Ⅲ
大きな扉の横、古くなった看板には“牧村研究所”と書かれていた。
研究所の中に入ると、外の薄暗さとは裏腹に明るく広いオフィスがあった。
「さっきの重苦しさが嘘の様な所ね。何よりも、思っていたよりは綺麗じゃない、こんな地下にあるからもっと陰湿で暗く汚ならしい所かと思ったわよ」
「‥‥‥こっちだ、そこら辺にある物は触らない方がいいぞ。見た目はオフィスでもディスクの上に置いてあるヤツは、有毒な物とかあるからな」
「有毒って‥‥‥一体、何を研究している所なのよ」
「さあ、こっちだ」
「‥‥‥」
海は一向に研究所内の事は話してくれない。
仕方なく言われた通りに奥へ続く扉を開け中に入った瞬間、目の前には異様な光景が飛び込んで来た。
それは病院の手術室を思わせる様な寝台と、無数に散らばった器具、それらには大量の血が付着していた。
「うっ‥‥‥何ここ‥‥‥」
寝台で隠れて見えなかったが、人が血を流して倒れて居るのが見えた。
「「!!」」
「おい! しっかりしろ! 誰に殺られた!」
「‥‥‥ま‥‥‥き‥‥‥むら‥‥‥」
最後の方は小さな声で聞き取りにくかったが、確かに牧村と言っていた。そして、そのまま力尽きたかの様に動かなくなった。
「きゃっ!!」
「くそ!」
「海‥‥‥まさか、この人がメール送って来た人じゃないよね?」
「いや、違う。ここで働いている研究員だろう」
「どうして分かったの?」
「‥‥‥」
「海、答えてよ」
「‥‥‥今は、言えない」
何も答えない海を不信に思いながらも、辺りを見回して手掛かりとなる物を探しだしていたら、倒れていた人のすぐ近くに手掛かりとなりそうな手帳を発見した。
今更なんですが、R - 15 に指定してますが、血だとか殺人とか出てきたけれど大丈夫でしょうか?
これよりグロい表現はこの先は無いですが、今と同じ位のレベルまでは出ます。