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秘密の写真

 休日はつまんねぇ。


 冬休みにフッカと一緒に遊んだことなど、遠い昔のようだ。もう、一人でどこかに出掛ける気にもならない。

 万年床――先週、沢木さんが来た時に一度片付けはしたが――に転がって惰眠を貪るだけだ。先週との違いは、一応、朝起きて着替えてることぐらいか。

 親父は昨日から何かの会合とかいう不倫デートだ。前日には会合の資料作りと言いながら、手にしていたのは〝るるぶ温泉ガイド〟だった。明日のころぴょんはきっとポカポカの陽だまりみたいにご機嫌だろう。

 最近体調のいいばあちゃんは離れの客間で映画三昧だ。

「音が五月蝿くて啓示が勉強できないでしょう」と言って離れに籠っているのだが、どうやら教育上よろしくない〝桃色遊戯〟の映像もあるらしくてオレに隠れて鑑賞しているのだ。まあ、映画のシーンとしてそういう場面があるといった感じなんだろうけど、思春期を迎える男子には何かと気を使うようだ。そんなことをされると、こちらとしては余計に気になるのだが。

 母さんは午後からキミトに買い物に出掛けた。かなりストレスは溜まっているだろう。もともとはオレも一緒に行くつもりで着替えまでしたんだけど、出掛ける段になって頭が痛くなってやめた。実際、体がだるい。微熱も感じる。

 平日はフッカを迎えに行くというはっきりとした目的があるから家を出ているようなものだ。この状態では、もしフッカがいなければ間違いなく不登校になっているだろう。

 自分がこれほど打たれ弱かったのかと愕然とする。

 オレの体調不良に母さんも出掛けるのをやめようかと言っていたが、冷感シートを額に貼って「大丈夫」をアピールした。母さんもわかっているのだ、オレの体調不良が女性問題による精神的なものだということを。

 車が出ていく音を布団の中で見送って、フッカの写真に目をやった。いつもと変わらぬ笑顔でこちらを見つめている少女の口元に目が止まった。

(そういえば、最近してなかったな……)

 布団から抜け出して写真のある机の前まで這い寄る。座卓に手を乗せてフォトフレームに顔を寄せた。

 首を巡らせ、周囲を確認する。誰もいないことは分かっているが、念には念をだ。問題ないことを確かめて、フッカに向き直った。

「フッカ、大好きだよ」写真に唇を押し当てる。冷たいアクリルの平面だけどフッカの口の位置を間違えることはない。

 フッカと唇が触れ合ったまま、甘い言葉をささやく。前にフッカの家のドアホンに向かって放ってママさんを爆笑させた愛の言葉の数々だ。

 オレの言葉がフッカの唇を震わせて、彼女の肉と魂の深淵まで、さてどう表現しよう……。このところ気の利いた言葉がまったく浮かんでこない。

 もう一度、強く唇を押し当ててから顔を離した。いつもなら「ねえ、もっかい」と甘えてくる――気がする――んだけど、きょうは何も感じない。いや、それはオレの気持ちのせいに違いない。

 オレは引出し代わりの机の横に置いた手箱に手を伸ばした。蓋を開けて、ガラクタのように押し込んだメモ用紙や文房具の底から封筒を取りだした。赤色のチェック柄で封印シールがキャラクターの顔になってる。少女漫画雑誌の付録だ。

 この封筒を沢木さんが持ってきたのは月曜日の昼休みだった。

 トイレついでに、おんぶして学校まで運んだお姫様の様子でも見に四年の教室に行ってみようかと席を立ったら、廊下で彼女がこちらを見ていた。目が合ったら笑顔で手を振ってくる。まるで無人島に流された少女が沖合に船影を見つけた時のように両手でだ。

 慌てて教室を飛び出したら「はい」と手渡されたのがこれだ。


『高森くんへ


ほのかより』


 こういうのはまずい。

 もし誰かに見られたら完全に恋文と思われてしまう。急いで封筒をポケットに押し込んだ。手触りから中身は前日に頼んでおいた写真だとわかる。

 で、沢木さんはそれから昼休みが終わるまで喋り続けた。まるで朝から呼吸することさえ我慢していたみたいにマシンガントークってやつだ。身振り手振りを交えながら左右に動き、ときにオレの周りを一周する。

 あれ程喋るってことは、フッカとの会話は弾んでいなかったのだろう。沢木さんのおしゃべりにフッカの話題は少ない。かろうじて聞き出した情報では、フッカは給食を食べて気分が悪くなり保健室に行ったらしい。

