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Wings' Karma  作者: cape
第一章 風の前奏曲
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Ⅳ 作られた存在

「で、あんたは本当にヒュランの王女なのか?」

 シェルラがこくりと頷く。

 ……と、セダがゆらりと立ち上がった。

「そうか――それじゃ、俺はあんたを」

 そして、刀を手にかけ、彼女へと飛びかかる。

「殺すしかねぇなっ!」

「きゃぁっ!」

 

 ――シェルラはうっすらと目を開いた。

 私は殺されたのだろうか。

 しかしそこには、目にも鮮やかなお花畑は無いのだ。

 その代わりに――

「ひぃっ……」

 剣の切っ先と、へらへらと笑う男の姿があるだけだった。

「ははっ、俺があんたを殺すと思ったんだろう? そんなことしないよ」

 シェルラはふと不思議に思った。

 何かヒュランに恨みがあるなら、私を殺してもおかしくないはずなのに。

「どうして……私を殺さなかったんですか?」

 だがセダは相変わらず笑っているだけだ。

「何言ってんの! 俺が恨んでるのはあんたの親父だけだって。親の罪を娘が背負うなんてたまったもんじゃないよ、な?」

 そんな風に話す彼を見ていると、なぜかシェルラの目に涙が溜まってきた。涙はまなじりにあふれ、そのまま地へと落ちる。気がつくと、姫は商人にしがみついて泣きじゃくっていた。

「うっ……、えぐっ……」


 ――五分くらい泣いたろうか。

 シェルラが泣き止むと、セダがぽつりと呟いた。

「あんた、変わった目の色してんな」

 聞こえるか聞こえないかの呟きだったが、彼女はしっかりと聞こえたらしく、返事をよこした。

「父からの遺伝です。こんな目、無いほうがましなんですけどね」

 そして、悲しげに続ける。

「この目には、『人』としての感情がありません」

 そういわれて初めて気づいたが、確かに彼女の金色の瞳からは一筋の涙も流れた形跡が無かった。

「もしかして、あんた本当に」

 セダが途中まで言いかけると、その話を肯定するようにシェルラがさらりと流す。

「父に作られた存在なのです」

 そう言うと、彼女は地面に目を落とし、それ以上何も言わなくなってしまった。

 と、その時。

 夜の闇から、黒いマントをなびかせながら歩く人影が現れた。

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