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Ⅸ 北へ
……さて、どこへ行こうか。
ハンギランを出たはいいが、それからどこへ向かおうか。当てもなく、ひたすら歩きに来たわけではない。大空を滑空するエルトゥの眼下には、雄大な景色が広がっている。東には「天使の街」シャンヌアラン。西はやたらと景気の良いディールハインド。南は断崖、そして海、海、海。北は……
妖魔の森、死の巣。
人がその場に足を踏み入れることは、決して許されないと聞く(もっとも自分のような者であれば別だが)。どこに行くにしても、自分に不釣合いだったり人すらいない場所だったりというところだ。だがエルトゥは少しばかり首を捻り、ふと何かを思い出したような顔をすると、南を背に空を一蹴した。要するに、向かったのは北。そう、目指すは「死の巣」だ。あそこになら友人がいる。きっと、相談相手になってくれるだろう。
――それに、あそこからなら見つかるかもしれない。
そう思っての判断だった。




