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12. 長い名前が素晴らしいモノではない

 グリフォンは力なく崩れ落ちた。

 首元には、その角を突刺した一角兎。


「アル=ミラージ…………だよな?」

 そこには額に一本角を持つ茶色い兎がいた。

 スウォルス大森林のあちこちにいる小型の魔獣。今まで何度か倒した記憶がある。肉は蛋白で、ミルトハーブを揉み込んでジャーキーにすると美味。

 

 次の瞬間、一角兎が微かに威風を放つ。

「レベルアップ?」

 グリフォンにとどめを刺した事でレベルアップしたのかな?

 微かな威風の発現は、幾度も繰り返され、傷付いたその姿も健常な状態に戻っていく。一体、幾らレベルが上がったのやら。捕食される側の小動物が、巨大な捕食者を殺したんだから、ジャイアントキリングどころじゃないだろうな。そんな事を思いながら、一角兎のレベルアップの終了を待つ。


name :

age  :1(♀)

race  :魔兎(茶毛種)

LV   :2→11

job  :一角兎


      前回値 上昇値 ジョブ特性値

HP   :16  +181( + 2)

MP   :11  +27 ( + 0)

STR  :6   +17 ( + 2)

VIT  :3   +9  ( + 0)

DEX  :9   +18 ( + 0)

AGI  :10  +46 ( + 5)

AVD  :11  +48 ( + 2)

MAG  :2   +9  ( + 0)

RES  :6   +19 ( + 0)


スキル  :逃走

      自己治癒(new)



 えっ?

 レベル11?9もレベルが上がってる。

 アル=ミラージじゃないのか、魔兎、一角兎。今まで、アル=ミラージだと思ってたよ。あっ、ワラストフェルトさんに、アル=ミラージの肉だって言って、ジャーキー出しちゃったよ。うわぁ、嘘ついちゃった。


 そう言えば、名前がない。

 スキルも二個ある。へぇ、あの角で突撃してくるの、スキルじゃなかったのか。

 なるほどねぇ。


 僕がステータスを見つめていると、一角兎は、なんとなくドヤ顔っぽい表情でこちらを見上げてくる。グリフォンのとどめを刺した事を自慢したいのかな?レベルアップを自慢したいのかな?でも、兎のドヤ顔って──なんか可愛い。


「ひょっとして、名前を付けた方が良いのかな?」

 一角兎の瞳が期待に満ちたものに変わる。

「そうか、お前も名前が欲しいか。格好良い名前をつけてあげるね」

 頷く一角兎。

 僕も気合いを入れる。


「じゃあ、名前を付けるね。最初の戦いでグリフォンを仕留めたんだから、そこを加味して。アル=ミラージと思ったら一角兎だったんだから、その辺も加味してと。可愛さと格好良さも加味────よって名前は、アルラビット・プリティファイター・グリフォンバスター」

 きまった!

 決まったでしょ

 最高の名前だよね!

 胸が高鳴ってくる。

 天空より華やかなファンファーレが響いてくるように感じる。

 一角兎も喜んでくれてるよね──何?その微妙な表情は?



 ◇


 ゲームの中での魔獣の扱いは微妙だ。

 ビーストテイマーが【魔獣捕獲】で捕まえた魔獣は、次のステージから出動させる事ができる。一体の魔獣が人一人分と同じユニット数にカウントされるので、当然、魔獣を出すと、人を一人減らす必要がある(オリジナル版では、巨人族や成長した竜種、オクトパス等の大型は、人二人分に換算)。

 色々と、不便な事もあるけど、マグスは一人だし、現実では出撃人数の制限があるかどうかも分からないし、今はいいだろ。


 通常、経験値が入るタイミングは二回ある。一つ目が敵を倒した時。二つ目が戦闘終了後に戦闘貢献度で配分される経験値だ。おそらくマグスはこの後、経験値をゲットしてレベルアップするだろう。

 でも、ゲームの中で一角兎みたいな小型の魔獣は敵にも出てこなかったし、当然、仲間にもならなかったはずだ。

 現実とゲームの違い?

 まぁ、気にしても仕方がない。

 何よりマグスが嬉しそうだから。


 俺がそんな事を考えていると、マグスの身体が微かに光った。レベルアップだ。

 慌てて確認すると、MPがマイナス2。つまり、MP9になってしまった。

 やっぱりあの兎が最初で最後の使役魔獣になっちゃうのか…………。戦力になるのか?

 グリフォンだったら良かったのに…………。いや、俺が変な色気を出さずに、倒した事のあるコカトリスにさせておけば良かったんだ。そしたら、捕獲成功してた筈なんだ。

 あぁ俺、ダメダメじゃんか。

 クソッ、足引っ張ってんな、俺。


 兎を見る。

 茶色い長い毛のタレ耳。ロップイヤーって言うんだったっけ。半分程毛に埋もれた紅い瞳と額に生えた角が魔に属する獣だとアピールしているようだ。

 でも、兎か…………。

 兎か………………。

 クソッ、可愛いじゃねーか!

 使役ってより、ペットだな。


 それにしても、マグスのネーミングセンスは最悪だな。

 アルラビット・プリティファイター・グリフォンバスター?

 兎自身も不安気な顔をしてるじゃないか。

 不安気?

 ある程度の言葉が分かってるのか?

 ある程度の意思疎通はできてるみたいだ。

 にしても、マグスのドヤ顔。ここは、義兄として一言っておくか。

『マグス、名前が長すぎないか?』

 結局、〝アルラビ〟に決まった。

 マグスは、どうしても〝グリフォンバスター〟を残したかったみたいだけど、俺と兎とで断固拒否した。

 なんとなく、俺とも心が通じてる気がする。

 ちなみに、アルラビは、俺の存在に気が付いてるみたいだ。

 俺を見つめる瞳が可愛いんだよ。


===============


name :マグス・ホッパー

age  :13(男性)

race  :人族 ファルチット民族

LV   :10→11

job  :ビーストテイマー

JobLV:14


      前回値 上昇値 ジョブ特性値

HP   :180 +24 ( +17)

MP   :11  一2  ( + 0)

STR  :31  +3  ( +12)

VIT  :66  +5  ( +17)

DEX  :26  +2  ( + 0)

AGI  :25  +2  ( + 2)

AVD  :16  +1  ( + 0)

MAG  :9   +0  ( + 0)

RES  :66  +3  ( + 3)


スキル  :短剣(LV5→7)

      魔獣捕獲 魔獣使役

      応急処置2

      アイテムスリング2


装備

武器 右 :大きなナイフ(攻撃力+5)

武器 左 :無し

頭防具  :無し

上半身防具:破れたポンチョ(防御力0)

下半身防具:破れたズボン(防御力0)

靴    :履き古したサンダル(防御力+1)

アクセサリ:無し





【昊ノ燈】と申します。


読んでいただき、ありがとうございます。

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 良いも悪いも作者のモチベーションとなります。


 楽しんでいただけたら幸いです。


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