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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

俺の一子相伝の暗殺拳と俺の妹の殺人空手が修羅の巷。略して‥‥俺〇羅。でも修羅って古代インドのインテリの事なんだよね。

 意外に多い「東海道一の弓取り」という称号。確か家康以外にも今川義元、太田道灌、北条早雲もそんな感じの異名を持っていたはずだ。いや日本史あんま好きじゃないから真偽のほどは不明だけど。

 まあ、東海道長いし、仕方ない。


 王立極真学園。

 架空の世界「日本王国」においの国技である空手の養成機関では最上位に君臨する。

 

 そして極真学園の高等部(※誤表記 後頭部)に一人の青年が入学した。

 その男の名は「本多平八」という。


 あろうことか、この本多平八は空手の「か」の字も知らぬ未経験者の白帯。

 筆記試験だけで極真学園に入学してきたらしい。

 入学当初は本多は「裏口入学」という不名誉な噂を立てられて、全学生から侮蔑の眼差しを受けたわけだが、彼の礼儀正しい態度や空手と一生懸命に向き合う姿勢は多くの生徒たちに評価され、入学当初の評価は次第に改善していた。

 

 だが世界の空手の最前線を行く極真学園において白帯が入学してきた事を良く思わぬ生徒たちも数少なくは無く、やがて彼は良く無い意味で「空手学園の落第生」と呼ばれるようになっていた。


 今、そのアンチホンダの首謀者格である二年生、八鳥肝臓が彼の前に立ち塞がる。


 「待て、新入生」


 それは六月の初めの頃だった.義妹の家康子と一緒に下校しようとする本多忠勝(※誤表記)の前に風紀委員長にして伊賀忍軍頭領、三代目八鳥肝臓が立ちはだかった。


 「お兄様に何の御用ですか、ハットリ先輩。忍者部の勧誘なら四月の内に済ませてくださいませ」


 康子は平八の前に立ち、殺伐とした態度で忍者ハットリ君(※蔑称)に応対する。

 実はこの義妹、一見してか弱い大和撫子そのものといった姿だが極真空手五段の強者だった。


 噂では手刀でビール瓶を切断するらしい。


 八鳥は彼女の刃物のような鋭い眼光を受けただけで一歩下がった。


 「失礼、ミユキ君(※誤表記)。私は別に君と敵対する為に声をかけたわけではないよ」


 「ひゅっ」


 その時、ハットリの右頬から血が流れる。

 康子の左手は手刀の形を作り、既に臨戦態勢にあった。


 「それ以上、酸素を無駄に消費すると猥褻物陳列罪で股間のマッチ棒をカットしますわよ?」


 言葉を発すると同時に一本拳が八鳥の喉に突き刺さった。

 ミユキ(※誤表記)は顔面攻撃を禁忌とする現代空手の使い手であり、同時にほぼ何でもありの琉球空手”首里手”の使い手でもあった(※作者の勝手な思い込みです。琉球空手の関係者各位に対して深いお詫びを申し上げます)


 「か…、はっ‼」

 

 八鳥は息も絶え絶えながらうつ伏せになって倒れ込む。


 康子はトドメに八鳥のアナルにつま先を叩き込む。


 「ビクリ」と一度だけ身悶えした直後に八鳥は動かなくなった。


 恐るべき極真学園高等部最終兵器、家康子。


 平八は知らずのうちに拳を硬く握りしめる。


 「なかなかやるな、康子。だがこの程度の軟弱者を屠ったくらいで兄よりも強くなったと思われては困るぞ」


 平八は事実上、躯と化した八鳥の頭を掴んで持ち上げた。

 

 意識を失ったはずの八鳥の顔が苦痛で歪んでいる。

 

 平八はさらに頭部を掴む指に力を込めた。


 ぎりぎりぎりぎり…。


 熟れたトマトを掴むかの如く、捻じれる八鳥の頭頂部。

 後ほんの少し力が入れば、服部の脳が飛び散りそうだった。


 「お兄様、一体何を?」


 康子は本能で危険を察知して平八から距離を取った。


 平八の瞳の奥からは赤熱を宿す光を発し、只でさえも厳めしい顔は地獄の悪鬼そのものだった。


 「鬼に逢うては鬼を殴る。仏に逢うては仏を殴る。空手の極意、ここにあり」’※装甲悪鬼村正のパクリ)


