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魔法使いの悪友  作者: 春香秋灯
嫁取り
18/40

嵐の前

「お兄ちゃんも一緒に!?」

 往生際の悪い妹レーリエットは、俺の腕にしがみついて離れない。

 海の貧民街の平穏は、昨日の早朝で破られた。海の貧民街の支配者コクーン爺さんは、俺の予想をそのまま受け入れ、海の貧民街の防衛に力を入れることにしたのだ。そのため、全体が物々しくなっていた。

 危険だとわかっている場所に、可愛い妹を置いておくわけにはいかない。俺は王都の貧民街の支配者であるナナキに、レーリエットを王都に連れて行くように命じた。

「ルキエルも一緒に行きましょう」

 だけど、俺のことを心から慕っているナナキも、俺の手を握って、説得してくる。

「そうだ、ルキエルも一度、避難したほうがいい」

 やっと、俺との関係が一つ上に上がった騎士ユーリまで説得に参加する。

「なんだ、俺と一緒に王都に行ってくれるのか?」

 俺はユーリに言ってやる。それだけで、ナナキは何かを感じ、嫉妬の形相となる。

「貴様、僕のルキエルを口説き落としたのか!?」

「そうだ!!」

 こんな時だというのに、俺を挟んで、ナナキとユーリが取り合いなんかしてくれる。どうしてこう、俺は男にばっかりもてるんだ。女に取り合いされたい。

「許さないんだから!! お兄ちゃんは、私のものなの!!!」

 あ、取り合ってくれる子いた。でも、この子、実の妹だ。圏外だよ、圏外。

 俺の周辺だけ、平和だな。だけど、俺はレーリエットを押し離し、ナナキの手を振り払う。

「まず、俺は王都には絶対に行かない。そこにはろくな思い出がない。ここで待っていてやる。ナナキ、さっさとお前のその肩書きを誰かに押し付けてこい。今から急げば、内戦が始まる前までには、俺と合流出来るだろう。内戦が始まったら、俺はさっさと出て行くからな。次、見つけるのは大変だぞ」

「でしたら、ルキエルを安全な場所に送り届けてから、王都に行きます」

「どこにだ? 俺が絶対に安全だ、という場所は、どこにある?」

「………」

 急な話だ。そんな場所、ナナキが準備出来ているはずがない。俺だって、準備するつもりはなかった。

 俺は一生、海の貧民街で過ごすと思っていた。ここは、居心地がいい。離れる理由がなかった。

「内戦の準備なんて、簡単に出来るものではない。まず、情報収集をしなければならないからな。そこから準備だ」

「だが」

「馬車は時間がかかるから、馬で行ってこい。レーリエットの護衛はそのままだ。レーリエットだけは、絶対に守り通せ。いいな」

「………風のようにはやく、戻ってくる」

 ナナキは俺の手をとり、強く口づけすると、やっと、嫌がるレーリエットを連れて、馬で去っていった。

「あの男は、随分とルキエルの命令に忠実だな」

 俺とナナキの関係が、常識の枠に嵌らないので、ユーリは首を傾げる。

「ナナキは俺が拾ったんだ。今でこそ、立派ななりをしているが、拾った頃は、傷だらけのガキだった。レーリエットと年頃が同じようだったから、一緒に育てたんだ。そうしたら、ああなった」

「恩を感じているのか」

「貧民に、恩とかそういうのはない。俺も、ナナキのことは、よくわからない。ただ、俺が与えること、やること、全て、ナナキとっては喜びだ。あの名前だって、俺が与えた」

「意味があるのか?」

「名前がない、というから、それで、”名無し”か、と言ったら、それを名づけと勘違いして喜んだんだ。それはまずい、ということで、”名無し”から”ナナキ”に慌てて言い直しただけだ。俺もガキだったから、機転がきかなかった。もっといい名前をつけてやれば良かった」

