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プロローグ


20XX年、世界各地で触手としか表現できない謎の生物が発見された。


最初に発見されたのは、アメリカだった。

大自然の中、トレッキングを楽しんでいたカップルが襲われた。

男は、全身を滅多打ちにされ虫の息。

女は、黒くドロドロとした粘液に絡み付かれた状態で数日後に発見された。


カップルの証言から、触手状の何かに襲われたことだけが判明した。


女は、恋人や警察にも触手状の何かに性的に襲われたことは明かさなかった。

もちろん、自らの胎内に触手の子が宿ったことも。


その後、世界各地で触手が目撃され、日本では高尾山で初めて目撃された。

高尾山に学校行事で訪れていた、女子高生のグループが襲われ子を宿したが、やはり、その事は誰にも明かさなかった。



世界各地の目撃情報が増え、触手に襲われる者が増えたことにより、国連で触手の研究・駆除が議題に挙がった。


各国の軍隊と研究者の協力により、触手達は他の生物には興味を示さないが、人間の女性のみに強く反応し、女性の胎内に寄生することが判明した。

触手に寄生された女性がどうなるのか、研究者の探究心は当然のようにそちらに向いた。

しかし、人権保護団体により観察や人体実験が出来ず、研究者達の憶測による数パターンのシミュレーションが行われた。



△▼△▼△▼△▼△▼△



そんな中、1人の探究者が、幼い少女を施設から引き取り、研究所から持ち出した触手の卵を少女の胎内に入れ、無理やり寄生させ否人道的な実験を自宅で行った。


少女は、触手を寄生させた頃から肉体の成長が止まり、転んでケガをしても傷口が即座にふさがったことから、ある種の不死性を持っていると予想された。

その予想を確実なものにするために、研究者は少女の身体にメスを入れた。

その後も自宅の地下室での人体実験は続き、ついには心臓に杭を打ち込むことまでした。

それでも少女は生きており、研究者は狂喜した。

人類が焦がれた不老不死への鍵が見つかったからだ。

翌日、研究者は次なる実験を行おうと地下室に足を踏み入れた。

しかし、その部屋は昨日とは様相が一変していた。

無機質だった壁は、肉色の蠢くものに覆い尽くされ、まるで、巨大な生物の腹の中に居るように錯覚させた。

驚き、立ちすくんでいると、背後で扉が閉まり肉色の何かに覆われて消えた。

そして、床と天井から肉の蔦が伸び研究者を吊り上げて拘束した。

四肢を拘束され、動けない研究者の目の前に、蠢く肉の床からユラリと立ち上がる者がいた。

赤黒いバトルスーツに身を包んだその人物は、実験のために閉じ込めていた少女の声で、「昨日のお返し」と呟くと、研究者の胸に肉の槍を突き立て殺害し、部屋を後にした。


少女が身に纏っていたバトルスーツは、ほぐれるように触手へと姿を変え、少女の陰部へと消えていった。


少女は、研究者の家の中を漁ると、ワンピースとサンダル、麦わら帽子を身に付け、研究の家の裏の森に姿を消した。



△▼△▼△▼△▼△▼△



少女が、暴走した研究者に人体実験をされるようになった頃から、触手達の行動に変化が現れた。

女性を襲い、幼体を寄生させることに変わりはなかったが、女性に対する態度が少し紳士になり、反対に男性は執拗に命を狙われた。


噂では、触手が暴漢に襲われた女性を守り、慰めるように抱き幼体を寄生させつつ、暴漢の男性機能を徹底的に破壊し、屈辱を味わわせるように股間を複数回強打した上で、尻を貫き内臓をかき混ぜて命を奪ったという。


その後も、女性は助かるが男性は確実に命を奪われ続け、このままでは人間の種としての存続の危機に陥るのでは、という声も上がり、各国は協力して触手の掃討作戦を開始した。

しかし、触手の生態がわからないまま始まった掃討作戦は、効果がないどころか、男性隊員に多数の死傷者を出し、女性隊員のほとんどが触手側へ寝返るという結果に終わり、人類は種を存続させるため防疫都市(ぼうえきとし)を築く計画を立てた。



△▼△▼△▼△▼△▼△



防疫都市の完成から数十年。


日本にある第3防疫都市"武蔵海原(むさしうのはら)"、ある秘密を抱えながら生きて来たボクは、その日、もう秘密を隠しきれないことを悟った。

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