 メリメリメリ…。


 限界までひしゃげた服部の頭は一瞬で爆裂四散した。

 毎日巻藁を叩いて鍛えた平八の握力は人外の領域に達していたのだ。


 平八は目に力を込め、口の端を歪に象る。

 その姿は永井豪の漫画に登場する「ズバ蛮(※バイオレンスジャックに登場する方)」によく似ていた。


 「構えろ、康子。この八鳥の命を無駄にしない為にも貴様を殺す…ッ‼」


 平八は「ぬん‼」という掛け声と共に八鳥の肉体を頭上に放り投げた。


 「チェイサーッッ‼」


 そして気合一閃、雷鳴の如き掛け声と共に八鳥の肉体を肘打ちで完全に破壊した。


 「ふしゅううう…。コォォォォ…」


 さらに丹田に力を集め、呼吸を通じて力を全身に流し込む。

 空手の息吹という初歩的な動作も平八にかかれば必殺技と化す。


 「流石はお兄様…、略して「さす兄」とでも言っておきましょうか。やはり貴方を倒さずして最強は名乗れない…」


 しゅっ。


 神速の初段が平八の眉間に向って放たれる。


 弓に矢をつがえ、一気に放つという動作にも似た”鐘楼打ち”と呼ばれる伝統派空手の順突きだ。

 威力は中段正拳突きに劣るものの、命中精度と速度はボクシングのジャブに匹敵する。

 何よりも恐るべきは攻撃の機を相手に悟らせない所作の速さにあった。さらにミユキ(※誤表記)は前に出した足を意識している。

 

 正拳からの前蹴り。

 一見してコンビネーションという概念そのものを否定する伝統派空手にとって邪道とも言うべき戦法だ。

 しかし、この稀代の空手家にかかれば必勝の一手と化す。


 (甘いな、ミユキ(※誤表記)。これが試合ならばお前の勝ちだが今は真剣勝負だ。よく覚えておくがいい。喧嘩空手の神髄というものを)


 平八は差し出された右拳に向って額を突き出す。

 当たる前に当ててしまえば真の威力が発揮される事は無い。

 そしてコツカケ(※キンタマを内蔵に隠す訓練)、巻藁打ち(※ひたすら藁を巻いたヤツを殴る)、塩擦り(※トレーニングの前後に肌に塩を刷り込む)によって五体が強化された司馬達也(※誤表記)の頭突きは鉄瓶の堅さに匹敵する。


 「ぬわしゃっ‼」


 「‼」


 ぐしぃっ‼


 間一髪の差で康子の正拳が平八の額を捉えた。

 しかし、それは同時に平八の頭突きが康子の拳を砕いた事を意味する。


 「じゃっ‼」


 されど北辰館黒帯は伊達や酔狂に非ずか。

 刹那の見切りで正拳を引っ込めて、左の肘で平八の横面を切った。


 ぶしゃあっ‼


 鋭利な刃物を当てたが如く血の花を咲かせる本多平八。

 

 だが彼は妹の反撃に満面の笑みを持って答える。


 「強くなったな、康子。それでこそ東海道一の弓取りよ…」


 康子の腕っぷしの強さを知った平八は思わず勃起していた。

 空手道を究めんとする平八にとって妹の予想外の成長は何よりの性的なアプローチだったのだ。


 「フッ、御冗談を。松尾館長(※誤表記)、アナタはまだ実力の十分の一も出していませんね」


 そう言って姫川勉(※誤表記)は大きく前に一歩、踏み出す。狙いは右大腿部を狙った突き蹴りだ。

 中間距離からのつま先蹴り、一見して素人丸出しのケンカ殺法もいいところだが極真学園の一年生筆頭ともなれば話が違う。

 矢のように放たれた前蹴りは丸太のような平八の太腿に刺さる。


 「このような児戯で俺を倒すつもりか‼


 」平八は蹴りなどおかまいなしに反撃の掌打ちを繰り出した。

 狙うは康子の顔の左半分、当たれば良くて気絶、最悪死をも免れない強烈な一撃だ。


 ニヤリ、と康子は不気味な微笑を浮かべる。


 ハッタリではない、ハッタリをかました八鳥は既にこの世の人ではなくなっているのだから。

 

