妖精の襲撃
道具いじりをしていると、俺は寝食を忘れる。男がいないと、なんて言っていたくせに、それすらも俺は忘れて地下に引きこもろうとしていたのに、元妖精のナナキは我慢できなかった。
資料片手に、義体に憑いた妖精二体に、色々と聞いていると、ナナキが強制的に、地下から引っ張り出したのだ。
「今日こそは、一緒に寝ましょう」
「もっと、色々と試したいんだけど」
「僕に聞けばいいでしょう!! 教えます」
「探求心は大事だ。それに、最終的には確かめないといけないんだ。だったら、自力で色々と調べたい」
「そう言って、あの義体と最後は閨事するのでしょう!!」
「やっぱり、そういう使われ方してたんだ」
ナナキは、義体を通して、妖精と俺が閨事するのが我慢ならないのだ。それなりに、悪用について予想はしていたけど、そうなのか。
ナナキは俺の部屋に引っ張っていくと、俺をベッドに乱暴に倒した。
「だいたい、あの義体は神の教えに反する存在です。妖精が人になる時は、羽を神に捧げることが絶対です。それなのに、あの義体は、神と同じようなことを可能とさせるのです。存在自体、悪なのですよ」
最低な俺のことが大好きなくせに、ナナキは、神の教えに随分と従順だ。吐き捨てるように言われて、俺は妖精の考えを片鱗だが、学んだような気がする。
ただ、疑問が残る。ナナキは義体に対して、嫌悪感を持っている。しかし、ハガルの妖精であるカーラーンも、カリンも、義体に憑いたが、特に何も感じていない。そこは、生きた年数なのかもしれない。ナナキは万年を生きる長寿の妖精だ。カーラーンとカリンはハガルと一緒に誕生した妖精だから、生きた年数はハガルと同じだ。
ナナキは我慢ならない、とばかりに、噛みつくように口づけする。口の端がきれて、口の中に血の味が広がる。
「義体を通しての閨事など、絶対に許しません」
「興味あるんだよなー。カーラーン、まあまあいいの、持ってるぞ」
怒りで顔を歪めるナナキだが、俺の情欲した顔を見て、ナナキは喜ぶ。そして、口づけを落とす。
「僕のルキエルだ」
「………」
俺は無言だ。俺が何を考えているのか、ナナキは読めないのだろう。少し、不安そうに表情を揺らす。
「ルキエル、僕こそが本物だ」
「まだ、本物には足りない」
「どこまでも、強欲だな」
俺が求める本物には、ナナキは足りない。ナナキはわかっていないのだ。気づいてすらいない。
俺は、ナナキにとっては本物だ。ナナキは羽を神に捧げ、俺の元に来たのだ。だけど、ナナキはまだ、本物ではない。俺はまだ、神に何も捧げていない。
おもむろに、俺の目を舐める。片目だけを執拗に舐めてきた。片目だけが視界が歪む。そのせいか、何もされていない方の目まで、釣られて、よく見えなくなる。
突然、とんでもない重圧を感じた。
これほどの重圧は、一年前、初めて高位妖精や最高位妖精を見て以来だ。いや、一年前の重圧なんて可愛いものだ、と感じるほど、この重圧は恐ろしい。
だけど、体はナナキから受けること全てを喜んでいる。この重圧は逃げなければならないのに、ナナキから離れられない。
ナナキは、俺の片目を指先で撫でる。優しく、だけど、ちょっと痛いような気がする。
「い、いやだ、」
ナナキが拒絶の言葉を小さく呟く。何かに抵抗しているようだ。
「ナナキ、やれ」
「ルキエル、そんなこと、言わないで」
「いいから、やれ!!」
俺が命じれば、ナナキは見えない何かからの抵抗をやめた。
ナナキは俺の片目をえぐり取った。とんでもない苦痛に、声をあげるが、防音をされているので、外には漏れない。
しかし、俺の異変に気づいたカーラーンが部屋に入ってきた。
「何をやっているんだ!?」
カーラーンがナナキを止めに入るが、何かに邪魔されて、吹き飛ばされた。
俺はとんでもない苦痛を受けていても、ナナキから離れられない。ナナキは俺の上に圧し掛かったままだ。暴れても、ナナキの力の前には、俺なんて無力だ。
まだ無事な目で見てみれば、ナナキは、禍々しい色をした丸い何かを持っていた。それを眼球がなくなった目に入れようとしている。
何を言っても、ナナキは止まらないだろう。だから、俺は苦痛に歯を食いしばって、ナナキがやることを待っていた。
そして、ナナキは禍々しい色をした丸い何かをえぐったほうの目に突っ込んだ。
途端、違う意味での苦痛が頭にまで響く。もう我慢出来なくて、俺はナナキを蹴った。
もう、快楽なんて感じない。それよりも、得たいの知れないものを入れられた片目から頭に向けて、とんでもない苦痛を受ける。何かが繋がる、とんでもない感覚だ。それを受けて、苦痛の声をあげるも、ナナキの拘束は外れない。
『気狂いになってしまえ』
ナナキの向こうに、誰かがいる。えぐられたはずなのに、見える!!