「優しいな」

 ユーリは俺を後ろから抱きしめていう。首にユーリの息がかかって、俺は「あっ」と声を出してしまう。

「す、すまない!!」

「それで、ユーリは参戦か? コクーン爺さんは、俺の護衛にユーリをつけるつもりだぞ」

「………」

「コクーン爺さんを慕って、わざわざ貧民になったんだ。参戦だよな。俺は、足手まといだから、内戦が始まる前に、ここを離れる。また、同じ肩書きで身売りする。生きていたら、来てくれ」

 振り返り、俺はユーリに口づけする。ユーリは抱きしめる力を強め、俺に答えてくれた。





 部屋に戻り、俺はこんな時だというのに、魔道具や魔法具の修理である。

「ハガルに助けを求めたらどうだ。お前から言えば、ハガルがどうにかしてくれるぞ」

 最高位妖精カーラーンが助け船っぽいことを言ってくれる。実際、そうなんだろうな。ハガル、別れて一年経ったというのに、金を送ってくるの。

「俺の居場所、ハガルに話したか?」

「話さなくても、噂が流れているだろう。王都の貧民街の元支配者の娼夫、なんて聞けば、いくらハガルでも、お前だと気づく」

「あいつなー、妙なところで育ちがいいからな。偽物と思っているかもしれないぞ。実際、そういう触れ込みの身売りが、他の貧民街でも出てきている」

「………」

 ハガルはたぶん、俺が身売りで生計をたてている、なんて考えてもいない。ハガルは帝国に育てられた筆頭魔法使いだ。千年に一人生まれるという最強の妖精憑きは、育ちがいい。亡き皇帝ラインハルトの娼夫だったとはいえ、育ちは皇帝のお膝元だ。俺みたいな奴とは違う。

 ハガルの最高位妖精カーラーンを見ていれば、育ちの良さがわかる。ハガルの父親は、かなりダメな奴だった、というが、それを抜きにしても、ハガルは良識的だ。男である俺が、男相手に身売りをしている、なんて考えてもいないだろう。

 そんなハガルは、俺のことを友達と呼んでいる。お前な、俺のことを囮にしたり、実験体にしたり、友達としての扱い、酷過ぎだ。金送ってるからって、許されると思うなよ。

「俺の居場所をカーラーンが言わないのなら、俺からもハガルに頼み事はしない。こういうのは、あるがままだ。いつかは起きたんだ。その後は、神の思し召しというものだ」

「情がわいたのだろう。使えるものは使うのが、貧民じゃないのか?」

「カーラーン、勘違いするな。情なんてものは、貧民にとって、紙切れみたいなものだ。簡単に破れる。それに、帝国は弱肉強食だ。ここで踏ん張れないのなら、コクーン爺さんもそこまでだ。あの爺さんだって、わかってるさ。そういう潔さを持っている」

 戦争バカの一族である。コクーン爺さんにとっては、平穏な日常ではなく、内戦での死を望んでいるのだろう。内戦準備、とっても喜んでやっているよ。

 この内戦、ちょっと穴があるけどな。その穴に気づいた奴は、やっぱり動くものだ。

 俺の部屋のドアがノックされる。俺は席を立ち、ドアを開ける。

「ルキエル、頼みたいことがあります」

 思いつめた顔をしたヘレンお嬢さんが、部屋に入ってくる。俺はドアを開けたまま、ヘレンお嬢さんの動きを見る。

 ヘレンお嬢さん、よりによって、俺が使うベッドに座る。

「ドアを閉めてください。見られてしまいます」

「だから、開けておくんだ。俺とヘレンお嬢さんは身ぎれいな関係だと、きちんと周りに証明してもらわないとな」

「………」

 女は、時には恐ろしい行動に出るものだ。

「あれだろう、女の初めてをなくして、価値を下げるつもりだろう」

 ヘレンお嬢さん、俺に女の初めてをあげて、貴族から捨てられるつもりだ。

「ルキエルでしたら、きっと、優しいでしょう」

「俺は女を買ったことがあるが、経験がない。むしろ、俺はダメだ。きっと、無茶苦茶痛い目にあわせるか、役立たずかだ」

 俺の一物、役立たずかもしれない。男相手にばっかりしていたので、女で出来るとは、想像すら出来ない。

「だから、一度は女を抱け、とハガルが忠告しただろう!?」

 こんな時だというのに、カーラーンが痛いところをついてくる。ハガルが筆頭魔法使いになった頃に、確かにそう言われたな。思い出した。

 女を買ったことがある、といっても、ハガルや当時一皇族だったアイオーン様の金だ。俺がどの女を選ぶから、面白がって賭けたのだ。確かに、人様の金で、女を買いはしたが、何もしないで帰っていった。