 それならフッカの見舞いに行くかと思うのだが、オレの心配を他所に沢木さんが生き生きと喋る喋る。昼休み終わりの予鈴が鳴って、ようやく彼女は話を止めた。

 まだ話し足りなさそうに手を振って四年の教室に戻って行く背中を見送って、オレはやっとトイレに行くことが出来た。

 しかし、この沢木さんの出現でオレは今週一週間クラスの連中からからかわれる羽目になったんだった。

 その日の夜、早々に沢木さんから電話があった。オレは手渡された写真のことだと瞬時に判断した。リビングで電話に出た母さんから子機を奪い取ると二階の部屋にダッシュで駆け上がる。

 しかし、内容は〝先生が授業で当てる順番が酷い〟とか〝男子がエロいこと言う〟とか〝掃除をサボる子がいる〟とか、まあそんなどこにでもあるような話が延々と。

 沢木さんは一時間近く喋ったあと満足したのか「じゃあ、また明日ね」と電話を切った。

 こんな話なら堂々とリビングにいた方が家族にあらぬ詮索をされずに済んだものを。子機を戻しに行った時の家族の反応はかなり微妙なものだった。

 多分、彼女にとっていままでそういう下らない素の自分を出せる相手はフッカだけだったんだろう。まあ、スッキリしたのならこれはこれでいいかと思ったら、翌日の火曜日もだ。

 部屋で例の写真鑑賞をしていたら親父がやって来て、戸を開けたら「彼女から電話」と電話の子機を差し出した。

「えっ、彼女!?」

 オレもつい声に出してしまったが、そういうときは相手に聞こえないように通話口を手で押さえとくもんだろう。絶対にわざとだ。で、親父を閉め出して電話に出ると沢木さんは笑いながら「彼女でーす」だ。オレが返事に困っていると、気にする風もなく楽しそうに今日の出来事を語り出した。

 まあ、それはいいんだけど、手元にある写真を見ながら「彼女でーす」なんて声を聞いていると心穏やかではない。いっそ、こちらから写真の話をしようかとも思うが、これを回収されてしまっては藪蛇だ。

 彼女はまたたっぷり一時間近く話をしてご機嫌で電話を終えた。恐らく、スマホは通話無料のプランに入ってるんだろう。もし、こちらからこれだけの電話を掛けてたら間違いなく電話代だけ小遣いを減らされる。

 沢木さんは明くる日もその次の日もそのまた翌日も夜八時十分から九時までの間スマホに向かい「彼女でーす」の挨拶一番、愛らしい声でわざわざ電話を掛ける程でもない雑談をおやすみなさいの時間までたっぷりとオレに聞かせてくれた。

 連日の電話のおかげで親父は『彼女』とか言うしばあちゃんは『彼女さん』だ。親父やばあちゃんはいままでのフッカとオレの関係をどう思ってたんだろう。

 唯一、母さんだけはフッカの存在を気遣って『ほのかちゃん』と呼んではいるが「文香ちゃんはどうするの?」って、まるでオレが不倫でもしているような口ぶりだ。で、そのマイスウィートハートの話によると、昨日の土曜日もまたまたデートの予定が入っていたらしい。

 まったくマメな野郎だ。

 楽しい一日を過ごしたおかげなのか、昨夜はいつものような電話はなかったけど。フッカという話し相手がうまく機能していない状況がよく分かる。フッカが休んでた一週間はきっと沢木さんにとって地獄だっただろう。

 それで先週は我慢しきれずオレん家に来たのか? もう、誰かと喋りたくて喋りたくてしょうがなかったんだろう。母さんが居る前で見せられた封筒もきっとフリだ。結局リュックからもう一度出てくることはなかったし。

 ようやく学校に出てきたフッカにも、色々あって以前のようには話ができなかったのだろう。

 それにしても、この写真だ。沢木さんのスマホにあった画像をプリンターで2L版に写真印刷してくれたものだ。

 彼女はオレの意見を聞いて、直ぐにスマホにパスワード設定したらしい。お父ちゃんとお母ちゃんに「スマホには友達の大事な情報も入ってるからパスワードを入れた」と宣言して親にだけパスワードを教えたのだ。

 両親は娘の考え方にいたく感動して、アニメの動画アプリのダウンロードを認めてくれた。四桁のパスワードを親の結婚記念日にしたのが良かったのだろう。

 ただ、お父ちゃんがその数字の意味を分からなかったらしくて、お母ちゃんに〝往復ビンタ〟されたそうだ。なんとまあ仲のいい夫婦だことで……。

 あのヤバい画像はプールの時の画像と一緒にメモリーカードに落とされて彼女の通称〝宝箱〟の中に隠されているそうだ。オレは沢木さんとは一生友達でいたいと思う。

 貰った写真は六枚。

 オレがリクエストした五枚はフッカのアップや水着姿が綺麗に写っているのだが、あとの一枚はなぜか沢木さんの写真なのだ。

 しかもそれは「絶対にスマホに入れていてはいけない」と言ってた大問題の画像だ。画像を選び間違えてプリントしてしまったとしても、写真を見れば直ぐに気付くはずだろう。

 ということは、これはオレへのプレゼントか?