ナナキの向こうに、とんでもない威圧を背負った妖精がいた。美しいが、禍々しい何かを感じる妖精は、ナナキを後ろから抱きすくめ、俺を睨む。
『これで、終わりじゃ』
歪んだ笑みを浮かべる妖精。俺は、枕の下に手を突っ込み、ハガルから貰った妖精殺しの短剣を取り出し、妖精の背中に刺した。
『ぎゃあああああー------!!!』
とんでもない悲鳴をあげる妖精。そのまま離れようとするも、俺はナナキごと妖精に抱きついて離さず、さらに、妖精殺しの短剣を妖精の背中にさらに深く突き刺す。
「ナナキは俺のものだ!!」
とんでもない情報が体全てを駆け巡る。妖精憑きの格が上がったことで、妖精から受ける情報はとんでもない量となっていた。その量が、おかしくなっていた。
俺の片目に入れられた何かが、おかしくしているのだろう。それを確認する暇はない。それよりも、この情報から、俺は妖精とナナキとの繋がりを探し出す。
『離せ、汚らわしい!!』
「だったら、ナナキを解放しろ!!」
見えた!! ナナキと妖精を繋げる赤い糸が見える。俺はそれに向かって、妖精殺しの短剣をもう一度、突き刺した。
『ぎゃあああああー-----!!!』
また、とんでもない悲鳴をあげる妖精。深く突き刺して、俺は、ナナキと妖精との繋がりを妖精殺しの短剣で無理矢理、奪った。
ナナキと妖精を繋げる赤い糸が切れた途端、とんでもない量の妖精が、俺の所に向かってくる。それは、俺を通り過ぎ、やっと自由となったナナキの中へと消えていく。
それを確認して、つい、俺は妖精に突き刺したまま、妖精殺しの短剣を手放してしまった。瞬間、妖精はすっと消えていった。
あれほどの威圧感がなくなり、俺は呆然とした。そして、ナナキを探す。いつの間にか、ナナキは俺の上からいなくなっていた。
「僕は、なんてことをっ」
ナナキは、何故か俺から距離をとって、泣いている。
「ナナキ」
側にいてほしくて、俺は呼ぶが、ナナキは来ない。自責の念に押しつぶされ、泣いて、うずくまっている。俺の声は届いていない。
「ルキエル、動くな!!」
戻ってきたカーラーンが、俺を押しとどめようとする。妖精なのに触れられるのは、カーラーンが義体に憑いて戻ってきたからだ。
だけど、俺はナナキを確かめたくて起き上がった。
ただ、体を起こしただけで、俺はとんでもない情報を体全体で受けることとなった。その情報量は多すぎて、俺の頭は壊れた。
目覚めると、そこは随分と豪勢な部屋だった。見回せば、コクーン爺さんが使っている私室だ。どうしてここにいるのか、わからない。それよりも、倒れる直前に起こった出来事を思い出す。
「ナナキ?」
最後に見たナナキは泣いていた。俺はベッドから出る。
途端、頭は割れるほど痛くなる情報が全身を駆け巡る。とんでもない量の情報に、頭が受け止められないので、頭痛がする。
「それでも足りないのか。ほら、腕を出せ」
体調が悪すぎて、最高位妖精カーラーンがいることに気づかなかった。カーラーンだけではない。高位妖精カリンまでいる。
言われた通り、両腕を出すと、布を撒かれる。カーラーンに触れられる感触から、この妖精たちは義体に憑いているのがわかった。
「これ、何?」
「妖精封じの布だ。力のありすぎる妖精憑きを封じるために使われる。本来は、千年に一人生まれるという最強の妖精憑きに使われるものだ」
「ハガルに話したんだな」