「やってみれば、わかります」

「男の沽券が!?」

「こんな時に、女に恥をかかせるのですか!!」

「何もしなければ、なかったことに出来る」

 もう、内面も女々しいんだよ、俺は!! 俺は断固、ドアを閉めない。

「ヘレンお嬢さん、だいたい、あんたが人様に初めてをあげてたとしても、あの貴族には、どうだっていい。あんたの存在だけが重要なんだからな。コクーン爺さんから聞いたんだろう」

 表向きは、婚約者であるヘレンお嬢さんを取り戻すために、貴族が内戦をしかける、となっている。だが、実際は、ヘレンお嬢さんを使って子爵家の領地を手に入れるために、力づくでヘレンお嬢さんを強奪しに来るのだ。

 さすがに、コクーン爺さんも、ヘレンお嬢さんに貴族の裏の目的を話したようだ。

「万が一、ミリアムの元に行くこととなった場合は、自害します」

「勿体ないことをするな。生きていれば、それなりに何かいいことがあるはずだ」

「ともかく、一度、わたくしと閨事してください!!」

「口にしちゃったよ!!!」

 なんとなーく、俺を誘っているだけで、ヘレンお嬢さんは口にも出さなかったから、どうにか追い返そうとしたのに、それが出来なくしてくれた。女は、本当に恐ろしくて、容赦がないね!!

 俺は断固拒否の構えで、作業に使っている椅子に座って、ベッドから距離をとる。

「あんたは、大事な商品だ。商品は、大人しくしていなさい」

「絶対にいやです。わたくしも一緒に戦って、死んでやります!!」

「命までかけちゃうか。でもね、それだって意味がない。本当は、ヘレンお嬢さんの身柄、あの貴族どもはどうだっていいんだ。この内戦は、どっちにしたって、起こるべくして起きるものだ」

「どうしてですか?」

「ヘレンお嬢さんには、生きていてもらっては困るからだ。貴族にとって、ヘレンお嬢さんは口実だ。大事な身柄だろう。だけど、別に、本物を立てなくていいんだ。偽物を立てて、領地戦に持っていけばいい」

「それでは、どうして」

「コクーン爺さんは帝国で知らぬ者はいないほど有名な戦争バカだ。海の貧民街の支配者として名も馳せていて、わざわざ、仕えたいと、今も騎士や兵士がやってくる。そんなコクーン爺さんの孫娘の存在を貴族が知らないわけがないだろう。偽物を立ててみろ。海の貧民街の支配者の孫娘なんだ。調べられる。ヘレンお嬢さんには、むしろ、死んでほしいんだ」

「そんなっ!?」

「はい、ここで女の初めてを散らしても、無駄だ。出てって出てって。貴族どものやっすいシナリオは決まっている。ここでヘレンお嬢さんを殺して、偽物をたてて、救出した体をとるんだ。自害する危険のある本物よりも、金で雇った従順な偽物を立てたほうがいいに決まっている。もう、偽物の準備も出来ているだろうな。こういう事は、仕事がはやいものだ」

