27.クラスマッチ決め
27
「よ〜し、じゃあ今日はクラスマッチの種目決めをするぞ〜」
「「おおお!!」」
午後のHRで入ってきた担任が開口一番、そう言うとクラスから大きな歓声が上がった。
それは他のクラスも同じようで学校の至る所から歓声が聞こえてくる。学校中が喜びの声を上げていた。
それほどまでにこの学校のクラスマッチは人気なのだ。
「よし! じゃあ体育委員! 任せた!」
「はい!」
男子の体育委員が元気に立ち上がり、教壇へと向かう。女子の体育委員も同じく教壇に登った。
「まずは、バドミントンから決めます!」
「「おおおお!!」」
「じゃあやりたい人!!」
騒がしさが変わらない教室内。
完全にテンションが上がってしまっているなぁ。
体育委員の呼び掛けにチラホラとバドミントン参加者の手が上がる。
その中にはもちろん俺と遼太郎も居た。
「全員で10人か。ダブルスだから5チームっと。おっけい。あと1チーム必要だから2人誰かいるー?」
「あと2人ー」
体育委員が呼びかけるが特に誰も手をあげない。
「じゃ一旦飛ばして、次はバレー!」
「やるやる!」
「私も!」
「俺が決めてやる!」
しかしバレーとなるとクラスの大多数の目の色が変わった。
誰もが手を挙げて自分が出る時アピールしているのである。クラスのおよそ8割が手を挙げていた。
「うおっ。多いな…」
そんな中、前に座る遼太郎はその変わりように驚きを隠せないでいる。
「バレー人気だなぁ」
「まぁ最近アニメでブーム来てるしな」
「これ俺、参加できるのかねぇ」
バレーがここまで人気なのは最近流行りのアニメがバレーを題材にしているからだ。映画化までして大ヒットを記録している。
そのアニメに感化されてバレー部には多くの部員が入り、体育では多くの希望者が居た。
そのため今回のクラスマッチでも多くの希望者が出ると薄々みんなが勘づいてただろう。
俺は挙がっているクラスメイトたちの手の数を目で数えながらどうやって決めるのかなぁと体育委員の言葉を待っていた。
「うん。思った通り多いな。まぁこうなることは分かっていたので1クラス2チームまで出していいことになっている」
まじか。全然知らなかったわ。
各クラス2チーム出すってことはこの学年は全部で7クラスだから14チームか。クラスマッチは2日間開催だから多分総当りはないだろうな。グループ事に総当りのトーナメントか?
「あまりにも参加希望人数が多いので、1チーム12人として1セット事に交代って感じでいこうと思う。ざっと数えた感じ24人以上はいなさそうだから大丈夫だと思う」
「チーム分けはどうすんのー?」
「チーム分け長縄を決めた後に話し合おう」
「うえ〜い」
「じゃあメモするから手を挙げたままで」
体育委員はクラスのギャルの質問へ的確に回答すると紙に参加希望者の名前をメモし始めた。
その間、手を挙げたまま生徒たちは周りの人達と雑談を始めた。もちろん俺も。
「大変そうだな」
「そりゃあ、クラスマッチ仕切らなきゃいけないからな。クラスマッチって体育委員会の企画らしいし」
「え、まじ?」
「らしいぞ? 真子から聞いた」
「だから最近体育委員は忙しそうなのか」
「放課後とか2日に1回は会議してるらしいぞ」
「うわぁ…。すげぇ…」
俺はメモを取っている体育委員の田中君と佐藤さんを尊敬の眼差しで見た。そんな大変なことをやりながらも少しも疲れた様子を見せない2人はあっぱれである。
「よしっと。OK。手を下ろして大丈夫」
ちょうどそんな眼差しで見ていた2人がメモを取り終えたようでクラスメイト達は手を下ろす。
俺も手を下ろして少し疲れた手を揉みつつ体育委員の次の言葉を待った。
「じゃあ次は長縄だな。長縄やる人〜」
「俺が飛んでやるぜ!」
「私が回すね!」
「目指せ最多!!」
こちらもまさかの人気だった。
クラスメイトの約半分が手を挙げている。およそ15人。
中学の経験で俺の中で長縄はそんなに人気のない項目だと思っていたから意外だった。
「長縄も人気なんだな」
思わず遼太郎に声をかけてしまう。
「長縄は得点率が高いからな〜。好成績のクラスにはめちゃくちゃ点が入るんだよ」
「へぇ〜。勝つなら必要な種目なのか」
「まぁこれも真子から聞いたんだけど」
「高橋さん詳しくない?」
「あいつ今期から体育委員だからな」
「あ、そうなん? 知らなかったわ」
知らなかった。
でも確かに記憶を辿ると最近やった体育の時に前にいたような気がする。
「よし。長縄は10人以上なら何人でもいいからな。希望者全員参加だ」
「よっしゃあ!」
「任せろ!」
体育委員は先程と同じくメモを取っていき、全種目の参加者が決定した。
ちなみに男子はソフトボール、女子はバスケに強制参加だ。その他の種目は参加しなくても参加してもどっちでもいい。
「じゃあ次だ! バレーのチーム決めをする!」
「「おおおお!!」」
体育委員の言葉にまたもクラスが盛り上がる。
「じゃあバレーに参加する人は後ろに集まって、それ以外の人は少し自由にしててくれ!」
体育委員がそう言うとバレーに参加予定の人達が続々と後ろに集まり始める。
この教室は少し広く後ろに人が集まれる空間があるのだ。
俺も参加者として席を立ってその場所へと向かう。
その際、ふと気になって胡町の方を見ると胡町もこちらを見ていたようで小さく手を振られた。
昼間のこともあり少し恥ずかしかったが俺も小さく手を振り返した。
それを見た彼女がふいっと進行方向に顔を向けたのを見て俺も人だかりへと足を進めた。




