第一話 「始まり」
そこは、とある辺境の村の、何処にでもありそうな一つの家。
その寝室に、緑がかった白髪で長髪の少女と、赤みがかった白髪の少年が、言い争い(?)をしていた。
「お兄ちゃん、起きて!」
眠っていると、妹の声が聞こえたが、適当に流す。
「早く起きないとご飯冷めちゃうよ」
「んー」
「もう、こうなったら」
そう言うと、妹が、俺のお腹にダイブしてきた。
「ぐふっ!?」
「起きた?」
「い、妹よ。起きないからって兄のお腹にダイブするのは、どうかと思うよ?」
「起きないにいにが悪い」
「あと俺の呼び方そろそろ固定して?」
「やだ」
「なんで?」
「なんででも」
「はー。ま、いいか」
「やったー!お兄ちゃん大好き!」
「そう言ってもらえると、嬉しいよ。それじゃ、ご飯食べに行くか『翠』」
「そうだね『紅』にい」
こうしていつもの朝が始まる。
〜〜〜
「おう、起きたか」
「ああ、おはよう父さん」
翠に起こされ、リビングへ行くと、父さんが汗を拭いていた
「今日も朝稽古?」
「日課だからな」
「俺もしたいんだけどな」
「天命が剣士じゃなかったらどうする」
「そうなんだよなー」
そう、この世界には、「天命」と呼ばれる、15歳の時に授かり、その人の素質を伸ばす代わりに、授かったこと以外だと、できなくなる。
その種類は、合計12種あり、ほぼ全員がその中の2種類のうちのいずれかになる。
1つは「剣士」
その名のとうり、剣を使った戦闘が上手くなる。その代わりに魔法が使えない。全体の約7割がこの天命を授かる。
もう一つは「魔法士」
この天命を授かったものは、剣が持てなくなる代わりに、「魔法」と呼ばれる物理現象を捻じ曲げる力を得る。全体の約3割がこの天命を授かる。
「なあ父さん」
「ん?」
「母さんって魔法使えるんだよな」
「そうだな」
「教えてもらえねえかな?」
「なんでだ?」
「後々使えるかもしんねえだろ?」
「頼んでみればいいんじゃねえか?」
「それもそうだな」
「ほら、二人とも、喋ってないで食べなさい」
「なあ母さん。魔法教えてくれねえか?」
「別にいいわよ。今日から教えるつもりだったし」
「ん?なんで?」
「学園」
「あ」
そう、半年後に僕ら兄妹は、全国一の名門校「王都第一学園」の入学試験を受けるのだ。
そこで魔法の知識が必要なのである。
「じゃ、食べ終わったら早速基礎からやるわよ」
「「はーい」」