「詳しくは話していない。事故にあって、妖精の目をつけることとなった、とだけ伝えたら、妖精封じの布を装着するように言われた。ハガルが作ったものだから、かなり強力だが、それでも、まだ力が溢れるのだな」
「妖精の目?」
目と聞くと、操られていたナナキが俺の目に押し込んだ丸い球のことを思い出す。俺は、ナナキに片目をえぐられたというのに、両目がきちんと機能している。目に触れようとすると、今更ながら、目隠しの布みたいなものがされていることに気づく。綺麗に世界が見えるから、目隠しをされているなんて、気づかなかった。
「すごいな、この目隠し。普通に見える」
「力のない人が使えば、何も見えない。ルキエルは、今、妖精憑きの力が暴走してしまって、見えているだけだ。外すな。それを外せば、また、壊れる」
「………どれくらい、寝てた?」
腕だけでなく、足にまで、妖精封じの布が巻かれる。それを眺めながら、俺はカーラーンから必要な情報を聞き出した。
「一か月だ。妖精封じの布を作り上げるのに、時間がかかった」
「俺が一か月、寝てる間、何かあった?」
「お前が壊れたことで、大騒ぎだ。しかし、妖精の悪戯だ、と私から説明したことで、大人しくなった」
「嘘ついたのか。悪い奴だな」
「低位の妖精は、こういう悪戯を平気でする。加減がないからな。間違ったことは言っていない。そう説明しただけだ。お前は重要人物だ。もう、あの部屋に置いておくわけにはいかなくなり、この部屋に移動となった。お前の治療については、私がやることで、余計な手出しをさせないようにした」
「助かった。それで、ナナキは?」
「お前が前使っていた部屋に閉じこもったまま、出てこない」
「ナナキに会いに行こう」
妖精封じの布を両手両足に巻かれたことで、動いても、あの恐ろしい量の情報は入ってこない。が、受け止められる量に情報が減っただけだ。これを四六時中受けるのかー。普通の人なら、気狂い起こすな。俺は無視して寝るけど。
なんとなく、この情報量の対処はわかってきた。無視すればいい。その無視が難しいのが人というものなんだが、俺は人の言う通りに動かないから、平気だ。聞き流せばいい。
俺が部屋を出ようと、ドアの前に立つと、勝手にドアが開いた。
ヘレンお嬢さんが部屋に入ってきた。ドアの前に立っている俺を見て、一瞬、呆然となるヘレンお嬢さん。
「ルキエル!!」
何を思ったのか、ヘレンお嬢さんが俺に抱きついてきた。
まだ、受け止める情報に混乱していた俺は、ヘレンお嬢さんを避けることが出来なかった。普段だったら、きちんと避けたり、止めたり、距離をとったりするんだけどな。
だけど、俺はヘレンお嬢さんを乱暴に離した。
「気安く抱きつかないでください。まだ、許してない」
一か月眠っていたといっても、俺にとっては、つい最近だ。内戦だって、つい最近起こったことだ。ヘレンお嬢さんが、俺を使って、その身の価値を下げようとしたことは、まだまだ許せていない。
ヘレンお嬢さんはボロボロと涙を零した。これには、俺は怒り続けることが出来ない。
「ずっと、ずっと、目覚めなくて、心配したんですよ!! 何をしても起きなくて、反応もなくて、ただ息をしているだけで!!!」
「と言われても、俺もよくわからないんだけど」
「そんなふざけた布をつけて!!」
俺の目隠しを取ろうとするヘレンお嬢さん。俺は目に見えない情報を受け続けているため、動くに動けない。
「やめないか!! また、ルキエルが廃人に戻るぞ!!!」
それを義体に憑いたカーラーンとカリンが止めてくれる。本当にギリギリだった。