 いや、こんな写真を撮るぐらいだから、事の重さに気付いてないのかもしれない。

 ちょっとした悪戯心?

 からかう気持ち?

 あるいは本当にただの間違い。

 そういえば、あの封筒を渡されたとき「帰ってからこっそり見てね」なんて意味ありげに言ってたけど、このスペシャル画像が入っていたからなのか?

 いやいや、勘繰りすぎだ。中身がフッカのナイスな水着写真だからそう言っただけなんだ。

 何度写真を見つめ直しても意図が分からない。つくづく見つめ直してしまう。意図を考えるというのが言い訳でしかなくてもつい見てしまう。欲しかった五枚よりも付録の一枚の方ばかりに気が行くのは何故だ、というよりこの写真じゃ当たり前だろう。雑誌でも本誌より付録が欲しくて買う人が多いって言うじゃないか。

 しかし、フッカにはカメラマンの才能があるかも知れない。綺麗だ。ほぼ平らだったフッカのに対して実に美しい。なんとも言えない微妙で複雑な曲面の組み合わせは息を呑むようだ。見ようによっては芸術作品と言えなくもない、かもしれない。

 小六男子の頭の中身を埋め尽くすには十分過ぎる破壊力がある。

 ひょっとしとら、この写真の中に何か見落としているものがあるのかも知れない。

 もっとよく見てみよう。

 そう思って、押し入れの下段のガラクタの入ったダンボールから虫眼鏡を引っ張り出した。テレビでコマーシャルやってるメガネ型のルーペが欲しいぐらいだ。虫眼鏡のレンズの曇りをティッシュで丁寧に磨いて、写真に向き直った。

 さあ、いきなりそこか? いや、まずそこからだろう……。

 もう一度、部屋の中を見回して深呼吸。虫眼鏡を構えた。

 あれ? チャイムの音……。

 日曜日の昼過ぎに誰だ。

 もしかして、フッカか!? 以前もパパさんがいなくなった時間帯によく遊びに来てた。ひょっとしたらもう五月蝿いのがいなくなって会いに来てくれたのかも知れない。

 写真を封筒に押し込んで部屋を飛び出した。

 一気に階段を駆け下りる。

 階段の途中で額の冷感シートを剥ぎ捨てた。フッカには打たれ弱いオレを知られてはならないのだ。。

 もう一度鳴ったチャイムの音に最後の四段は飛び降りた。

「高森さーん、郵便でーす」やけに威勢のいいオッサンの声に力が抜けて弾みで玄関から落ちそうになった。

「はあい」返事が不機嫌になる。下駄箱の上に置いたハンコを掴んでサンダルを履く。引戸を開けると目の前に制服姿のオッサンが封筒を手に待ち構えていた。近い。

「高森、拓也さん、で、お間違いないですか」言いながら封筒を押し出して宛先欄を指し示す。

「はい」見るまでもなく、親父宛てだ。

 配達証にハンコを押して封筒を受け取る。レターパックっていう宅配便みたいな封書だ。中身は本なのか、分厚く、ずっしりと重い。

 仕事を終えた郵便配達が家の門を出るのを見送っていると、門の外でこちらに向かってやけに元気に手を振っている赤い女の子が目に入った。


「遊びに来た」という沢木さんをとりあえず家に入れたが、良かったのだろうか。

 まあ、ばあちゃんがいるから子供だけってわけでもない。玄関を上がったところで彼女に待っててもらって、ばあちゃんに友達が来たことを伝えに行った。離れの部屋の前で「友達が来たから部屋で遊んでる」と大声で叫ぶと、「はいはい」と返事が返ってきたが、わかってるのかどうか定かではない。部屋の中から結構な音量で銃撃戦の音が漏れ聞こえてくるからだ。どうやら今日は西部劇でカウチポテトのようだ。ばあちゃんの心を乱さないように『友達』ということで、毎日のように電話で長話している女の子であることは伏せておこう。下手に話すと『彼女さん』の顔を拝みに出てきかねない。

 玄関に戻ると、彼女はもう二階へ上がる階段の途中にいた。

 まったくアクティブな子だ。法事の時なんかに「ちょっとはじっとしてなさい!」と叱られた経験がきっとあるだろう。

「部屋で待ってて」背中に向かって声をかけると、振り向きざまに右手を上げ「了解!」と敬礼のポーズを決めた。

 この屈託のなさには溜息が出るが、なんで額に冷感シートを貼っている?

