399話 空前絶後の偶然
コメントに書かれていたのは、罵詈雑言の嵐だった。バランスがどうとか関係ない、美味しくない、そもそもやる意味がない…と、まるですべてを否定する言葉だけだった。
「去年のエキシビジョンの時、あそこの学長は一口食べた後に地面に投げてました。」
「…ねぇ、これ誰が悪いんだろう。」
「そんなのわかりません。わかるわけもありません。ですが…これだけは言えます。あなたの努力をこれ以上無駄にしたくないのなら…もう、邪魔はしないでください…これが最後の忠告です。」
「…こんな冬の時代、いつまで続くんだろう。」
「さぁ。」
お金を払って、しばらく小田井の街を歩く。
「ここって住宅街のイメージがあったけど、大学の招致に成功したから店が増え始めている。でも暇をつぶせるものってないんだよね。」
だいたい知ってる人がいるというのがこの物語のセオリーで、知らない人がいるというのはあまりよくはないのだ。しかし、小田井という街は上天や神楽阪、西町から距離があるうえ、電車もないので話し相手を見つけるというだけで一苦労だ。運よく歩道橋の上で黄昏ることに成功したが、寒いので長時間いるのはやめにした。
「夜になったか、しばらく別の宿を探すか…天使の隠れ家…?」
天使の隠れ家…ここはみんなの広場と同じような民宿だ。天使である飛翔にとって、何かときめいたのだろう。
「いらっしゃいませ…って天使のお客さん…誰だ誰だ…」
「神崎飛翔です。予約はしていないのですが…」
「…わかりました。所属を教えてください。」
「あの…初音さんってわかりますか?」
「天使協会本部の管轄ですね。わかりました。こちらは天使協会第一支部の本拠地となっております。先代の天使長の命に従い、本部と2つの支部となっているのはご存じですか?」
「知らなかったです…」
「無理もないでしょう。初音さんですから。私は第一支部長の涼風みどりです…ここまでは初めて訪れるお客様にするテンションでした。ということで…飛翔さん!あの件は本当にすみませんでした!」
「僕じゃなくて結花さんにちゃんと謝ってください。そして麗奈さんにもきちんと謝らせて。」
「わかりました!…というか小田井に何の用で…」
「このあと魔王が長光を…」
「わかりました。その避難ですね。では、部屋は11号室です。進んでください。朝食は5時30分から8時30分、昼食は11時から13時、夕食は18時から23時です。売店は5号室の近くにあります。営業時間は6時から24時までですのでご注意ください。お風呂は部屋にあります。その他確認したいことはありますか?」
「特にはないです。」
「それでは料金ですが…後払いのシステムですが、今回は大丈夫です」
「そうでしたか。」
「それではごゆっくりおくつろぎ下さいませ。」




