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魔法使いの悪友  作者: 春香秋灯
過去からの捜索者たち
11/40

一年後

 一年も経てば、俺もそれなりになるかというと、ならない。今日も、木剣を千回素振りである。

 今日の分を終えると、コクーン爺さんが俺の手を見る。

「ここまで綺麗なのもな」

「体力はつきました。仕事で途中、意識飛ぶ回数は減りましたよ」

「そっちに才能振ってもなー」

「えへへへ」

 笑うしかない。達人は手を見ればわかるというが、俺の手は、もうダメな手なんだよね。

 コクーン爺さんに仕える一族であるワシムと、コクーン爺さんの孫娘ヘレンお嬢さんは、もう、呆れるやら、蔑むやら、色々だ。

 さぼっているわけではない。真剣にやっているのだが、仕方がない。

「完全に、憑いている妖精に戻されているな」

 俺にだけ見える最高位妖精カーラーンが、俺の手を見て指摘する。そっちのせいかー。

「妖精憑きを鍛えるのは、幼い頃が適している。ある程度、成長が止まると、そこで妖精が勝手に固定してしまうんだ。体力ついたように思っていても、実際は、体力は同じだ」

 俺にだけ聞こえる声でさらにカーラーンに説明されて、絶望する。そうか、一年間の俺の努力、無駄だったんだ!! もっと早く言ってよぉ!!!

「ついでに、元の才能があったんだろうな。格が上がったことで、その見た目も磨かれたな」

「男らしくなりたい!!」

 ちょっとハガル寄りに綺麗さが出てきたな、なんて思っていたが、本当だったんだ。お前、どうして、後からいうの!?

「貴様がこうばるということは、ハガルも、今から鍛えても無駄ということだな。報告しておこう」

 また、俺が実験体みたいなことされている!? ちくしょー!!!

 俺は方々から言われて、落ち込むしかない。

「しかし、技術のほうはあるんじゃよな」

「そこは、見て覚える? といった感じだな。打ち合いは負けるけど、流すのはうまいよ。ほら、怪我したら、親父が激怒するから」

 ちょっと怪我をしようものなら、敵側が大変だ。俺は妖精憑きだから、すぐ治るのだけど、敵側は、一生治らないからな。なにせ、死ぬから、腐っていく一方だよ。

 体鍛えるのは禁じられたので、俺は仕方なく、技術だけを身に着けた。お陰で、猪突猛進してくる敵は、投げ飛ばせたりする。

「では、今日もお相手お願いします」

 ヘレンお嬢さんが引きつった笑顔で言ってくる。まだ、負けたこと、根に持ってるんだ。

 俺用に作られた軽い木剣でヘレンお嬢さんと対峙することとなる。ヘレンお嬢さんは女なので、受け流すのは上手なんだよね。お互い、受け流すから、この勝負、永遠につかないように見える。

 ヘレンお嬢さんは構えるが、俺は構えない。俺用に作られたといっても、それでも重いんだよね、木剣。だから、俺は失礼なんだけど、切っ先を下に向けたままである。あ、落としちゃいそう。

「いつでもどうぞ」

 ぴくぴくっとこめかみあたりが引きつるヘレンお嬢さん。怒らせちゃった。美人は怒っても美人だから、目の保養だ。

 そうしていると、我慢の限界のヘレンお嬢さんから向かってくる。俺は軽く攻撃を避ける。木剣なんて使わない。そのまま、ヘレンお嬢さんの懐に入ると、ヘレンお嬢さんの手から武器を取り上げる……のは無理なので、腕を軽く叩いて、武器を手放させるのだ。

 そして、俺は落ちた木剣を踏みつけ、俺が持つ木剣の切っ先をヘレンお嬢さんの喉に突きつける。

「も、もう、いいかな? 重い!!」

 素振りの後だから、体力がない俺。そんな俺に負けて、顔を真っ赤にして悔しがるヘレンお嬢さん。

 そんな一連を見ていた騎士たち兵士たちは、なんとも言えない顔をする。木剣振り回しているだけだった俺が、ヘレンお嬢さんを倒してしまえる事実に、バカに出来なくなってしまったのだ。