 この笑顔は余裕のそれではない。

 自分の策に敵がまんまと引っかかった時の快心の笑みだった。

 実際平八の掌打の威力は普段の十分の一以下ほどで薄皮を腫らす程度のものである。

 

 放たれる前に威力が死んでいたのだ。


 ただ一度のつま先蹴りで、巨大な熊を屠る一撃が。


 「点をずらしたか。やるな、康子。それでこそ三河の臥龍」


 平八は素直に康子の武功を認める。


 点とは点穴に非ず。

 

 即ち動作の起点。

 

 動物が動く時に最初に意識する部分を正確に推したのである。

 その効用たるや全身が想定よりも早く動き、特に武道のような高度な肉体操作を要求される運動においては致命的な結果を招き得る。

 平八は自分が思うよりも早く腕を前に突き出し、その後に重心を整え所作を完成さてたのだ。

 こうなってしまっては技術や鍛錬など関係はない。

 空を飛ぶ蠅一匹も倒せないだろう。


 「流石はお兄様(※本日二回目の「さすおに」)。この程度の児戯、お見通しでしたか」


 康子は頬を流れる汗を指で拭う。


 康子は平八の児戯を習得する為に二年の歳月を費やした。

 この瞬間ときの為に彼女は他流派の門下生となり、必死の思いで見につけた「小技」を一見で武の達人に見破られたのは正直悔しいが、自分の目の前に立つ理想の男が技の術里を見知っていたことは嬉しい限りだ。


 (私の目指す山は遠く険しい道の先にある…)


 康子は地面に散らばるゴミクズとなった八鳥の破片を踏み潰した。


 「続けるか、康子?俺は構わんぞ」


 平八は元の構えに戻る。先ほどまでの殺気は消え失せ、格下との稽古という雰囲気があふれ出ていた。


 「いえ、康子は己の非力さを思い知らされました。今日はもう帰りましょう」


 「そうだな。そろそろ有吉ゼミの時間だ。今日も大食いチャレンジが楽しみでたまらんわい」


 平八は同時のようにはしゃぎながら家を目指す。康子は兄の意外な一面を見て、心を躍らせながら後をついて行った。



 「‥‥」


 現場に残るかつて八鳥肝臓だったものはふと夜空に浮かぶ満月を見た。

 八鳥肝臓は人間とスライムのハーフだったのでこの程度では死なないが、今日の耐えがたい屈辱にやり場のない怒りを覚える。


 だが、同時に彼の内心は仄暗い愉悦に満ちている。


 その感情の源とは、「馬鹿め。今日の有吉ゼミはリフォームの日だ」というものである。

 そしてその次の週は所さんの出演する別の番組の二時間スペシャルだった。


 本多兄妹は家に帰って超ガッカリするだろう、つまりそういう事だ。


 本多平八は次の日、何食わぬ顔で登校してきた八鳥を飛賊絶技”千手羅漢殺”で粉みじんになるまで暴虐の限りを尽くしたのはいうまでもない。


 「あの区品、テロリストが登場するまでが楽しかったな」


 薄れゆく意識の中、八鳥肝臓は作者の意識と同調を果たした。

 実戦で倒木蹴り(※つま先で太腿を蹴る技)は相手の脚が折れるのでやらない方がいい。ほとんどの格闘技で禁止されている技だ。でもポリスマンと友達になりたかったら使ってみよう‼

 喧嘩稼業、ケンガンアシュラといった漫画にも登場する。

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― 新着の感想 ―
多分、コメントもらわないのがネタなので、コメントを書くというのはちゃった野暮なのですが、私の「小説 中野」において、第五話くらいのところに、ふじわらしのぶのエッセイを読むという内容で小文書かせてもらい…
2025/06/23 07:14 退会済み
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