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26.攻勢に出る



「今日のHRは多分クラスマッチ決めね」

「だよね! 私はクラス違うけど!」


 昼休み。

 いつも通り胡町と遼太郎と高橋さんの4人で昼ご飯を食べていると胡町と高橋さんがクラスマッチの話をし始めた。


「な。多分クラスマッチのことだよな~」


 遼太郎が口をもぐもぐさせながらその話に加わる。


 

 俺たちの話題は午後からのHRの件だった。

 遼太郎が言ったようにクラスマッチの件は既に周知の事実だったようで、種目に関しても知られていた。

 俺は遼太郎から聞いてから初めて知ったのだが……。


「女子はバスケで男子はソフトボールだったよね!」

「そうね。あとはバレーとバドミントンと長縄が男女共通ね」


 これも書かれていたことだ。

 クラスマッチには男子と女子で分かれている競技と男女混合の競技がある。

 男女混合競技は大体これくらいにしてねと言う男女比率が決められていて、多くのカップルが一緒に出たり、そこから発展してカップルになったりしてるという噂がある。

 まぁ、同じスポーツを頑張るのだからそんな事も起きるだろう。


「春成はどの競技に出る予定なの?」

「んえ、俺?」

「そう。どの競技に出るの?」


 クラスマッチの内容などついこの間まで知らなかったので3人の会話を他人事のように聞いていると不意に胡町から話を振られてしまった。


「いや、特に決めてないけど…」


 最近知ったのでもちろん何も決めていない。

 どうしても出たい競技もないのでなりゆきに身を任せるつもりだった。

 

「そう言えば俺も聞いてなかったな。前一緒に出るって言ったから、バドミントン一緒に出ようぜ」

「え、ああ。もちろん良いぞ」

「おっしゃ。一緒に優勝しような!」


 バドミントンは決定っと。

 あとはソフトボールに出ればOKかな。


「てことで胡町。ソフトボールとバドミントンだな。俺が出るの」

「そう。バレーは出ないの?」

「…バレー?」

「ええ。私、出ようと思ってるから、一緒にどうかと思ってね」

「え」


 胡町から言われた言葉に思わず箸を止めてしまった。

 胡町は弁当の中のウインナーを口に運びながら平然と言った。表情になんの変化もない。


 え、待って。今一緒に出ようって誘われている?

 いや待て、友達だもんな。遼太郎に言われてるのと同じだもんな。な!


「どうかしら?」

「あ、お、おう。もちろんいいぞ」

「そう。……やった」


 胡町が小さく呟いた言葉が聞こえてしまった…。

 そのせいで俺は心臓がドキンとはねた。

 クリスマス会の時といい、この子は偶にこういうことをする。

 

 おそらく、遼太郎と高橋さんもその言葉が聞こえていたのだろう。こちらを見てニヤニヤしている。


「なんだよ」

「いや〜? いい感じだねぇ〜」

「…はぁ?」


 いや。友達だから一緒に出たいと言っているだけだ。勘違いしてはいけない。


「じゃ、今日のHRの時に一緒に手をあげてね」

「あ、お、おう」

「じゃあ私もバレーに出るよ! 2人と戦いたいしね!」

「ふふっ。望むところよ」


 先程までニヤニヤとしていたのに、はっとした表情をするとすぐに胡町に笑いかけている。非常に好戦的な笑みをしていた。

 笑いかけられた胡町も挑戦的な笑顔で高橋さんに答えている。


「…あれ、俺とは戦わないのか?」

「もちろん遼太郎とも戦うよ! バドミントンでボッコボコにしてあげるから!」

「よっしゃあ! かかってこい!」


 遼太郎が少し寂しそうな声で言うと高橋さんは遼太郎へ、これまた挑戦的に笑った。

 

 見るからにスポーツが出来そうな高橋さんと、バスケ部のエースにまでなる遼太郎の試合は面白いことになりそうだなぁ。


「楽しみね。クラスマッチ」


 隣に座っていた胡町が2人を見ながら微笑みながら言った。


「ん、ああ。楽しみ、だな」

「ソフトボールも頑張ってね? 応援に行くから」

「あ、うん。ありがとな」

「活躍してるところ見たいわね」

「いや、あ、うん」


 胡町はこちらを見てにこりと微笑む。

 前髪で目は隠れているがマスクを外しているため、鼻から下はしっかりと見えていた。



 ………!


 

 非常に整ったその顔が発揮した天使のようなその笑みに俺は目を奪われて固まってしまう。

 


「じゃ、私ちょっと御手洗行ってくるわね」

「あ、了解」 



 そんな俺を数瞬見たあと、彼女は食べ終わった弁当を入れてきた袋にしまうと教室を出ていく。

 俺はそんな彼女の後ろ姿から目を離せないでいた。






 ※※※






 トイレに入り、鍵を閉めて便座に座る。


「〜〜〜!!」


 先程までの自分の言動を思い出して彼女は顔を覆って声にならない叫びを上げた。

 彼女は良く熟れた桃のように耳まで紅く染めていた。


「言い過ぎたかな…」


 クラスマッチで一緒に参加したいとはいえ、強引すぎたかなぁ。

 でも千朿ちゃんと2人で勉強したって言ってたし、その時に千朿ちゃんが何もしてないとは思えない。

 あんな挑戦的な顔をしてくる千朿ちゃんが私があげたイヤーカフを付けた春成を見て何もしないとは思えない。


 だからと言って千朿ちゃんに確認するなんて真似は出来ないから私も強気にいったんだけど、引かれてないかな…。


「うわぁ…」


 必死に耐えてたけどやっぱり思い出すと恥ずかしすぎる…!


 しかもライバルは千朿ちゃんだけじゃない。

 ちひろさんもライバルになる可能性が高い。以前会った時には彼女はすっかり人が変わったように見えた。

 幼なじみに加えて美少女だ。それに彼が言うには性格も元は良かったらしい。なら、今後浮上してこないわけがない…!


 私も頑張らなきゃ……!!

 

 


 

 


 



 

 

 

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