第八話 「旅立ちと盗賊団」
「じゃ、行ってきます」
「行ってきまーす」
「はい、行ってらっしゃい」
「おう、行ってこい」
昨日、母さんとの授業を終え、着替えや獲物を狩る為の武器を持った俺達は、学園試験の有る1ヶ月程前に、家から出発した。
「取り敢えず、道なりに行けば着くらしいから、なんも起きないだろうし、のんびり行くか」
「そうだね」
ーー1時間後ーー
「お、こんな所にガキ二人でお散歩。しかも片方は女ときた。これは攫って下さいと言ってるようなもんだよな〜」
「「………」」
「なんか、起きちゃってね」
「ああ。起きちゃったな」
俺たちの周りには、10名程の盗賊団と思わしき人達がゲスい顔で立っていた。
「はっはー。お頭。さっさと殺っちゃいましょうや」
「待て待て。殺すのは無しだ。両方とも奴隷として売り捌いてやろう」
頭領と思わしき赤いバンダナを付けた盗賊がそんな事を言っている。
「お兄ちゃん。なんか凄いこと言ってるよ」
「う〜ん。どうしようかな?」
「取り敢えず殺れば?」
「まあ、あんな事言ってるしなぁ〜」
「ああ?そんな事できる訳ねえだろ。天命も授かってないガキによ〜」
「出来ないかどうかは、やってから決める」
俺は、そう言って腰に掛けてある片手剣を抜く。
「は、良い度胸だ。良いぜ。やってやるよ」
そう言って、盗賊の一人が、突っ込んできた。
(相手の武器は、両手剣。無警戒に突っ込んできてるからすぐに終わるな。ほかの奴等は剣すら抜いていなし)
「おっら」
「ふっ」
盗賊の剣を紅が避け、丁度首が下がっていたので、斬り上げ、首を飛ばす。
「さて、次は誰だ?」
「このっ、調子に乗りあがって!」
今度は、五人で襲いかかってくる。
(武器は短剣二人、両手剣三人か。技術は大した事ないな)
一人目の短剣使いの首を攻撃される前に飛ばし、続いて来たもう一人の短剣使いも、攻撃を避け、即座に後ろから首を飛ばす。残りの三人も、避けては首を飛ばしていき、片付ける。
「さて、あんたらはどうする?」
「小僧の方はいい!小娘の方を狙え!」
「させる訳ねえだろ!」
翠に襲いかかった盗賊どもを、流れるように斬りとばす。
「さあ、後はあんた一人だけだ。覚悟は出来てんだろうな」
「ふん。ガキが。粋がるなよ!」
盗賊の頭領が、剣を抜き、突っ込んで来ると同時に、俺は剣を鞘に収める。
「……」
「お、お兄ちゃん?」
「は!覚悟を決めたかガキ。そのままくたばれー!」
無警戒に突っ込んで来るので、足は動かさずに、腕にだけ力を込め、鞘から抜き、斬り捨てる。
「朝霧流抜刀術『不動一閃』」
「ば、バカな。この俺が、こんな、ガキ如きに…」
バタッ
「ふう。やっと終わったか」
「お、お兄ちゃん。朝霧流抜刀術って…」
「ああ。家出た時な。お父さんが名乗っても問題ないって」
「そうなんだ。もう実家の名前を背負えるような技になったんだね」
「それはそうと」
「うん?」
「この死体。どうする?」
「あ」
「「………」」
「取り敢えず、道の端に寄せとくか」
「そ、そうだね」
と、ゆう訳で、盗賊の死体を道の端に寄せ、また俺たちは、歩き出した。
学園編でも学園から始まる訳ではない。