「素晴らしいな。芸術的といっていいな」

「護身術だよ、護身術。王都の貧民街では、かなり狙われていたから、よく使った。経験値が違うよ」

「なるほどな」

 コクーン爺さんは感心する。

「ほら、ちょっとでも怪我すると、相手は殺されるから」

「………」

 冗談ではないんだな。王都の貧民街にいた頃、俺に手を出した奴らは、次の日には、晒し首、なんてこと、本当にあったんだ。

 俺の親父は、王都の貧民街の元支配者だ。俺のことを亡くなった母親の身代わりとして愛し、傷がつくようなことがあれば、後が大変だった。

 俺が母親の身代わりにされたばかりの頃は、そんな裏事情を知らない奴らは、普通に俺に喧嘩ふっかけてくるんだ。母親の身代わりなんて自覚のない俺は、普通に喧嘩する。そして、怪我して帰ると、後の祭りだ。俺は責められないで、大事に治療される。俺に怪我させた相手は、次の日には晒し首だ。そういうことを一年も続けば、俺に喧嘩ふっかけてくる奴はいなくなる。

 次に出てくるのは、俺を人質にして、親父を脅そうとする奴らだ。俺も大人しくしていないから、抵抗する。怪我だってするよ。そして、どうにか逃げ切り、家に帰れば、いつもと同じ、手厚い手当だ。次の日には、俺に手を出した勢力は潰されて、皆さん、晒し首だ。そういうことを一年も続けば、俺を人質にしようなんてする勢力は、本当の意味でいなくなる。

 こういうことを経験して、回数をこなしていくと、怪我をしないように、敵を撃退する技を上手に身に着けるんだよね。本当に、うまいよ、俺。

 実地で、俺は技術だけ身に着けて、今がある。

「これで、体力があれば、完璧なんじゃがな」

「毎日、素振り頑張ります!!」

 無駄なんだけどね!! だけど、何もしない、というわけにはいかない。ほら、妖精憑きって秘密だから。

 俺が妖精憑きだと知っているのは、コクーン爺さん、ワシム、ヘレンお嬢さんの三人だ。妖精憑きだから無駄だよ、なんて説明出来るのは、この三人だけだ。その他大勢は知らないので、そんなこと言えないよ。だったら、誰にも言わないで、無駄な努力をしよう。

 体力もついたかなー、なんて喜んでいたが、実は気のせいだった、という事実を今知って、俺は心の中では泣くしかなかった。




 俺は部屋に戻ると、机に山積みとなっている道具どもと向き合うこととなった。これらは、壊れた魔道具や魔法具だ。

 帝国は、魔道具や魔法具で、それなりの生活を支えられている。飲み水から、料理の火、部屋の明りと、それらは魔法具や魔道具だ。帝国は、儀式によって妖精憑きを見つけだし、教育し、魔法使いとして、これらの魔道具や魔法具の発動をさせるのだ。どういう仕組みかはわからないが、王都から帝国中の魔道具や魔法具を発動させているという。

 だけど、これには残念なことがある。大昔、皇族、貴族、教会がやらかしてしまい、魔道具や魔法具の大事な資料を焚書してしまったのだ。結果、使い方がわからない、作れない、直せない、ということが起こってしまった。

 現在は、生活に大きく影響がある魔道具や魔法具を発動するにとどまっている。それも、魔道具や魔法具は壊れてしまう。直せればいいのだが、どうしても直せない時がある。そういうものは廃棄されて、新しい道具と交換するのだ。

 廃棄された道具たちは、普通は回収されると思うだろう。帝国、支配するには大きすぎるのだ。回収するくらいなら、そのまま適当に廃棄してもらったほうが効率が良い、ということで、各都市で廃棄である。

 そういう廃棄された道具は貧民街に集められて、使えないかなー、なんて試したりしているわけだ。まれに、使えたりするんだよね。そういうのをこっそり設置して、貧民街に便利な生活を、なんてやっているわけだ。