 ヘレンお嬢さんは顔を真っ赤にして怒りに震える。

「実は、あのミリアムという男が、初恋か?」

 そうでなければ、軍勢を連れてやってきたミリアム相手に、迷ったりしない。

 図星だったようだ。ヘレンお嬢さんは俺を睨んできた。

「そうです。いけませんか? 元婚約者なんですから」

「あの見た目だ。そうなるよな。気持ちのない婚約関係よりも、気持ちのある婚約関係のほうがいいだろう」

 相思相愛であればな。ミリアムは、そういうのじゃないな。あれは、浮気するな。余計なことは黙っておく。

「これで、無駄だとわかった。出てってくれ。俺は、少しでも、道具の修理を進めておきたい」

「他に方法がないのですか? あなたは、わたくしたちよりも賢い。何か、もっといい方法を思いついていそうです」

「ないことはない。だけど、時間が足りない」

「教えてください!!」

「他の貧民街の支配者に協力を頼むんだ」

「どうやって!?」

「だから、時間がないんだ」

 帝国は広大だ。協力を頼むにしても、時間がかかる。

「今回の内戦は大がかりだ。間違いなく、侯爵家は総力戦を仕掛けてくるだろう。コクーン爺さんの戦力は、一領地並だからな。こういう内戦、実は、他の貧民街としても、他人事ではないんだ。説得の材料は、ヘレンお嬢さんだ。ヘレンお嬢さんの生死って、なかなか面倒臭いんだ。ちょっとずる賢い奴なら、ヘレンお嬢さんの偽物を別に作って、侯爵家を脅すだろう。そんなことを貧民街の支配者がしてきてみろ、面倒なことになる。まあ、貧民街の支配者は、そんなことはしないが、可能性は貴族側は捨てきれない。だったら、他の貧民街もついでに内戦で潰してしまおう、なんて物騒なことを考えてしまうだろう。そう言ってやれば、協力はしてもらえる。だけど、説得する使者を送っても、その前に内戦は始まってしまう。だから、時間がないんだ」

「………ルキエルは、本当に、頭がいいですね。わたくしですら、そんなこと、考えもつきません」

「ずる賢いんだ。貧民として生きてきたんだ。貴族相手でもそれなりの交渉もしてきた。経験値が違う」

「わたくしは、ただ、自害をするか、戦って死ぬか、それしか思いつきません」

「だったら、身ぎれいなまま散っていけ。ほら、出てってくれ」

「いくじなし!!」

「言わないでぇ!!」

 ヘレンお嬢さんは怒って、出て行ってしまった。据え膳しちゃったよ。仕方がない。俺はもう男ではないからな。

 最高位妖精カーラーンなんか、俺を蔑むように見下ろしてくる。

「女に恥をかかせるとは、本当に最低だな」

「あ、今、それ言われると、男として傷ついちゃう!」

 さすがに、誉め言葉だ、なんて返せない。男の沽券の前では、これは誉め言葉にならない。

 俺は作業用の机に突っ伏しちゃう。ベッドは、今は行きたくないな。ほら、さっきまでヘレンお嬢さんがいたから、むらむらしちゃうよ。

「ルキウス、使いが来ている」

 俺が落ち込んでいるというのに、先客万来だよ!!

