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Ⅰ
全ては、海が仕事で使っているパソコンに送られてきた電子メールから始まった。
二人がいつも待ち合わせとして使っている場所。お互いが共通していて、頻繁に使う最寄り駅に設置されているホワイトボードの前に海の姿があった。
「遅れてごめんね」
「いや、時間通りだ」
「海が待ち合わせ時間に遅刻しないなんて珍しいわね」
「そうか?まあ、今回ばかりは本当に来てくれるのか不安もあったからな」
「何よ、私が来ないと思ったわけ?」
「まあ‥‥‥そんなトコかな」
「呆れた、誘っておいてその言いぐさ? 私、そんなに信用されてないのかしら」
「いや、そう言うわけじゃないけど、ちょっと事情があるからな」
「それよりも、付いて来て欲しい所ってどんなトコなのよ?」
「付いて来れば分かるさ」
二人は改札口を通りホームへ‥‥‥タイミング良く来た電車に乗り込んだ。