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25.餃子とチャーハン!

「うえ~い! 俺の勝ちい!」

「なんでお前はそんなに上手いんだよっ!」


 昼ご飯を食べた後、俺は遼太郎と格闘ゲームをしていた。

 かれこれ3時間くらいの間、遼太郎と戦っているが全く勝てていなかった。


「練習の成果だよ」


 コントロールをぶつけたくなる程、むかつくどや顔をした遼太郎が勝ち誇ったように言う。

 

「帰ってからずっとやってる奴は違うぜ」


 今やっているのは最新の格闘ゲームだが、元々あったゲームの最新版なので基本的な操作は以前のソフトと変わらない。こいつはこのゲームを小学生からやっていて俺は中2くらいから始めているのだ。

 俺はそれなりには強い方でオンライン対戦ではあまり負けたことはない。それにもかかわらず、これまでに遼太郎に勝った回数は片手で数えられる程度しかない。


「俺はこのゲームに命をかけてるからな!」

「なら次でそれを終わらしてやるよ」


 俺は画面上のカーソルを動かしていつもの得意キャラを選択する。

 海外のダンサーの様な見た目をしているキャラでその見た目の通り、リズムに乗ってトリッキーな攻撃を繰り出すのが特徴的だ。


「終わらしてみろ。この俺を…!」


 遼太郎もキャラを選ぶ。

 こちらもいつもと変わらず上半身裸のこのゲームの主人公。格闘一家の跡取りという設定のキャラだ。


「いくぜ!」

「こい!」



 俺はコントローラーを強く握り次こそ勝つと意気込んで対戦に臨んだ。









 


 さらに3時間後。


「なんで勝てないんだ!」


 俺はボッコボコにされた俺のキャラを見て叫んだ。

 俺の攻撃が全てガードされ、カウンターされる。挙げ句の果てに大技まで決められる。

 遼太郎にダメージを与えることはほぼ出来ていない。


「ま、努力不足ってこったな」

「……」


 やれやれと言った様子でコントローラーを床に置く遼太郎。

 すかした顔がむかつく。


「さて、もうそろやめとくか」

「…ん、もうそんな時間か」


 遼太郎がそう言いながら時計を見たので俺も遼太郎の部屋の掛け時計に目をやる。

 時刻は19時前だった。


「風呂と飯食っていくんだろ? そろそろ風呂も沸くだろうしいつも通り一番風呂いけよ」

「あ、おう。んじゃちょっと失礼してっと」


 俺がこの家に来たときは必ず俺が一番風呂と言う事になっている。

 最後で大丈夫と言っても誰も許してくれない。意地でも俺より前に入らないのだ。

 なので今では有り難く入らせて貰っている。


 俺は遼太郎のタンスの上に置かれている俺の服を入れる様のバケットから下着と服を取り出す。


「よし。じゃ、入ってくるな」

「おう。上がったら次はいるから教えてくれい」

「おっけ~」


 そして俺は風呂に入るべく1階へと向かった。









 俺が風呂から上がると次々と遼太郎家が風呂に入り、すぐに夕食の時間となった。



「今日はチャーハンと餃子と卵スープよ~」

「餃子は私も一緒に作りました!」


 風呂の後、遼太郎と少しゲームをして1階に降りると遼太郎ママと千朿ちゃんがエプロン姿で食卓に料理を並べていた。遼太郎パパはソファで小説を読んでいる。


「ありがとうございます。すみません、何から何まで」

「何言ってるの。いつものことでしょう? 美味しく食べてくれたらそれでいいわ」


 手を動かしながらも顔だけはこちらを見ながら遼太郎ママは微笑む。


「そ! 春成さんはお客さんなんだから!」


 千朿ちゃんも遼太郎ママと同じく顔だけをこちらに向けて言う。


「ほら! 出来たから食べよ! パパも食べるよ!」


 食卓に料理と皿が人数分並ぶ。

 千朿ちゃんのその言葉を合図に俺と遼太郎家族は椅子に座った。


「じゃ、いただきます」

「いただきます」

「いっただきま~す!」

「いただきます」

「ありがとうございます。いただきます」


 それぞれが箸を取り、中央に置かれている大量の餃子をつまんでいく。

 チャーハンは既に茶碗に入れられて各自に配られていた。


 俺も餃子を取り、タレをつけて口へと運んだ。


「うまっ…!」


 噛んだ瞬間に肉汁が溢れ出てくる。パリッとした皮ともちっとした皮が食感に彩りを持たせている。さらには中にはショウガも入っているのか肉汁たっぷりでありつつもさっぱりとした味だ。

 俺は餃子が口の中からなくなる前に茶碗につがれたパラパラのチャーハンをかきこむ。こちらも味付けが絶妙で、餃子と合わせて食べることを想定していたのか薄味だがその中にしっかりと旨みを感じる。卵の甘みと調味料の塩味が上手く合わさっている。


「ふふ。本当に美味しそうに食べるわねぇ」

「美味しいです!! 本当に毎回言ってるかもですけど、料理上手すぎますね」

「嬉しいわぁ。その餃子ね、タネを作ったのは千朿なの」

「…え! そうなの!?」

「あ、はい! 頑張ってこねました!」


 餃子を食べながら千朿ちゃんを見ると頷きながらニコニコしていた。この子はずっと笑顔だな。

 しかし、このタネを作ったのが千朿ちゃんとは。確実に遼太郎ママの料理の腕をしっかりと受け継いでいるなぁ。


「料理上手だね!」

「ありがとうございます!」

「まだ中学生なのにここまで上手だったら将来の家族は幸せになりそうだね~」

「あ、え、あ。ありがとうございます!」


 いや本当に美味い。

 将来には他の料理も上手になってそうだ。そんな料理を食べられるなら将来の彼女の家族は非常に幸せだろうなぁ。


「ん、春成」

「んあ。どした」


 俺が餃子を口に運んでいると遼太郎がチャーハンを食べながら話しかけてきた。


「クラスマッチ今度あるじゃん」

「え、ああ。うん」


 急にクラスマッチの話なんて突然にも程がある。まあ、いつも思いつきで話す奴ではあるが。

 クラスマッチか。

 うちの学校で今月に予定されているクラス対抗のスポーツイベントだ。これまでは3年生が仕切る4つのグループに分かれて、グループ対抗として競っていたが、3年生が受験でいないためクラスごとに競うことになる。

 

「お前何に出るの」

「え、競技ってもう決まってるっけ」

「決まってるぞ。確かこの前学校のポータルに来てた」

「あ、マジか。見てないわ」

「そろそろ説明あると思うけど」


 どうやら学校のポータルサイトにクラスマッチについての記述があったようだ。

 いつもクラスのページしか見ないので気付かなかった。


「なんか一緒に出ようぜ」

「もちもち」


 俺たちはその後も食卓を囲んだ。

 




 食後。

 千朿ちゃんが用意してくれたココアを飲んでいると21時を過ぎたので俺は遼太郎宅を後にした。

 遼太郎達は本当に俺に良くしてくれる。暖かく俺を迎え入れ、送り出してくれる。

 そのことに感謝しながら俺は自宅へと歩を進めた。


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