 海の貧民街は水道がある。これ、実はすごいことだ。水道の道具は、もう壊れる一方だ。新しく作ることも出来ず、力のない領地では、井戸水、というのはざらである。

 道具の発動とかは、王都の貧民街では、俺の仕事だった。なので、海の貧民街でも、同じことをこっそりやることにした。ほら、海の貧民街の支配者であるコクーン爺さんに、後継ぎのヘレンお嬢さんに妖精憑きだとバレてるから、頼まれたらやるしかない。頼まれてないけど。

 俺が身売りをしていて、立場を利用されたので、身売りの回数を減らすことにしたのだ。そのため、時間があいたので、壊れた道具の発動具合を見ることにしたのだ。

 でも、表向きは、敵勢力だったタリムの裏切りで傷心、なんて話になってるけどね。

「なかなかいないなー、親父と同じ剛直持ち」

「真面目なことやってる時に、呟くことじゃないぞ」

 無茶苦茶、軽蔑な目で見てくる最高位妖精カーラーン。

「綺麗な妖精に、そんな目で見られちゃうと、ゾクゾクするね!!」

「どうして、ハガルはこんな奴のことを気にするんだ………」

 本当だね。そこがわからん。

 筆頭魔法使いハガルは、俺から見れば、殿上人である。なにせ、皇帝の次に偉い人だ。皇族だって実は逆らえないという。でも、実際は、皇帝すらハガルの言いなりだったな。俺のことは友達といいながら、利用するは、実験体にするは、頭おかしいことやってくれたよ。

 道具をいじり倒して、分解して、壊れた部品を交換して、とやれば、普通に使える道具の出来上がりである。王都の貧民街では、図面ひいてやってたな。

「器用だな、貴様」

「よくやってたんだよ。体鍛えるのはダメだっていうから、仕方なく、頭使うほうを頑張るしかなかったな。あ、家事やることは出来なかったな。肌が荒れる、とかよくわからん理由だった。妖精憑きだから、肌は常に綺麗だってのにな」

「魔法でやればいいだろう」

「お前なー、あれはかなり大変なんだぞ。ハガルみたいな五属性以上使える奴と一緒にするな。俺はせいぜい、二属性だ」

「格があがったんだから、五属性出来るぞ」

「………聞かなかったことにしよう」

「ほら、私が力を貸してやるから、やってみろ。この道具を綺麗に出来るぞ」

「時魔法?」

「こういう道具には、時魔法が効かない。だから、直せないんだ。磨く感じだ」

「はいはい」

 カーラーンが俺の肩に触れる。たったそれだけで、俺はカーラーンの魔法を使えるようになる。

 ちょっと操作してみれば、道具が本当にぴかぴかになっちゃったよ!!

「ほら、簡単だ」

「一年前の苦労が!!」

 一年前、魔法使いになるために、一か月だけだが、修行もさせられたのだ。二属性が出来なくて、かなり大変だった。それなのに、格が上がったくらいで、こんなに簡単に出来ちゃうって、どうなの!?

「あとは、私のような妖精をどこからか捕まえるんだな」

「どうやって?」

「野良の妖精がいっぱいいるだろう。ここには、妖精に命を狙われている爺がいる。来た所を、上手に盗るんだな」

「………」

 さすが、ハガルの妖精だね!! 世話になってるコクーン爺さんを囮にしようと提案するとはね。そういえば、俺の親父をおびき寄せるために、皇帝ラインハルトを囮に表に出したのはハガルだったな。ハガルの妖精も感性が同じか。

「カーラーン、もうちょっと力かして。ほら、こっちのも、まとめて、ぴかぴかにしたいなー」

「少しだけだからな」

「ありがとー!!」

 まあ、カーラーンは、ちょっとお願いすれば、すーぐ、力貸してくれるから、いいけどね。なんだかんだ言って、懐に入った相手には、激甘だな。

 ついでに、道具の図面を作る。王都の貧民街に、図面、全部、置いてきちゃったな。あの図面、別のとこに保管されてたけど、今はどうなってるかな?

