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ボク達は、防疫都市武蔵海原からの脱出に成功した。
そんなボク達の目の前に広がるのは、緑豊かな森だ。
かつて、人類が数十億といた頃は、コンクリートジャングル等と呼ばれていた高層ビル群があった場所。
しかし今では、ビルのあちこちから木が生え、緑に埋もれていた。
そんな森の中に入り、ボク達は一息ついた。
「ふぅ~、なんとか脱出出来たのデス」
「おねぃちゃん、この1年ありがとね」
「はいはい、しんみりしない。触手君達が言ってる"エデン"に行くんでしょ?」
「ハイ、そうなのデスよ。ボク達は、"エデン"に行くのデス」
ボク達の会話を聞き、新たに触手を宿し、触装少女と成りつつある女性達の心は1つとなった。
((((あのちっちゃい娘の方がお姉さんなの!?))))
ボクは、触装少女の異端で、元男かつ現ロリだ。
見た目は、銀髪ストレートの姫カット、紅い瞳の8歳児くらいのロリである。
ただでさえ、低かった背が縮んだ時は泣いたが、妹のモノを受け入れた時の満たされている感は、段違いだった。
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触装少女は、基本的には触手が寄生した年齢で身体の成長が止まる。
そして、ある一定の年齢を超えていると、10代半ばから10代後半の外見年齢まで若返る。
ただし、10歳未満の少女には触手は寄生しない。
つまり、10歳に満たない外見の触装少女は本来なら、存在しないのである。
防疫都市で生活していた頃は、男なのに少女のような見た目で異端視され、触装少女になっても幼女のような見た目で異端になってしまった。
異端であっても触装少女は触装少女、その本能は変わらない。
自然と調和し、一部の旧人類の進化を促し、地球上から旧人類を消し去ること。
そうして、旧人類によって破壊された、地球環境を正常に戻すことである。
その為にもまずは、旧長野県にある階層型防疫都市跡、通称"エデン"に行かなくてはならない。
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高さ1000mを超える、全3層からなる巨大構造物で、日本で最初に建造された防疫都市。
それが、エデンである。
地盤に接地している、構造物を支えるアーチを触手が覆い、防疫都市としての機能が破綻。
そして、始まりの触装少女と呼ばれる少女によって、都市内の男性は駆逐され、女性はことごとく触装少女になった。
こうして、エデンは触装少女の活動拠点となり、エデンを覆っていた触手は成長を続け、世界樹と呼ばれる巨大な木になった。
エデンが世界樹へと姿を変えた後、周囲の木々は活性化し、通常ではあり得ない速度で人類の文明を飲み込み、その姿を森へと変えていった。
触装少女達は、自身に宿る触手の思念伝達能力と、ある種の帰巣本能によってエデンを目指した。