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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

畢罪の花 ~ひつざいのはな~

 ――『人が、死ぬわけないだろう!』
 人は、生まれた以上必ず死を迎える……真理でもあるはずのその大前提を覆す、少年の放った一言。
 しかし、この人類最後の都市においては、それこそが摂理だった。
 そこに生きる人々は、そのすべてが、老いることも死ぬこともない、不老不死の身だったのだ。
 ……たった二人。一組の双子の兄妹を除いて――。
 
 かつて命を落とし、しかしその大罪ゆえに消え去ることも許されず、記憶も欠け落ちるほどに永い時間、闇の中に囚われ続けていた男、カイン。
 その彼を闇の内よりすくい上げたのは、それ自体が光であるように暖かい、しかし何者とも知れぬ女性の声が告げる『願い』だった。
 それを聞き届けたカインは、幼い双子の兄妹を、そのかたわらに寄り添い、護り抜いていくことになる。
 果たして――兄妹が逃げるのは、『不老不死』からだった。
 大戦により荒廃した世界を捨てた僅かな人々は、雲上に都市を築き、そのすべてが不老不死を得て、実に千年の時を過ごしていた。そしてその命は、永遠に咲き続ける花『不凋花(アマランス)』の力であり、唯一その花を身に宿し、他者に分け与えることのできる、『春咲姫(フローラ)』と呼ばれる少女がもたらしたものだった。
 心優しく、ただ死の悲しみのない世界を、と願う春咲姫と、彼女を守り支える者たちは、数百年ぶりの新生児であった兄妹にも、純粋な善意から不老不死を分け与えようとしていたのだ。
 しかし、兄妹はそれを拒み、暮らしていた都市の中枢から逃げ出した。
 『死』のない生は、本当の生ではない――それが彼らの、この時代においては異端そのものの考えだったからだ。そして、カインもまた、そんな兄妹の思いにこそ同意する。
 雲上の都市を脱し、限りある命を生き抜こうとする兄妹と――
 『死』を忘れた都市と、兄妹の安寧のため、その命に永遠を与えようと兄妹を追う春咲姫たち。
 そして、かつて死が当たり前にあった世界を識る者と、その後の永遠の時代に生まれた者。
 さまざまな思いが交わる中、明らかになっていく、かつて死んだはずの男、カインの正体――。

 千年以上前より縁によって紡がれていた、彼らの織りなす物語は、どんな結末を迎えるのか。
 最後に残った人類の未来は――どこへと向かうのか。

 原罪によって楽園を追われた人類は、畢罪によって楽園へと帰るのか――。
序章
 落果拾い
2018/02/21 07:00
一章  全にして一なる花の咲く園
1.落果追う者たち
2018/02/26 07:00
2.包囲
2018/02/28 07:00
3.恐れの予兆
2018/03/01 07:00
4.慈母の少女
2018/03/02 07:00
二章  落果の芽吹く場所へと
1.田園にて
2018/03/07 07:00
2.決意と迷いと
2018/03/08 07:00
三章  万花の園に朽花一輪
1.旧史生まれ
2018/03/12 07:00
3.強襲
2018/03/15 07:00
四章  祖花の想い、幼芽の願い
1.波紋
2018/03/21 07:00
2.葬悉教会
2018/03/22 07:00
3.母のもとへ
2018/03/23 07:00
4.子の心は
2018/03/24 07:00
5.永遠の花の告白
2018/03/26 07:00
6.利害一致
2018/03/28 07:00
7.凶刃の決意
2018/03/29 07:00
8.千年を経て
2018/03/30 07:00
  西暦20XX年  ~ある暗殺者の記憶~
 〈前章〉
2018/04/02 07:00
 〈後章〉
2018/04/03 07:00
五章  そして、万花は楽園に還りゆく
2.咲花の覚悟
2018/04/06 07:00
3.生か、死か
2018/04/09 07:00
4.黒衣の死神
2018/04/11 07:00
6.畢罪の花
2018/04/13 07:00
終章
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