驚いたように、ヘレンお嬢さんは俺を見る。そして、今更ながら、俺自身が可笑しい姿だということに気づいた。
「一体、何が」
「妖精の悪戯だってさ。妖精は、容赦がないから、とんでもないことをしでかすんだ。ほら、コクーン爺さんとこに報告に行って。俺は、ちょっと出てくる」
「こんな夜遅くに、どこに行くのですか!?」
「夜、遅く?」
俺には、世界は真昼のように見える。だけど、それは、妖精の力を使って見ている光景だ。
実際は、真夜中なんだろう。部屋が真っ暗なのに、俺は気づかなかった。妖精の力って、便利すぎて、困るね。
「それは好都合だ。行ってくる」
「一緒に行きます」
「ナナキの所に行くだけだ。逢瀬を邪魔するな」
傷ついたような顔をするヘレンお嬢さん。俺とヘレンお嬢さんって、そんな顔をされるような関係ではないんだけどね。無視するけど。
「コクーン爺さんに報告。どうせ、俺の様子を複数で見てたんだろう。俺が起きたのを確認したんだから、報告してきなさい」
「どこかに行ったりしないでください」
「行き場所がないんだから、行ったりしない。ほら、コクーン爺さんを呼んできて」
俺はヘレンお嬢さんに言い捨てて、さっさと部屋を出た。
物凄い情報を受けても、俺はそれを処理出来ない。時々、世界が歪むことがある。酔っぱらっているみたいだな。
「これ、どうにかならないのか?」
「ハガルは常に、これだ。慣れるしかない」
「すごいんだな、ハガル」
「時間をかけて、馴らしたんだ。私も知らなかったことだが、ハガルのような妖精憑きは、本来、今、貴様がつけている妖精封じの布を巻いて、力を抑えて生活するものだ。しかし、ハガルは隠された筆頭魔法使いであるため、それが出来なかった」
「確かに、こんな目隠しなんかされてたら、目立つよな」
「これまでの力ある筆頭魔法使いは、服だけでなく、その目隠しが、特別だと知らしめていたんだ。目隠しさえあれば、あんな姿を偽装する魔法を四六時中使う必要もなかった。お陰で、妖精操作は、ものすごく緻密だ」
「すごいな、ハガルは」
「だから、ハガルに頼れ。もう、お前一人で対処できる問題ではなくなった」
カーラーンがそう言うのは、ナナキの後ろに憑いていた妖精が、厄介だからだろう。
物凄い威圧感のある妖精だった。あれの前ではカーラーンは、子どもだな。実際、カーラーンは吹き飛ばされてしまったんだ。
最高位妖精カーラーンをも赤子のように吹き飛ばしてしまうあの妖精は、格が高いとか、そういう類ではないのだろう。俺の知識が足りない。
処理出来ない情報を常に受けていても、俺は聞き流すだけだ。もしかしたら、あの妖精の正体がわかるかもしれないが、情報を処理する必要なんてない。聞けばいいんだ。
元は俺の部屋だったそこに入る。中は、俺の記憶のままだ。一か月不在でも、掃除されている。
ベッドに、ナナキが丸くなって眠っている。真昼のように明るく見えるんだけど、夜なんだな。
俺が来たことに気づかないナナキを俺はおもいっきり蹴った。蹴ったけど、力のない俺の蹴りって、ナナキにとって、痛くも痒くもないんだよな。
だけど、ナナキを起こすには十分だ。ナナキはうっすらと目を開いて、俺を見た。目隠ししてるから、俺だって、気づいてないよな。
しばらく、俺を見て、ナナキは突然、覚醒したように飛び起き、俺の肩を掴んで目の前に立つ。
「ル、ルキエル、生きて」
確かめるように、俺に触れるナナキ。ちょっとくすぐったいから、俺は笑ってしまう。
