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ずっとひとりだった  作者: MIKA
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初夏

いつも通る、その対向四車線の車道が交わる交差点を、横断歩道橋がぐるりとかこんでいた。

歩道橋の上で、立ち止まるひとはいない。

ときおり歩道橋の階段をあがってくるひとはみな、どこかからどこかへ向かう途中で、その歩道橋のあちらからこちらへ、こちらからあちらへ、と迷うことなく通り過ぎていく。


雪は、歩道橋の真ん中で、レイルにもたれて、ぼんやり下を見下ろした。

信号にひきとめられた車が、止まっては、走り、また、走り去っていく。

こんなところでじっとしていたら、ひとにどんなふうに思われるかわからない。そう思っても、立ち止まらずにはいられなかった。迷わないひとびとから、少しはみだしていたかった。


少し立ち止まっても、自分は、ほどなくまた、迷わぬひとびとの中に戻っていくのだ。

立ち止まって、流されて、立ち止まって、自分は、そのくりかえしの中でも前に進んでいるのだ。

雪は、そう思い直すことで、安堵し、しばらく立ち止まっているいまの自分を許した。


急に風が吹いて、道路脇の木々を揺らした。

雪は、木々の枝で青々と映える新緑を目で追った。


また、夏が来る。

雪は、1年前を思い出していた。


あのときまでは、こんなふうに立ち止まって考え込むこともなく、前に進んでいた。

時間はただ、息をするように過ぎて、わたしは迷うことなくわたしたっだ。


何も知らなかった、わたし。


きれいだった、わたし。


もう前には戻れないのだ。


何度ものみこんだ思いが、またあたまをもたげた。



それから、どのくらいそうしていたのだろう。

雪の見下ろす車道で、何台もの車が、信号に止められ、また流れるのを数え切れぬほど繰り返したとき、両手を小さな子供に取られた母親が、歩道橋を通りかかった。

行く手をふさいで立っている雪を見て、反射的に、子供の手を引いて、子どもたちを自分のそばに引き寄せる。

それに気づいて、雪も、反射的にからだをぎりぎりまでレイルに寄せ、そして、その母子の歩くのに引かれるように、ようやく歩き出した。





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