「ここに落ちてたよ」

 それはわかるが、なんでも拾うんじゃないし、拾ったのを付けるんじゃない。捨てといてと伝えて、ため息で階段を上る小さなお尻を見送った。


 オレは手にしていた荷物を思い出して封筒に目を落とした。親父宛ならダイニングのテーブルにでも置いとけばいいだろう。彼女さんに飲み物でも用意するついでにコイツを置いていこう。

 テーブルにポンと置いておくつもりで何気なく差出人欄に目をやると『北倉愛美』という文字が飛び込んできた。

 えっ、ころぴょんからの恋文!?

 厚さ五センチは優にある。こんな風に本か書類に見せかければ中に情欲に充ちた熱い想いがしたためられた紙片を落とし込んでいても母さんは知ることも出来ないだろう。

 そもそも今日はころぴょんと親父は逢っているはずなんだ。それなのになんで恋文をわざわざ自宅に送ってくる。

 そうか、これはきっところぴょんから母さんへの挑戦状だ。愛人の妻に北倉愛美という存在をアピールしているに違いない。あんなにおとなしそうな顔をしているのに、恐ろしいことだ。

 母さんは昔家に遊びに来ていた夫の教え子の可愛らしいお嬢さんが立派な先生になったと喜んでいたんだ。もし母さんが離婚を決意したら、オレは迷わず母さんの味方になろう。

 それで、オレは絶対に不倫なんかしないぞ。何があってもフッカ一筋だ。沢木さんのあんな写真を見たからって……。

 あっ、やべぇ!

 オレは全速力で階段を駆け上がった。


「お待たせ!」

 オレのでかい声に机の前に座っていた沢木さんが驚いて振り返った。彼女の手にはいままさにあの封筒が握られている。

「ちょっと、それは……」駆け寄って封筒を奪い取る。

『なんで?』という顔でオレを見上げるところを見ると、まだ中身は確認していないのだろう。なにか、言い訳を考えなければ。

「写真、汚しちゃったから見せられないんだ」急いで手箱の底に押し込んで蓋を閉めると、手近にあった本を重石のように上に置いた。

「汚した?」沢木さんが眉を寄せる。

 だめだ、〝汚した〟って、そういう使い方をしてると思われるのもヤバい。そりゃ、実際そういう使い方もするけど、汚さないように気を付けている。いや、彼女はそこまで深く考えないと思いたい、が。

「いや、ほら、写真にチュウしたらしわしわになっちゃって、さ……」ええい、好きな子の写真にキスぐらいなら誰だってするだろ。

「チュウって!? お兄ちゃんさん、あの写真にそんなことしてるの!?」感心と軽蔑と驚嘆と納得の入り混じった目をしている。ウソだろ、女子はしないっていうのか!?