「これで、あの気持ち悪いババアの支配から解放されたな」
「知って、いたのか」
ナナキは何かを恐れているのか、真っ青になって、全身を小刻みに震わせる。
「知ったのは、最近だ。ほら、俺の妖精憑きの格が上がっただろう。そのせいで、ナナキを縛る何かが見えたんだ。腹が立つな。ナナキは俺のなのに」
俺はナナキの胸に抱きつく。ナナキの感触を確かめるのだが、すぐに、離れた。
「お前の中、煩い。なんだ、これ。離れろ」
「そんなぁ!?」
「この、よくわからない目玉のせいで、見え過ぎるし、聞こえすぎるし、勝手に情報が頭に流れてくるし、散々だ。この目玉は何だ?」
ナナキが俺の目につけた玉のせいで、ナナキの側にいるのも苦痛だ。ナナキは物凄く落ち込むが、仕方がない。
「ルキエルの目につけたのは、妖精の目だ。本来ならば、力の足りない妖精憑きの力を増強させるために使用されていた。しかし、これには、欠点があった。妖精憑きとしての才能がない者に使用すると、廃人となってしまうんだ。しかも、その妖精の目は、壊れている。才能云々は関係なく、暴走しているから、つけただけで、廃人だ」
「それで、あのクソババアは、俺に、気狂い云々、言ったんだな。それも、ハガルのお陰で、どうにか回復したけど。そんな面倒臭いことしなくても、ナナキ使って殺せばよかったのにな」
「妖精は、妖精憑きを殺すことが出来ない。それは、神が定めた法だ」
「それで、邪魔な俺を廃人にするしかなかったわけか」
このまま、俺がここに居座られても、あの妖精にとっては困るばかりなんだろうな。何せ、散々、俺は邪魔した。さらに、最高位妖精カーラーンまで味方につけてしまった。殺すことは不可能だというのだから、他の手段をとるしかなかったのだ。
「そうか、俺、一度、妖精を前にして、死を覚悟してたけど、あれは、俺を廃人にするためだったんだな。死ねないのか。詰まらんな」
「ルキエル!!」
「もう、離れろ。お前の中、煩いんだよ」
「仕方がないんだ!! 僕が解放されたことで、僕が支配している妖精も解放され、戻ってきてしまったんだ!!!」
ナナキ、もう泣いて縋っているが、俺はこの煩さには耐えられないので、距離をとる。
「せっかく、解放されたのに!!」
「俺が解放してやったんだ!!! 自力でやったみたいにいうな。恩着せがましい」
「ルキエル!!」
そんな俺とナナキのやり取りを見て、カーラーンは呆れる。
「可哀想じゃないか。せっかく、お前のために存在出来るようになったというのに」
「ナナキが俺のものなのは当然だ。俺は片目を捧げたんだ。ナナキはこれで、俺の本物だ」
だけど、あの頭が痛くなるような煩さをどうにかしないと、近づくに近づけないけどな。俺はナナキだけでいいんだ。他の妖精はいらん!!
「たく、俺のことは散々、浮気者と言っていたくせに、お前はどうなんだ。俺の側にやってきた頃から、あのクソババアに支配されていたなんて、詐欺だ」
「そ、それはっ、違うんだ!! これには、色々と事情があるんだ」
「その話は、後でしよう」
俺はドアのほうを見る。ヘレンお嬢さんから報告を受けて、コクーン爺さんが俺の元部屋にやってきた。俺とナナキのやり取りを呆れたように見ていた。
「さて、どこで話す? ここでも、あの豪勢な部屋でも、どっちでもいい。どっちにしたって、防音も人除けも完璧に出来る」
「全て、話そう」
とうとう、コクーン爺さんは重い口を開いた。




