表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

神の力《アバス》2

今日は何と最強とも呼べる力を持ってきた勇者ちゃん。その力でついに魔王ちゃんを消滅させるが事態は思わぬ方向へ……

 今日の勇者ちゃん、金髪を揺らし碧眼を輝かせて自信満々だった。


 対する黒髪黒目の魔王ちゃんは、こいつはいつもいつも挑んでは返り討ちにされていると言うのに何が楽しいのか……とうんざりした雰囲気で眺めていた。


 取り敢えずもう帰れと手を振って追い払う魔王ちゃん。しかし勇者ちゃんは不敵に笑い人差し指を左右に振る。勇者ちゃんの懲りない態度にため息を隠さない魔王ちゃんだ。


 対する勇者ちゃんは、何と右手にある女神の証――『翼ある太陽』のアザを輝かせ力を使う。


 今度の神の力(アバス)は全ての思いを具現化するという、最悪極まりない能力だった。それに気づき青ざめた魔王ちゃんの頭上から無数のハルバードが降り注ぐ。


 間一髪で魔力を展開し魔王ちゃんは逃げ出したが余裕たっぷりな勇者ちゃんの馬鹿げた攻撃は止まない。雷が弾幕を創り炎が逆巻き大地が割れる。それでもギリギリで魔王ちゃんはかわして逃げ続ける。


 やがて面倒くさくなったのか。勇者ちゃんはアバスに『魔王ちゃんが消えろ』という願いを求め、力もまたそれに応える。


 瞬間、腹を突き飛ばされたような体勢で、空中で煙になって消えてゆく。


 遂に、魔王ちゃんが世界から消滅した瞬間だった。


 彼女の粒子が晴れて空になった玉座と大広間を見て、勇者はぶるぶると武者震いして両手でガッツポーズを振り上げる。遂にあの魔王ちゃんに勝った! 自分こそ最強の存在だと、大喜びだ。ただ右手を見ればまだ力が現実化していないのが勇者ちゃんにとって不思議ではあったが……


 まぁそんなのいいやまずは手始めにと玉座に座り、力を利用して紅茶とお菓子を出した。ふーむ、敵の居ない世界での紅茶は良い物だと紅茶の芳香を楽しむ勇者ちゃんだった。


 ◇◇◇


 紅茶も飲み終わり、勇者ちゃんは頬杖をついてぽつねんとしていた。


 何と言うか、モヤモヤとするのだ。魔王ちゃんの居ないこの玉座の大広間に居ると落ち着かない……というか手持ち無沙汰というか。


 なら遊ぶかと勇者ちゃんは立ち上がり力を使うと、大広間に色んな玩具を創造した。取り敢えずカードゲームだが……やっぱりつまらない。それはそのはず。だったカードゲームは二人でするものだからだ。ならばと思い次の玩具を手にするも、何だか違うと左右に首を振る。次の玩具も手に取って投げ捨てた。何だか違う、しっくり来ないと首を振る勇者ちゃんである。


 ふと玉座を振り返れば。そこにはいつもうんざりした顔の魔王ちゃんの幻影が見える勇者ちゃん。それを見て何故か悲しくなってきた。


 そうだ、こんな時はご飯だと指を鳴らす勇者ちゃん。その瞬間、勇者が力を使う前に大量のお菓子が現れる。


 勇者ちゃんは不思議そうにアザとお菓子のセットされたテーブルを交互に見やると。試しに『魔王ちゃんが欲しい』と思ってみた。


 刹那。目の前に光が集い、その中から黒髪黒目の魔王ちゃんが出てきたのだ。


 おぉっ! と驚く勇者ちゃんに対して、ニコニコと笑う魔王ちゃん。ちょっとその魔王ちゃんに違和感を抱くものの、勇者ちゃんはお菓子の大量にあるテーブルに彼女を誘う。魔王ちゃんは何も言わずにただただニコニコとして、テーブルに着いた。


 ◇◇◇


 お行儀良く食べる笑顔の魔王ちゃんを見ていて、どうにも収まりの悪い勇者ちゃんだ。何故なら魔王ちゃんはいつでもうんざりした表情で自分と対峙していたのだから。


 違う。違うんだ。こんなのは魔王ちゃんじゃないんだと勇者ちゃんは頭を抱えて激しく振る。対する魔王ちゃんは不思議そうに勇者ちゃんを見上げるばかりだ。


 こんなのが魔王ちゃんな訳が無い。何かの間違いだ。魔王ちゃんは『私と戦う存在』なのだと勇者ちゃんが思った瞬間。魔王ちゃんが光に包まれて。


 いきなりレイピアで勇者ちゃんの胸を串刺しにしたのだ。


 かはっ……と口から血を吐いて後退る勇者ちゃん。その時レイピアが抜かれ血の雨が降り注ぎ、魔王ちゃんとお菓子を血で染め上げる。


 魔王ちゃんには何の表情も無い。ただただ無表情でゆっくり立ち上がり、勇者ちゃんに向かって歩み寄る。


 勇者ちゃんは力を使うと傷を治しつつ長剣を創り出し、構えて対抗する。


 対する魔王ちゃんも。無表情で長剣を創り出し冷静に急所目指して一撃を見舞いする。自分の剣術より遥かに重く鋭く、そして強すぎる剣戟に。勇者ちゃんは呆気なく力負けする。


 今度は魔法で対抗しようと強力無比な業火を叩き込むが、魔王ちゃんは荷電粒子を集束させて炎ごと勇者ちゃんを薙ぎ払う。


 何故?! 何故勝てないの?! と吹っ飛ばされ壁に背中から激突しゴホゴホと血反吐を吐きながら痛感する勇者ちゃん。


 魔王はゆっくり、ゆっくりと歩み寄り、勇者ちゃんを一撃で仕留める為に長剣を振りかぶる。


 勇者ちゃんも怪我を負った状態だが何とか立ち上がり。魔王ちゃんを完全に倒せる聖なる剣を創り出す。


 突撃する勇者ちゃんと待ち構える魔王ちゃん。聖剣と長剣が、お互いの力が交差する。


 やがて二人の胴体は貫かれ、ずっとそのまま立ち尽くしていましたとさ。

また近いうちに更新しますね

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