠にさよなら」


 最後ははっきりとそう言いきったのだった。



 ◆



 あの後彼は痛い目に遭ったようだ。


 まず婚約破棄を告げた翌日に母親が亡くなった。事故だったらしい。

 それでかなりのショックを受けていたところに、昔の恋人である女性から「お金貸してくれない?」と頼まれて。精神的に弱っていたこともあり断れず、貸してしまったそう。

 それは借金返済のためのお金に消えたらしい。

 また、その女性は、彼に借りたお金を返さないまま黙ってどこかへ消えた。


 それから少しして、妹が可愛がっていた飼い犬が謎の死を遂げた。

 それで妹は壊れてしまい。

 妹は心を病み、療養していたが、数週間も経たないうちに自ら命を絶ってしまったそうだ。


 で、その一件によって心を病むこととなってしまった彼は、一ヶ月も経たずに妹の後を追うようにこの世を去ったらしい。


 ちなみに私はというと、今はまた婚約者ができている。


 現在の婚約者とは良い関係を築けている。

 今度こそ急に捨てられることはないだろう。


 私は未来を恐れない。


 希望を信じて、歩む。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