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WORLD 2-2  この世界の姉はデレ100%でした ①

 お客様―! おきてくださーい! あーさでーすよー!」

「んにゃ……?」 

 半分ほど目を開けると、金髪のメイド服を着た女性が俺を覗いている。

 そして彼女の澄みきった声の目覚ましコールとともに、俺は目覚めを迎え――

「――俺、まだ夢みてんのかぁ。目の前でメイドさんが俺を起こしてくるぅ……」

 ――ることもなく俺は再びまぶたを閉じ、今度はナースの夢でも見ようかなと考え……て、気付く。

「あっ、これってリアルなやつですか?」

「はい?」

 そうだ。これ現実リアルだった。


 現状を整理しよう。まずは昨日の夜の話からだ。

 どういう訳かブレクエの世界に転移し、1日目にして本当に沢山の出来事があったその日の晩。

 俺は酒場でユーリとパーティを結成し、お手伝いという名の雑用係パシリをする代わりにユーリの家に厄介になる事が決まった。

 そして夜も更けた時、俺達は寝静まったユーリの家に到着。部屋に案内される前に俺は客間の大きなソファーに倒れ、その後の記憶が無い。どうやらそのまま寝てしまったらしい。

 まぁ昨日は2回くらいモンスターに殺られたり、1日で稼いだ大金をゼロにしたりと色々あって疲れていたから仕方がない。……今さらっと言ったが、考えてみればものすごいイベントが目白押しだった。

 という訳で俺は今、居間のソファーにうつぶせになったまま、ユーリの家のメイドさんに起こされているという状況だ。慌ててソファーから飛び起きる。

「あーいやスマン。寝ぼけてて変なことを口走った……」

「寝ぼけてらっしゃったんですか? こんな所でお休みになられて、疲れが取れていないのでは……?」

「それはだいじょぶ。俺どこでも寝られる体質だから。それより起こしに来てくれてありがと」

「起きてこないようだったのでご主人様に頼まれたんです。……ソファーでお休みになっている客人を起こしたのは初めてですよ」

「だろうねぇ、一応貴族の家だからねぇココ。俺みたいなのは前代未聞でしょ」

 

 そう。召使い《メイド》がいる時点で既にお気付きかもしれないが、ユーリの家は由緒正しい貴族サマなのだ。俺が寝ていた居間も広いのはもちろん、辺り一面豪華な家具やら装飾やらで埋め尽くされている。

 ……いかにもお金に困っていなさそうな家なのに、どうしてユーリがあんなにお金にがめついのかよく分からない。


「朝食のご用意が出来ています。どうぞ」

 そう言われてメイドさんに案内されたのは、これまた先程の居間よりも何倍も広い食堂。

 天井にはシャンデリアが並び、その下には長いテーブルと沢山の椅子。

 30人は余裕で座れそうなテーブルだが、座っている人影ははたった二つ。

「おはようレン。昨晩はあんな所で休ませて申し訳ない。何度起こそうとしても起きなかったんだよ」

「オッス。オマエ起きるの遅えナ」

「おはよう主人公、そしてマスコット(笑)。なかなか寝心地の良いソファーだったぞ」

「かっこわら? ……よく分かんねぇケド、オレが馬鹿にされているのは分かるゾ」

 まず挨拶で出迎えてくれたのは、お馴染みこのゲームのメインキャラクター達。勇者ユーリと、その相棒のガルくんだ。

 そして……

「おはようございますレンさん。お話は弟から聞いていますよ」

 テーブルに座る残りの一人、ユーリの正面の席に座っている人が、笑顔で俺に挨拶してきた。

 当たり前だが、先ほど数えた“人影”の中にガルは含まれていない。

 まるで“しとやか”を言葉で表したような、美しい女性だった。街中ですれちがったら誰もが振り向くような美貌と、薄い赤のロングヘアー。スタイルの良い体つきの上に、着心地の良さそうなワンピースを着ている。

 この人もメインキャラクターの一人なので、ユーリの時同様すぐに分かった。

「おはようございます。ユーリのお姉さんですよね」

「あら、私のことをご存じだったのですか? 私のことは気軽にサラと呼んで下さい。それと昨日はごめんなさいね。お部屋も用意できないままあんな……」

「いやいや大丈夫ですよ! というかコッチこそいきなり上がり込んであんな所で寝るとか失礼極まりないですよね! ほんとすいません!」

「私もついさっき弟から話を聞きまして……本当に驚きました。弟が家にお友達を連れてきて泊めるなんて初めてだったもので」

 お友達じゃなくてただ金を貸し借りした関係です、と出かかった言葉を飲み込み、まずは彼女に質問することにする。

「俺がしばらく厄介になるってことはユーリから聞いてるんですか?」

「大丈夫ですよ。この家には私達姉弟きょうだいと二人の召使いがいるだけですし、父が遺した財のお陰で経済的にも負担はありません。それにやっぱり、賑やかな方が楽しいでしょう?」

 どきりとするような笑顔でそんなことを言うサラさん。いや貴女あなたの弟さん、それと全く逆の事言ってましたけど。

 ちらりと見ると、当の弟さんはそしらぬ顔で紅茶を飲んでいる。お金に執着しない姉と、お金にうるさい弟。姉弟でこんなにも違うものなのかと思わず見比べてしまった。

 でも考えてみれば、俺の家の場合もコレとあまり変わらない気がする。

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