異世界での目覚め
「……….ここは、どこだ? 」ジョージはぼやけた視界の中に草をはむ、水牛のような生き物を捉えていた。
「…….なんか、のんきに草はんでやがるし…….いい気なもんだこっちは犯罪者と…….ってはあ!? 」
一気に視界が開き、がばっと体を起こすジョージ。周りを見渡せ一面の草原。その広い草原のあちこちで水牛が草をはんでいる。普通なら心和むほのぼのとした光景なのだが、今回はそうはいかない。なぜならジョージ達はロサンゼルスの中心部の路地裏にいたはずだからだ。
「気を失っている間に………ここに運ばれたんか? だとしてもなぜ草原? ふつうは病院だろう。確かあの時…….. 」
あの時、ジョージ、ソード、ベルナルド、ハンニバルの4人の警官たちは逃走中の死刑囚であるジョン・プレスリーを追っていた。そしてジョンと遭遇し銃撃戦に入ったベルナルド・ハンニバル組を援護するためにジョージ達が駆けつけてみるとタキシード姿のアジア系の男が日本刀もってジョンと戦闘してるわ、民間人が入ってくるわで大変なことになり、あわてて民間人を避難させようとしたら急に体が吹き飛ばされそれ以降ジョージは覚えていない。
「くっそが…….とりあえず、なんだかよくわからんが……ソードの奴を探さんと…… 」
ぐるりと草原を見渡してみると、少し離れたところに自分たちが乗ってきたパトカーが斜めになって横たわっておりその近くでソードが気を失っている。
「あいつは無事だったか……..しかし他の奴らはどうなった? 」周りをもう一度見渡してみるが、自分たち以外の人間はいなさそうだ。まあ、夜に出歩く人間もいないだろうが、あれだけの事件に巻き込まれたというのにだれも近くにいないのは不自然な感じがする。
「うーん…….今日はエイプリル・フルーだったか? それともドッキリものか……. まあいい、とりあえずソードを起こしてパトカーを元の態勢に戻して本部に抗議してやる 」
ぶつくさ文句を言いながら、ジョージはソードを起こすべく50メートルほど前方のソードを起こすべく大股で近づいて行った。
「だめです。うんともすんとも反応がありません。まるで本部が消えてしまったみたいに 」
「このあたりが、電波が届きにくいところとかじゃないのか? 」
「いえ。そうじゃなくて、試しに民間コードで呼びかけても見たんですが。一先反応なしなんです…….. これはおかしいっすよ 」
ジョージとソードは車載無線機の前で深いため息をついた。数分前意識を取り戻したソードにジョージは警察本部への無線連絡を指示し、ただちにソードは連絡を取るため無線連絡をおこなったのだが。まったく応答が返ってこないのだ。
「こうなったら自力で、ロスの署まで戻るしかないな…….. ソード、お前の携帯のGPSで今いる場所を割り出してくれ 」
「そのことなんすけど……..さっきから試してはいるんすけど、こっちもさっぱり使えないんすよ。画面もロス市街の位置情報のままになってますし…….. 」
「どういうことだ?…….時計は、夜の10時を指してるし、この時計が狂ってなきゃ俺たちは2時間ほどで、まったく知らない草原に運ばれた計算になるが…….ロスの中心部から車で2時間ほどの場所にこんな民家が一軒もないような、しかも水牛が草をはんでるような広い草原ってあったか? 」
「少なくとも記憶にはないっすね……..まあ、それはそれとして無線が通じないとなると、直接車でロスへのアクセスを探すしかないっすね。すこし行けばたぶん民家も見つかると思います 」
「まあ、それが一番確実か…….よし運転は俺がやる。お前の方が視力がいいからな、民家の明かりが見えたらすぐ知らせろ! 」
ジョージとライアンの2人はパトカーに盛り込み点滅灯をつけ、走り出す。
そんな2人から少し離れた場所、枯れ果てた大木の傍に軽装の鎧も身に付け、黒い兜をかぶった一団がいた。その先頭に立つ男は構えていた『双眼鏡』を下し、ぽつりとつぶやいた。
「やつら……..まさか天下人か? だとしたらこれは一大事になるぞ…….. 」男は腰から取り出した『無線機』に静かに告げる。
「長老議会本部。こちら『ドス』隊長 ゴードン。エラム平原にて、所属不明の男達を発見。至急調査の必要あり。長老議会より、至急軍統括部に部隊派遣要請を、対象は天下人の可能性があり。繰り返す、対象は天下人の可能性があり 」
話は短いです。ごめんなさい。
これからがんばりますので!