 仕方なく、振り返れば、俺が身売りで使う店の使用人である。

「あの、ルキウス様ご指名のお客様が来ています」

「えー、今日は休みの日なのにぃー」

 身売りのお仕事は週三日と決めている。今日は楽しい道具いじりと決めていた。

「すみません、その、とても高貴な方なので」

「はいはい、わかりました。片づけてから行くから、先に戻ってて」

「一緒に」

「俺にはね、違う準備が必要なの。さすがに、見られるのは恥ずかしい」

「わ、わかりました!!」

 使者は走って去っていく。

「冗談なのに」

「そうなのか!?」

 使者を連れて来てくれた騎士は、その場で呆然としていたので、驚いて聞き返してきた。

「あ、いや、あるけど、俺は慣れてるから、時間がかからない。見られても恥ずかしくない。見てく?」

「見ない!!」

 騎士はドアを勢いよく閉めてくれた。





 ちょっと営業時間にははやいというのに、店に行けば、我慢のきかない高貴なお客様が睨んできた。

「おやおや、侯爵家次男のミリアムではないか」

「様をつけろ!!」

「こういうトコで、身分を明かすと、後々、面倒なことになるぞ。本来は、お忍びで来るものだ」

 実際、俺を買った貴族は皆、お忍びだ。名乗りだってしない。だから、敬称だってつけない。

「それで、何か御用か? 悪いが、ヘレンお嬢さんの誘拐とかだったら、俺に頼んでも無駄だ。この通り、腕っぷしがない」

 俺は男にしてはほっそい腕を晒して言ってやる。

「貴様が言ったのだろう。買いに来てくれ、と」

「そっちか。今日は休みの日なんだがな」

「もうすぐ、ここも戦場になる。具合が良かったら、助けてやろう」

 俺との距離を詰めてくるミリアム。見た目はいいんだが、体格がないー。俺はがっしりした奴がいいんだよな。

 だけど、下半身はすごいかも。俺はついつい、ミリアムの下半身を見てしまう。触って確かめればいいのだが、まだ、契約は成立していない。身売りは絶対だ。

「それで、買いに来たわけか」

「私から金をとるのか。助けてやろうと言ってるのに」

「俺を手に入れようとした貴族が一人、最近、消えた。独占欲の強い男がいるんだよ。身売りだったら許してやるが、そうでないなら、容赦がない。内戦の前に、死ぬか?」

「………」

 どんな後ろ盾か、ミリアムは調べきれていないのだろう。黙り込むしかない。

 しかし、せこいなー。俺とただで閨事をしようとは。王都の貧民街の支配者となったナナキが激怒するぞ。

 ナナキは一見、綺麗な男だ。腕っぷしだってある。その腕っぷしだって、俺が教えてあげたのだ。元の才能からか、王都の貧民の支配者となった。

 だが、ナナキはただの人ではない。元妖精だ。俺の側にいるために、神様に大切な羽を捧げて、人となって、俺の元にやってきたのだ。妖精としての実力はわからない。今のところ、人としての実力しか見せてもらっていない。しかし、最高位妖精カーラーンがいうには、ナナキはただの元妖精ではないという。かなり長く生きた妖精だ。格とかそういうものを越えた存在なんだろう。

 妖精の独占欲は恐ろしい、とカーラーンはいう。妖精は気に入ったら囲うのだ。本来なら、俺はナナキに囲われ、自由を奪われるはずだ。それをしないのは、あるがままの俺をナナキが気に入っているからだという。

 閨事だって、身売りだから許している。そこに、情なんて入ったら、ナナキは許さない。相手を殺すだろう。

 今、実は一番、危ないのは、騎士ユーリである。ユーリは散々、俺を口説いてきた。その行為が実りかけている。それを知ったナナキは、内戦で生き残ったユーリの命を狙うだろうな。大変だ。

 そんな内部事情など知らないミリアムだが、迂闊に手を出してはいけない、ということは理解したようだ。不承不承ながら、金を出す。

「一応、言っておくが、部屋は普通だぞ。これは、部屋代こみの金額だ」

「貴様、貧民のくせに、こんな高い金をとって、部屋が普通だと!? 俺は貴族だぞ!!」

「だからだろう。お忍びで来るものだ。むしろ、高い部屋でやることではない。だいたいのお忍びの貴族は、きちんとわかっているんだがな」

「仕方がない、我慢してやる」

「まいど」

 面倒臭い客だな。いちいち、説明しないといけないとは、これだから、文官系の貴族は。

 表面では笑顔だが、内心では、断りたいでいっぱいだ。別に、金なんかどうだっていい。俺の後ろ暗い正体を隠すために、身売りをしているだけだ。

 ま、ちょっと役得はあるけどな。

 身売りをしていると、これは、という男に出会えたりする。敵だったタリムもそうだ。ちょっと俺の怒りの琴線に触れちゃったから、捨てたけど。あれは惜しいことをした。

 契約成立として、俺はさっさとミリアムに身を寄せ、深く口づけする。俺から舌を絡めてやると、ミリアムは受けるだけだ。経験値が見た目同様、足りないな。これは、教えなければ、楽しくないな。

 まだ、待合の場だというのに、俺は口づけしたまま、ミリアムの下半身を確認する。

 うーん、本番になれば、きっと、いいものになってくれると信じたい!!

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