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第1話 大丈夫だよ。心配しないで。

 竜の娘。りゅうのむすめ。


 大丈夫だよ。心配しないで。


 雨が降ってる。とても強い雨だった。そんな雨降りの空を見ながら、中学二年生の十四歳の少女の瑠璃川竜は竜は雨を降らせるんだよ。って言うお伽話を思い出していた。

 竜。雨を降らせる神話の生きもの。

 自分と同じ名前の(というか神話の竜が竜の名前の元になっている先輩なのだけど)竜のことを空想しながら、確かに私は雨を降らせるなって、そんなことを嫌そうな顔をしながら竜は思った。

 竜がどこかに出かけるとき、もちろん毎日というわけじゃないんだけど、よく雨が降った。それも大切な日には、ほとんど雨が降っていたと思う。(お誕生日とか。遠足とか。思い出すといつも雨が降っていた)

 それはきっと私の心の中でいつも雨が降っているからなんだろうなって竜は思った。小さな子供のころは雨が大好きだったけど、今はあんまり雨は好きじゃなかった。

 濡れてしまうし、寒くなるし、風邪をひいてしまうかもしれないし、気持ちも落ち込んでしまって良いことはあんまりなかった。

 竜は雨降りの空を見ながらずっと中学校の出入り口のところにたったままでいる。

 それは竜が傘を持っていなかったからだった。

 傘を持ってくることを忘れたわけではない。(よく雨を降らせてしまうから天気予報はよく見ていた)でも竜の傘はなくなっていた。雨が降ったから、『傘を忘れた誰かが勝手に竜の傘を持っていってしまった』のだと思う。(大切にしている白い花の模様の傘だった)

 運が悪いな。と今の天気のような、雨降りの空みたいな暗い顔をして竜は思った。

 そう思っていると、なんだか竜は泣いてしまいそうになって、とてもびっくりした。

 泣くつもりなんて全然なかったから、自然と涙が瞳の中に溢れてくると、竜はとても驚いたし、なんだかとっても恥ずかしくなって、その小さな顔を赤色に染めた。

 我慢しようと思ったのだけど、だめだった。

 とてもあったかい涙はぽろぽろと竜のほほを流れ始めた。

 私はなんて弱いんだろう。情けないな。『こんなんじゃこれからちゃんと一人で生きていくことなんてできないよ』。きっと。

 そんなことを泣きながら竜は思った。

 泣いているところなんて誰にも見られなくなかったのに、そんなときにちょうど、誰かが竜のいるところにやってきた。

 そののんきに歩いて竜のところにやってきた男の子の顔を見て、竜はきっととても怖い顔になって(それこそ怒っている竜みたいな)その男の子の顔を見た。

 涙で目を赤くしている(恥ずかしくて顔も真っ赤にしている)竜に睨まれて、その優しそうな顔をした男の子はなんだかとっても運が悪いなって思っているみたいな、そんな顔をして竜を見ていた。

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