「可愛かったから、つい、ね」

「へぇー、写真なんかにして楽しいの?」

 そりゃ、生がいいに決まってる。

「女子だってぬいぐるみとか人形相手にままごとみたいに話し掛けたりしてんだろう」

「お兄ちゃんさん、写真とおままごとしてるの!?」

 沢木さんの口元が吹き出しそうに緩む。

 もういい、この場を切り抜けられるなら、いっそ爆笑してくれ。

「だって、最近フッカと遊んでないし、まともに話もしてないんだぜ。目の前に好きな子の顔があったら話しかけたくなるだろ」

「それって、ヨッキュウフマンっていうんだよ」

 なんで女子はそういう言葉を使うとき、とびきり嬉しそうな顔するんだ。確かにそうなんだけど、そういう言葉は沢木ほのかには似合わないと思うんだが。

「いままでずっと一緒に遊んでたんだよ。これからもずっと一緒だと、思ってた、んだ……」言ってて自分の言葉に急に体が熱くなってきた。

「ちょっと、お兄ちゃんさん、泣かないでよ」

「泣いてなんか……」

 言いかけて瞬きと同時に目尻から溢れた熱いものが顎まで流れる。慌てて彼女に背中を向け袖で押えた。

 最近、歳のせいか涙脆くなった。フッカと遊べないことを考えると涙が止まらなくなってしまう。

 堪えろ。いまは沢木さんが見てる。

 ひとつため息に近い深呼吸。

 よし、収まった。

 顔をあげようとして、背中に触れるものを感じた。小さいけど温かい。その温もりがゆっくりと背中を上下する。

「お兄ちゃんさん、大丈夫?」

 視界の端でオレを覗き込む沢木さんのちょっと困ったような顔が崩れるように一気に溢れて流れ落ちた。悲しいのか、寂しいのか、なんで涙が出てくるのか分からない。

 へたり込んだオレの頭と背中を優しい手があやすように撫でる。甘いオレンジの香りのする胸にすがりついて声を上げた。


「ほら、泣かないの。男の子でしょ?」

 母さんのような甘い言葉が染み込んできて彼女の胸の中で頷く。ようやく涙が治まって、しゃくり上げるように鼻を啜った。

 頭をポンポンされて、沢木さんから体を離すと、鼻にティッシュを押し当てられた。

「ほら、チンして、チン」

 それに向かって鼻から勢いをつけて息を出す。

 小さく破裂するように飛び出した大量の粘液がティッシュから溢れ出し、彼女の手を濡らす。指先から垂れた一筋がスカートの上に流れ落ちた。

 沢木さんが空いた手で脇にあったボックスから手早くティッシュを抜いてスカートを押さえ、もう二枚をオレの手に押し込んだ。

「もう、ほら、自分でやってごらんなさい」

 泣きすぎて思考力も流れ落ちているのだろうか。目の前にいるのが母さんのような気がしてくる。もらったティッシュで鼻を抑えて思い切り鼻腔に力を入れた。

 酷い音だ。可愛い女の子の前で出す音じゃない。耳がキンとして鼻の奥の辺りがヒリヒリする。取り残した分を新しいティッシュを取って拭った。その間に沢木さんは手に溢れたオレの体液を綺麗にして、スカートに垂れたベタベタを拭き取っていた。

 そのティッシュを丸め、器用に巾着袋のように縛ってお団子を作り、手の中でお手玉にしている。

「スッキリした?」

「うん」

 まだ奥の方に溜まったもので鼻声になる。

 沢木さんがいたずらっぽく「えいっ」とお手玉を投げつけてきた。慌てて受け止めた塊はずっしりと重みがあって、中にぐじゅぐじゅとした粘液を感じる。

「お兄ちゃんさん、すごい溜まってたね」

「あ、うん……」

 手の中のティッシュの重みと彼女の言葉が別のことを思い起こさせて、顔が熱くなって俯いた。

「あっ、怒ってないよ。大丈夫だからね」

 身を乗り出して頭を撫でてくる。多分、オレの顔が赤くなってて何か勘違いをしたんだろう。まるでおままごとのママと子どもだ。けど、可愛い女の子に頭を撫でられるのは悪くない。

 顔を上げたら目の前のグレーのニットセーターが濡れて光っている。泣いた時のオレの涙や鼻水か。

「あ、ごめん……」

 何気なく手を伸ばして濡れたところを手の甲で拭き取るように撫でた。

 沢木さんが〝何かな〟と体を離してオレが触れていたセーターの胸に目をやる。

「ああ、大丈夫、大丈夫。心配ないよ」

 その部分をティッシュで押さえている姿に、手に残る感触を思い出した。去年の夏のあの写真よりも、ずっと女の子らしさを感じるような弾力だった。

 もうブラとかしてんのかな?

「こんなものかな?」とクリーニングを終えた彼女の左胸はまるでオレが吸い付いたみたいに色が変わっている。

「乾いたら分からなくなるから」

 胸を凝視しているオレが濡れていることを気にしていると思ったのだろう、掌でその部分を撫でて「大丈夫」と笑った。確かにグレーは濡れると目立つ色だ。けれど、オレが見ているのはそんな表面のシミじゃない。

 でも、どんなにそこを見つめても、服の上からはわずかな男女の差しか感じることはできなかった。

 もしもオレのクラスの女子の胸に手を伸ばしたら、きっと顔が変わるぐらい殴られていただろう。そんな素振りも見せない沢木さんの屈託のない笑顔に、この子になら殴られるのもいいかも知れないと思う自分がいた。


 取り乱したことを丁重に謝罪して、飲み物を取りにキッチンに降りた。

「別にいいよ」と言われてもそういうわけにはいかない。家に女子が遊びに来て気合いの入らない男子はいないだろう。まして毎日電話してくれる少なくとも見た目だけは麗しい女の子なんだ。

 冷蔵庫を開けると紙パックのオレンジジュースと例のリンゴジュースがあった。

 母さんが何時に帰るか分からないが、もしそれまでに沢木さんが帰ったら家に女の子を上げたことはバレずに済むかも知れない。

 ばあちゃんだって、もう帰ったといえば後からわざわざ誰かが家に来たことを口に出すこともないだろう。

 そのためには飲み物は紙パックだ。オレが飲んだといえばいい。

 紙パックを取り出してグラスを並べた。ちょっとオシャレなガットグラス。コースターは見つからないが、まあ、いい。

 紙パックの口を開いて、止まった。

 あのジュース、美味しそうに飲んでたよな……。

 オレの飲みかけのヤツまで飲んでいた。口をつけた位置はわずかにズレていたけれど。

『お母様が入れてくだすった飲物は道の駅で一瓶千円の最高級濃厚ジュースで、彼のはスーパーで1リットルパック九十八円の特売ジュースなのね。きっと彼はわたしのことをその程度の女としか見ていないのだわ』