 道具の図面なんて、実は価値がない。だって、道具の図面があったて、作るのは妖精憑きである魔法使いだ。ただの人には、図面があったって、作れないのだから、意味がない。

 実は、この分解組み立てだって、妖精憑きしか出来ない。ただの人には、分解すら出来ないのだ。どういう仕組みなのか、わからないけど。

 でも、図面は何かあった時に便利なので、作っておいた。

「いらないと思うけど、ハガルに図面、持ってってよ。確認してもらいたい」

「どうしてだ?」

「金貰ってるから。何か、返したい」

「そうか」

 ハガルは、相変わらず、俺に金を送ってくる。もう、俺はハガルのヒモだね!!

「手紙は書かないのか?」

「俺が海の貧民街にいること、ハガルに報告したのか?」

「聞かれていないから、言っていない」

「だったら、出せないだろう。俺が海の貧民街にいるって、バレちゃう。ハガルが俺の居場所を知ったら、手紙書くよ」

「そうか」

 ハガル、一年も経ったのに、カーラーンから、俺の居場所を質問しないんだな。俺のこと、そんなに興味がない? まあ、忙しいんだろうな。

 俺も、忙しい。ハガルは最近どうなんだろう、なんて気にしない。噂は流れてくるから、それで十分だ。

 集中すると、すっかり外は暗くなっていた。食事とってないなー。妖精憑きは、食べなくても生きていけるけど、食の楽しみは大事だよな。

 だけど、面倒臭いので、このままでいっか、みたいに考えているところに、ドアをノックされる。

「開いてますよ」

 俺は鍵をかけない。盗まれて困るものないから。盗もうとしても、カーラーンの守りが鉄壁で、盗めないけどね。

 入ってきたのは、ヘレンお嬢さんとワシムだ。それぞれ、俺の分の食事を持ってきた。あれか、昼と夜か。

「あー、すみません、行かなくて」

「大事な仕事をしてもらっているんだ。これくらいはする」

「表に出ないですから、特別扱いみたいなことは、やめたほうがいいですよ」

 俺のやって道具直しは表に出せない。何せ道具の修理や設置は、妖精憑きである魔法使いがやることだ。俺は妖精憑きを隠しているので、表向きでは、引きこもっていることとなっている。

「御屋形様が随分と心配されてるから、気にするな。随分と、気に入られているからな」

「俺は、いついなくなってもいい奴だからな。そうなるだろう」

「………」

 そんな気まずい、なんて顔しなくていいのに。貧民街なのだから、利用して、利用されては普通だ。俺のこの妖精憑きの力は利用出来るだけ利用して、邪魔になったら、さっさと追い出せばいい。俺は、実は、いなくていい存在だ。

 コクーン爺さんも優しいよな。俺が妖精憑きだってこと、最初は隠してたんだよな。それも、襲撃を防ぐために、俺が妖精憑きの力をワシムとヘレンお嬢さんの目の前で使っちゃったから、俺を利用しなくちゃいけなくなったんだ。仕方ない。海の貧民街の支配者なんだから、そういう判断をするのは正しい。

 俺は持ってきてもらった食事をぱぱっと食べてしまう。でも、半分は残してしまう。

「全部食べないと、力がつかないぞ」

「無理無理。俺はこれが限界」

「また痩せてきたように見えます」

「妖精憑きだから、食べなくても生きていける。食べることは、娯楽なんだよ」

 嘘だけど。あまり食べると体型が崩れる。体型を綺麗にするために、体を鍛えるのも禁止されて、食事も、それなりに制限されてたんだ。それも、妖精憑きだから出来たことだけどな。普通の人だったら、餓死してる。

 そういう裏事情は黙って、誤魔化した。嘘をつくのは慣れてる。妖精憑き、と言えば、だいたい、信じる。だって、妖精憑きというものが、どういうものか、誰も知らない。元貴族のコクーン爺さんでも、よくわからないだろう。