――――――――。

 オレは冷蔵庫を開け紙パックを戻してビンを取り出した。

 なんとかなる。根拠はないが、なんとかなる。

 戸棚のお菓子を物色してカントリークッキーを皿に盛る。おやつは食っても怒られることはない……、だろう。オレはポテトチップスがいまの気分だが、このクッキーは女子の定番だ。絶対にウケる。なんならオレの分を彼女に捧げてもいい。

「お・も・て・な・し、だ!」オレは気合を入れてトレイを持ち上げた。


 沢木さんはすっかりくつろいでこたつ替わりにオレの布団に脚を突っ込んで座っていた。

 お尻のところに枕を当ててると安定がいい。いつも布団敷きっぱなしのだらしない生活を送っているヤツなら皆知ってることだ。オレの枕に沢木さんのお尻が乗ってるなんて素敵なことじゃないか。

 男の部屋に遊びに来て、先に布団に入って待ってるなんて、若い女の子が絶対にやっちゃいかんことだろうとオレは思う。

「お帰りー」

 こちらに顔だけ向けて小さく手を振ってくる。

なにか言おうと思ってたけど、力が抜けた。

「ただいまー」つい浮かれて返事をしてしまうこの頬っぺたのだらける感覚はなんなんだろう。

 仕方なく、トレイを掛け布団の上に置いてオレは沢木さんと90度横に足を突っ込んだ。この位置だとお尻が敷布団からはみ出してしまうけど、向かい側に座るよりは距離が近い。ここなら何かあってもすぐに手が届く範囲だ。

 掛け布団の盛り上がり方で沢木さんが胡座をかいているのが分かる。まあ、これならどんな格好をしてもスカートの中が見える心配はない。

「あ、これ好きー」

 オレがお尻の位置を直してる間に沢木さんが早速カントリークッキーの小袋を摘み上げて封を切り始めた。

「どうぞ、どうぞ、食べてね」言った頃には、もう半分は口に入っていた。

「おいひ……」食べながら喋ろうとして中身がこぼれそうになり口元を人差し指で押さえた。美味しそうな笑顔が子猫のように可愛い。

「お兄ちゃんさんも、食べてね」

 クッキーのひとつを摘んでオレの手の中に押し込んできた。気を付けないと、この子のペースに飲まれてしまいそうだ。

「それでねぇ、昨日久坂くんと会うって言ってたでしょ――――」

 もう彼女のペースだった。

 他の子のデートってどんな感じなのかなってとても興味がある。沢木さんは昨日の久坂とのデートをおよそ三十分かけて詳しく解説してくれるのだが、ハッキリ言って面白くない。

 なにしろ男女の関係に興味の薄い身持ちの固い沢木さんだ。手を繋ぐシーンすら出てこない。

 キミトのフードコートで空いた席にエスコートするのに肩に手をやったことを「馴れ馴れしい」とバッサリ斬って捨てる。

 久坂の野郎こそ欲求不満なんじゃないのか。

 こういう子は友達としてなら良い付き合いができそうだけど、異性としては難しい。もしオレがこの子と付き合ったら、間違いなくあちこちベタベタ触りまくるだろう。なにしろこんなにお洒落で可愛いんだ。男子が触りたくない部分が見当たらない。きっとオレは「馴れ馴れしい」なんてもんじゃすまない。

 しかし、なんだかんだ言っても結局今週の土曜日もデートしたんだ。先週の話ではそれほど乗り気には見えなかったんだが。まったくもってまめなこった。

「オレだって一年ぐらい前まではフッカと毎週遊んでたんだけどなあ……」

 空いたグラスと皿の乗ったトレイを布団から下ろして脇にやる。沢木さんが布団の中で脚を投げ出したのが掛布団の動きで分かる。そのまま後ろに手を突いて胸をそらせた。

「でもさ、………………」

 さっき触れた緩やかな曲線を描く胸はすっかり乾いてどんなに観察してもシミにもなっていない。

「………………でしょ!?」

 何か言ってたようだが、目の前のわずかな隆起が気になって上の空になっていた。

「うん、まあ……、ね」

 いい加減にあいまいな返事で繕う。

「えーっ!? そこは違うっていいなよ、もう」

 鼻の頭にしわを寄せ頬を膨らませて睨むのはいったいなぜだ。

「男子っていっつもそんなことばっか……」とぶつぶつ言いながら布団の中に頭まで潜り込んだ。中から彼女の鼻をすするような音が聞こえる。

 泣いてる……?

 いったいさっきはなんて言ったんだ?