「悪いけど、こっちの道具はコクーン爺さんのとこに持ってってくれない? 重いし、疲れた」

 修理して、綺麗になった道具を箱ごとワシムに押し付ける。

「こんなにたくさん。急ぐことではないぞ」

「いつまでも、ここに居座るわけにはいかない。俺がいることは、外聞が悪い。やることやったら、出ていくよ」

「ずっと、いないのですか!?」

 一年も居たからだろう。ヘレンお嬢さんが俺に情みたないものを持ってしまった。

 最初の頃は、俺のことをあんなに蔑んで、出て行け、と言っていたというのにな。一年、長く居座り過ぎたな。

「もともと、住むトコとか決まったら出ていく話だったしな。王都でなければ、どこでもいいんだよ」

 王都にだけは、戻りたくない。あの場所には、親父との思い出が多すぎる。離れてわかる。王都にだけは、二度と、行きたくない。

「それは、置いてって。明日、食べるよ」

 残った食事を持って戻ろうとするヘレンお嬢さんの手から奪う。

「傷んで、お腹を壊しますよ」

「妖精憑きは、病気にならない」

「それでも!!」

「明日の訓練は休むよ。食堂に行けないから、それを食べて、仕事に行くよ」

「どうなっても、知りませんよ!!」

 怒って、ヘレンお嬢さんは部屋から出て行った。

「もっと、自分を大事にしなさい。見ていて、痛くなる」

「気を付ける」

 ワシムの忠告を俺は素直に受け入れる。ちょっと、自虐になりすぎた。

 仕方がない。今日は、ちょっと、気分がよくないのだ。

 ワシムが出ていってしばらくして、俺はベッドに倒れるように横になる。体の奥から衝動がのぼってくる。普通の人にはわからない、香を感じる。

 窓から、複数の侵入者が音もなくやってきた。その手に、妖精を狂わせる香が入った香炉があった。これは、妖精を狂わせる効果があるという。

 だけど、俺にとっては、親父との閨事の合図だ。俺は、往生際が悪かった。一度は逃げて、連れ戻されても、諦めず、妖精憑きの力を使って、抵抗したのだ。それを封じるために、香が使われた。人には何も感じられない香だが、妖精憑きは何か感じるのだ。この香を焚かれた部屋に閉じ込められ、親父に昼夜問わず抱かれた。そうして、この香を感じるだけで、体は抵抗出来なくなったのだ。

「本当に、こんなもので大人しくなるとはな」

「楽な仕事だな」

「拘束しろ」

 俺を知る誰かの依頼を受けたのだろう。俺が身もだえしている姿を見て、侵入者たちは油断していた。

 俺は魔法で侵入者たちを動けなくする。

「なにっ!?」

「どういうことだ!!」

 動けなくなった侵入者たちは、床で転がるだけだ。俺は、体の芯が熱くなるのをどうにか我慢して、ベッドから立ち上がる。そして、侵入者たちが持っていた香炉を外に捨てた。

「昔の俺なら、捕まっただろうな」

 しかし、妖精憑きとして格が上がってしまった俺は、妖精を使うことがうまくなった。一年前までは、低位の妖精だけだったが、今は中位の妖精を使うことが出来る。ちょっと狂ってしまうが、俺も狂っているから、丁度いいのだ。

 ただ、運が悪いと、人を殺すことになってしまうがな。

 今回は、上手に魔法が使えたようだ。運が良かったな、こいつら。

「何をしてるんだ?」

 俺が動けない男どもを触っているのを見て、最高位妖精カーラーンが聞いてくる。

「このままだと、体の熱が収まらないから、こいつらから選んでるんだ。どいつも、似たりよったりだな。お前でいいか」

 俺はまあまあ身ぎれいな男の服を脱がして、その上に乗った。

「良かったな。俺との閨事は、高いんだぞ。死ぬ前の、いい思い出にするんだな」

 ちょっといじってやると、男は簡単に、俺に篭絡された。

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