「お兄ちゃんさん、枕くさい!」

「嫌なら寝るなよ!」

 鼻をすするような音は臭いを嗅いでたのか。だからといって出てくる様子はない。フッカならオレの枕がくさいなんて絶対言わないぞ……。多分だが。

 そもそもこの子は何しに来たんだ。例の『フッカとアイツの仲を認めよう』って話をしに来たんじゃないのか。

 この、毎週のように来て飲み食いして、文句をいう女がフッカの友達じゃなかったら追い返してやるんだが、いかんせん可愛すぎる。

 毎週……!?

 急いで布団を抜け出した。沢木さんが鼻まで顔を出して〝なに?〟という目をしている。

 机に向かってレポートパッドを広げた。

「沢木さんのデートって1月6日だったよね」

「デートじゃないって!」

 彼女の反論は無視だ。

「あとは?」

 彼女が口にしたデート日を紙に書き込む。

「ヤツがフッカん家に来た日が……」

  1月6日→ほのか

  1月7日→フッカ

  1月14日→ほのか

  1月15日→フッカ

  1月21日→ほのか

  1月22日→フッカ

  1月27日→ほのか

  1月28日→?

 沢木さんとデートした次の日に必ずフッカの家に来ている。

「なあ、今日のアイツの予定は?」

 鉛筆を握ったまま返事を待ったが応答がない。振り向くと寝息を立てていた。

「子供かよ……」もちろんそうなんだけど、そうだとしても寝つきがよすぎる。

 机に向き直ってレポートパッドに書いた1月28日の横を鉛筆の先で叩いた。

 だとしたら、今日も来るのか? 先週、アイツは五時過ぎにフッカの家に来ていた。今日も同じスケジュールで動くのなら、五時過ぎにフッカの家にいるはずだ。

 くそっ、ねじ込んでやる!

 とんだ二股野郎じゃないか。沢木さんを連れていくのもアリかも知れない。何としてでもフッカを取り戻してやる。気合を込めて拳を握り締めた。

 沢木さんの様子を見に布団ににじり寄る。なんとまあ、幸せそうに寝ていることか。

「沢木さん」どこかに触るのもまずいような気がして声を掛けると、眠そうに顔をこすって片目を薄く開いた。

「ああ、ごめん……」

 ぼそぼそと言いながらゆっくりと身体を横にずらして布団の右半分を開け、掛け布団の端をめくる。どうやら、オレが入るスペースを空けてくれたようだが、完全に寝ぼけてるのは間違いない。

 いま、彼女はここにいるのがオレだということを半分も理解してないんじゃないか。叩き起してやろうかと息を吐いた。

「高森くん、寒い……」

 めくったままの掛け布団に彼女からむにゃむにゃと抗議が入った。確かにこの布団の中は、心も体もポッカポカになりそうだ。


 地面から突き上げるような衝撃と叫び声がオレの目を開かせた。

 地震か!? と思ったが揺れていない。急いで首を捻って周りを見る。

 枕元に母さんが立っていた。

 慌てて起き上がろうとしたが、体が動かない。

 オレの左肩に沢木さんの頭が乗っかって、彼女の腕と脚がレスリングの体固めのように体を押さえつけているからだ。

「あんたたち、何やってるの!」

 いつも穏やかな母さんが窓ガラスを震わすほどの怒声を上げたのは、いままでの人生の中で記憶にない。

 沢木さんは持ち前の反射神経を発揮して掛布団をはねのけ瞬時に正座になった。

 ようやく身体を解放されたオレはゆっくりと憤怒の形相を浮かべる母さんの前に起き上がった。

 オレは星座になりたい……。


 母さんはオレから概要を聞いた後、沢木さんを連れて別室で取り調べに入った。取り調べに使われているのは、オレの部屋の向かいの親父の書斎だ。が、耳を澄ましても声は聞こえてこない。泣き声や叫び声、悲鳴なんかもないので拷問はされていないようだ。

 幸いだったのは、オレたちがちゃんと服を着ていたことか。何もなくても着衣が乱れていたらあらぬ疑い掛けられることに直結する。

 まあ、いくらなんでも母さんも彼女のパンツの中まで見せろなんて言わないだろうけど。

 それにしても、つい布団に入ってしまったのは間違いだった。隣でしばらく話しかけてたけど、返ってくるのは寝ぼけた相槌ばかりだったのは覚えているんだが。いつの間にあれほど密着していたんだろう。

 左肩に残る沢木さんの香りに体が熱くなった。

 しばらくしてかなり不服そうではあるが冷静さを取り戻した母さんが沢木さんを置いて戻ってきた。

 それで、オレはもう一度、状況の説明といくつかの質問に答えなければならなかった。

 複数の被疑者がいる場合、それぞれの供述の矛盾点を突くのが取り調べの基本なのだ。

「信じてあげるための確認だからね」努めて平静を保っているが、心中は穏やかでないことは確かだろう。もし親父ところぴょんが一緒の布団で寝ているところを母さんが目撃したら「なんにもなかった」などと二人が言っても絶対信用しないだろう。男と女だ。たとえいまはなくても、いままでにあったかこれからあるのは確実なのだ。

違う、オレと沢木さんのことだ。いままでも何もない。これからは知らないけど、これは初犯なのだ。いやいやいや、何も犯していない。そんな犯すって、別にそんな意味じゃない。ええい、落ち着け、もう、勝手に調べてくれ!

 母さんはその後も、掛布団をめくってみたり、部屋の中を見回したり。

 ゴミ箱のティッシュ団子には非常に興味を覚えたようだが、鼻水ということで納得してくれた。

 さらにゴミ箱の奥に捨ててあったもう一つのティッシュの塊については、もう、仕方ない。正直に「夕べの分だ」と説明するしかない。くそっ、きちんと処分するのを忘れてた。

 母さんは、ただただ大きなため息を一つついた。


 どんな話があったのかわからないが、保釈が認められて部屋に戻ってきた沢木さんはかなり打ちひしがれた様子だった。どう声を掛けていいのかわからない。

 母さんがもう遅いから車で送っていくという。そういわれて、時計を見たらもう七時前だった。

 車の後部座席に乗り込むとき、彼女が小さな声で「怒られちゃった」とばつが悪そうに舌を出した。案外、見た目ほどのダメージはなかったようでホッとする。やはり彼女は演技派なのだ。

「家、大丈夫か?」

「うん、さっきメール送っといた」

 こういうときにスマホは便利だが、実際にどこで何をしてるのかは、メールではわからないんだ。オレの布団に寝ながら「図書館にいる」と送ることもできる。沢木さんの手に握られているスマホを見て、GPSとかで居場所がわかるのかな? と、ふと思う。

『信じるための確認』

 オレとフッカの間にもきっとそれが必要なんだろう。フッカの家の前を通り過ぎるとき、ヤツの自転車はもう止まっていなかった。疑うことへの恐れはたぶんオレたち二人にとって誠実なものではないんだ。

 先週は、彼女を家の前で降ろしただけだったが、きょうは母さんが沢木さんのお母ちゃんに挨拶をして、帰りが遅くなったことを丁重に謝っていた。ついでにオレも彼女のお母ちゃんに頭を下げることになった。

 沢木さんは「また明日ね」とオレに手を振ってくれたんだが、たぶんお母ちゃんはそれを見て、毎週のように娘がおしゃれをして出掛けていく相手がオレだと勘違いしたことだろう。

 帰りの車で助手席に座ることになったのは、母さんの無言の圧力のせいかも知れない。

「明るい感じのお母さんだったわね」ハンドルを握って前を向いたまま口を開いた。

「うん」遅くなったけど、怒ってる様子はなかった。母さんよりだいぶ若くて可愛らしい感じだ。きっと沢木さんはお母さんに似たんだろう。

「ちゃんとご挨拶できてよかった」

「うん」という返事を繰り返すぐらいしかできない。

「先週、きちんと挨拶しとけばよかったね」

「家の人に挨拶ってやっぱいるのかな……」学校の友達で親同士が家に行って挨拶ってそんなにないと思うが。

「母さんだって小学生にはまだ早いと思うけど、あんなことがあったし、お付き合いするんならちゃんと責任っていうものがあるのよ」

「あぅ、付き合うって?」母さんの放った言葉に動揺する。

「いままで、文香ちゃんの友達ぐらいにしか思ってなかった子がいきなり家に遊びに来るようになって、毎日電話もかかってくるって、そういう急に親しくなる男の子と女の子の関係っていうのは〝付き合う〟っていうのじゃないの? 二人を見てたら心配なぐらい親密な感じに見えるよ。ほのかちゃんはまだ四年生で男の子も女の子も同じ友達なのかも知れないけど、あなたはもう〝そう〟じゃないでしょう?」

 〝そう〟に力を込める母さんはゴミ箱の中を思い起こしているのかもしれないが『心配なぐらい親密な感じ』って、そんなわけはないんだ。

あのカウンセラーがオレと友井を勘違いしたみたいに、母さんは沢木ほのかを勘違いしてる。

「わかってる。でも、オレは、そういうことはフッカとしたいんだ」言ってからまずいと思ったが一度口に出してしまったものはもう戻せない。

 母さんの拳がオレの頭に振り下ろされた。

「で、その文香ちゃんとはどうなってるの?」

「それは……、沢木さんの彼氏とフッカが付き合ってるみたいで……、よくわからない……」

「なに、それ?」

「だから……、わからな……」

 またいきなり涙が溢れてきて、それで母さんとの話は強制終了になってしまった。



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